「ゲゲゲの謎」と「ベイマックス」から紐解く繰り返し見ても面白い映画とは。+読書感想「他者の靴を履く」「エンジェルフライト」
どうもこんちわ。もう2月とは月日が流れるのは早いですね。
ゲゲゲの謎4回目を視聴しました2月2週目です。
4回目でもまだ面白い映画ってどうやねん……もう台詞覚えてるぞ……。まだ見ていない人ぜひ見てね!つーかみろ!!
1回目:ガチ号泣。なんやこの映画。涙が止まらん……。
2回目:伏線えぐぅww←ここで完全に内容理解。
3回目:新しい伏線回収はもうなさそうだが、おもしろい。泣ける。
4回目:まだまだ面白い。もう泣きはしないがおもしろさに感動を通り越して納得するレベル。
同じ映画を4回も見に行ったのは人生で初めてです。新しい極地でした。ありがとう水木、ゲゲ郎。
そんな中、面白い映画って何回見ても面白い可能性あるな、ということでベイマックスのブルーレイを久しぶりに見返したのですが、2回泣ける映画というのを思い出しました。相変わらずの完成度の高さ。そして初見時と全く同じ場所で号泣。なんなんだ私の成長の無さは。
ただねぇ。
繰り返し見たときの面白さは、ゲゲゲの謎ほどではなかった。ストーリーがわかっているからだと思いますが。ちなみに号泣度でいうとベイマックスの方が上です。
で、なんでだろう?作品のレベルは同レベルなのに。と考えてみたのでその話をしたいと思います。
ちなみに知らない人のためにざっくり作品のあらすじというかメッセージを説明しておきます。私好みの映画ですのでどちらも主人公の成長を描いたアニメ映画になります。
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
仕事命のサラリーマン水木と、妻と生き別れになった幽霊族のゲゲ郎(搾取される立場)がお互いに成長しながら、悪い人間(搾取する立場)から人類を救う話。
★本質では似た者同士であるが、愛を知らない男と知っている男がお互いに成長しあうのがこの作品の味噌。勧善懲悪のように見せて親友・夫婦・父子の愛の物語。
ベイマックス
兄を亡くした主人公ヒロが兄の残したケアロボット「ベイマックス」によって成長し兄の死を乗り越え、ヒーローとなる話。
★健康を守るケアロボットのベイマックスが、ヒロの心のケアをするというメインストーリーがこの作品のうまい(皮肉な)構成になっている。
ゲゲゲの謎が繰り返し見て楽しめるのはなぜか?
これはあくまで647的に、という話になります。
結論を先に言います。
そこに萌えがあるか、否かである。
推理小説ものというのは繰り返し読んで面白いのは2,3回目までだと思います。そして1回目の感動を超えることはない。
なぜか?
それは落ちがわかっているから、落ちが一番のクライマックスだからです。
犯人は誰か、もしくは、どのようなトリックだったか、動機だったのか。そこが面白いからなのです。
さらに言うと名作であれば、細かい伏線などを発見する2回目までは確かに楽しめる。しかし10回読んでも面白いかと言えばそうではないと私は思います。
しかしベイマックスは黒幕は誰なんだ?という謎要素はあるもののメインは成長物語なので、推理系ではない。むしろどちらかというばサスペンスチックなのはゲゲゲの謎の方です。
私は何度見ても面白い映画は次の要素の順になると思っています。
①萌え > ②感動 > ③ストーリー
ベイマックスは何度見ても泣ける名作、つまり②感動ではあるのですが、③萌え要素はあまりありません。主人公ヒロにヒロインは登場しません。ヒロには兄とベイマックスしかいない。ベイマックスは確かに萌えではあるのですが、(可愛いしロボット的おばかで、きゅんとする)ドキドキキュン~的な萌えはない。大学の友人はでてくるものの、恋愛要素はゼロです。兄への思い、つまり兄弟愛をメインで描写している。つまり、兄弟愛が好きな人にぶっ刺さる映画なのですが、残念、兄貴はすぐに死にます。
それにヒロというキャラクターに私はあまり萌えないというのもあります。ヒロは成長途中の思春期の少年というキャラクターであまり好みでないのですね。まあ、ありがちな主人公タイプなんです。別に嫌いでもないけどキャラがそこまで立っているわけではないのでね。
②感動要素はかなり強く、①ベイマックス萌えがあるので4~5回見ても楽しめるのだがそのあとはだんだん感動も薄れてしまうのが人間というもの。③ストーリーなんてほかの映画の追従を見せない完成度であるにもかかわらず、人間の慣れとは本当にけしからん!!と思います。こんな名作、マジで有無の超大変なのに楽しめて5回なんて……。数年ごとに見返す昨比となりそうですね。
つまりまとめると「ベイマックス」は、こう。
じゃあ「ゲゲゲの謎」はどうなんや?という話になるが、これはねえ……。
あのねええええ別にゲゲゲの謎も恋愛要素があるわけじゃないんだけどねええええ、さすが日本のアニメですよ……。
キャラクター萌えがえぐい。ビジュがいい。萌える。
そもそもだ、水木とゲゲ郎のキャラデザが鬼素晴らしい。
そしてだ、キャラ立ちがえぐい。なんと2時間弱の映画で、主人公2人の過去描写と人間描写が完璧。
わたしみたいなオタクにぶっ刺さるぶっ刺さる。
そしてキャラクターに恋する乙女となった647はまあそのキャラクターが画面の中に居ればもうドキドキするわけよ。
何なら陰陽師と戦うゲゲ郎のシーン鬼リピしたいね。基本映画なので作画がいいのですが、この戦闘シーンの作画監督だけ別なのか?ってくれい作画センスが良い。作画というのはぬるぬる動く方が、躍動感がある方が素晴らしいと思いがちですがそうじゃあない。
平成アニオタから言わせればなあ。美しく作画枚数が多い作画こそがすべてなんてそんなだせえ話はねえんだわ!!!!!!今見てもエヴァンゲリオン(アニメ)と涼宮ハルヒの憂鬱の作画が神であるように、
作画は技術力じゃねえ、センスなんだよ!!!!!(叫)
まぁ陰陽師とのバトルシーンは普通に作画枚数も多いと思いますが、カット(カメラワーク)、乱れたような作画で出す躍動感、センスセンスセンスしかねえ!!しかもステゴロで恋するゲゲ郎が躍動するんですから、何度見ても息がつまるレベルで圧巻……!
ベイマックスもゲゲゲの謎も、萌え要素である「ベイマックス」と「ゲゲ郎」は物語の途中からの登場というところで共通点もあります。
しかし萌え要素は圧倒的ゲゲゲなんだよなあ……。すまんなベイマックス……。
おいおい647、お前ただのオタクだからイケメンにしか萌えないんだろそれはディズニーに対して失礼ではないかという突込みもあろうことでしょうね。
それでいうと「ズートピア」!!!!!きつね!!!てめぇに俺は惚れてる!!
ディズニーやるじゃねえか……きつねさんには私抱かれてもいいわ……。キャラクター描写できるんじゃねえか、よう、ディズニーよう……。
そうつまり、ベイマックスに足りないこと、それはキャラクターの強さ!!!(ベイマックスのぞく)これに尽きる!!
ちなみにゲゲゲとの比較対象がズートピアでないのは、↑の感想にも書きましたが感動、ストーリーという点でベイマックスに劣るからです。明らかに作品の完成度では、ベイマックスに軍配が上がるからです。
つまり私が言いたいのは
名作こそが何度見ても面白い映画ではないということだ。
何度見ても面白い映画という枠組みと、名作(作品の完成度)という枠組みを同じ土俵で語ってはならないのだ。
少女漫画は何回読んでも面白いけど名作ではない。
少年漫画は突出した名作はあるが何度読んでも面白いかと言われるとそうではない。
この矛盾、つらいものがあるよねえ……。とおもった647でありました。どちらも兼ね備えようとすると萌え要素入れつつ名作しなきゃだからかなり難易度上がるしね。萌え要素いれまくったら本筋のストーリーブレちゃうからね。
まあとにかく、いいから黙ってゲゲゲの謎はブルーレイを発売しろやっつーことですわ。
「他者の靴を履く」 ブレイディみかこ
ブレイディみかこさんと言えば「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という著書がヒットされた方で、この本はなかなか面白かったので作者買いをしたんですが、本作「他者の靴をはく」は面白くなかった。
エンパシー(他者共感力のようなもの)について語る本なのですが、同じことを200数ページいろんな本の引用をしながら繰り返し唱えているだけで別に3ページくらいで言えない?って感じだった。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という本は、イギリスで暮らす作者の息子とイギリスの保育施設で働く作者自身の体験談が非常に面白く、つまり、イギリスと日本の幼児教育の差(教育文化の差)という面で非常に面白い発見があった。
しかし本書はただの引用本になってしまい、作者の体験談などはほとんどない上に主張もあまりないというありさま。
エンパシーと政治経済の結びつきという観点は面白いが、それも同じことを数十ページ、別の本の引用をすることで長々と示されてもしんどいだけ。正直読み終えるのがつらかった。
「ぼくはイエローで~……」のような体験談の本は、体験がなくなってしまうと続編が書けないので、確かに作家として続けていくためには本書のようなエッセイ本も書いていくしかないのだろうが、それにしても面白くなかったなあ。
エンパシーという狭い観点に絞りすぎているのではないか?
わたしとしては作者の強みは日本とイギリスの教育文化の差という着眼点だと思うので、もう少しテーマを広くとって、お国柄の違いという点を語ってほしかったなと思う。
ヴィクトリア朝時代の報道に関する記述など面白かったので。(スポンサー=取材される立場であり、ズブズブ偏向報道になるよねって話)
「エンジェルフライト」 佐々涼子
こちらも勉強にはなるが面白くはなかったというのが感想。
薦められて読んだのですが、簡単に言うと海外で死亡した死体の修復作業をする仕事をする人たちを取材した本です。
海外で死んだらどのように日本に帰ってきて、そしてそれを修復する仕事をしている人がいるんだよ、という話。
葬儀の必要性や大切な人の死との向き合い方について非常に勉強にはなったが、作者はライターなのか?という程、文章がうまくないのか、読んでいて文が頭に入りづらいんだよね。
取材力は確かにあるんだろうけど、文章力という点で損をしていると思います。
説明難しいんだけど、難しいのに読みやすい文章と、簡単なのに読みにくい文章ってあるよね。この本は、後者だと思いました。