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【実践編】授業マネジメント~ハンドボール~

過去に実践した「ハンドボール」は、多くの方に評価していただけた自身を代表する実践の1つである。前回は4年前の4年生での実践だったが、今年度5年生で改めて実践した。しかし、その間に職場も異動していたため、道具もまったく同じとはいかなかった。同じ内容のゲームを構想したが、学年や環境が違う中で適応させ、結果的に今回も大成功な単元とすることができた。

そこで、その授業を考案した本人が、学年や環境が違う中でどのように修正をして実践したのかを記すことで、今後の皆さんにとって参考になるだろうと考え、本稿にまとめることとする。


1.ゲーム設定の確認

まずはじめに、過去の実践がどのようなものだったかを詳細に思い出す。私自身で過去記事を読み返し、どんなゲームデザインだったかをレビューした(本稿を読む前に、前回の実践記録を読んでいただくと、よりわかりやすいと思います)。

このゲームを考案した当初、何よりも大事にしていたポイントは2つあった。
・全員にボール操作の機会がまんべんなくあること
・だれでも高確率で得点できること
また、授業のマネジメントとしてのポイントも次の2つがあった。
・チーム内でのコミュニケーションが活性化すること
・試合をしていない時間の役割を大切にすること

この4つのポイントを押さえていれば、今回も授業は成功すると確信していた。そこで、まず解決すべき課題は「ボール」と「ゴール」は何を使うかということだった。

異動先の職場には、前回の実践で使ったハンドボール1号球やゴールに見立てた卓球用防球板はなかったため、代用品を見つける必要があった。そこで、片手でつかんで操作でき、ほどよい大きさでキャッチもしやすいという理由から、スマイルティーボールを使用することとした。また、ゴールについてはハードルにスズランテープを下げ、ボールがハードルやテープに当たるorハードルをくぐり抜けることで得点となるようにした。

スマイルティーボール

2.試しのゲーム(1回目)

初回の授業で、ルールを理解してもらうために試しのゲームを行った。伝えたルールは以下の通り。

・ボールを持ったまま何歩動いてもよい
・DFは身体接触や手に持ったボールをはたいてはいけない
・ボールをハードルに当てるか下を通せば1点
・シュートをしたら必ず味方と交代する
・次の交代選手がコート脇のフラフープの中で待機し、シュートを打った人がそのフラフープ内を踏んだら次の人がコートに入れる

まずは最小限のルールだけを伝え、とりあえず体験させてみる。もし子どもたちの中で不都合や不満があれば、それにアジャストさせていくのが私の基本的なスタイルだ。今回は、1回目から特に大きなトラブルもなく、子どもたちが本当に楽しそうにプレーしていた。全員が得点でき、先に挙げた2つのポイントもしっかりクリアしている。これからこんなに楽しいゲームの単元が始まるのか、という動機づけが完璧にできた回だった。

3.授業の流れの設定(2回目の前)

2回目からは、45分の授業の流れを子どもたちと共有した。これも私の常套手段なのだが、単元を通して1コマの流れをパッケージ化することで、子ども自身が次の流れをイメージでき、指示がなくても動き出せるようになる。切り替えが遅ければ時間をロスして運動時間が減り、てきぱき動けばどんどん次の運動ができるということを理解させ、「楽しい運動時間は自分たちでつくり出す」という意識を育てるねらいがある。

まず体育の授業が始まる前に、予め教室で流れを伝えておく。事前に確認しておくことは、次の3点だ。
①今日はどちらのコートか(3チーム×2コート)
②どの順番で試合をするか(2チームが試合、1チームがオフィシャル)
③オフィシャルチームの役割の確認

今回の実践で最も重要な存在が「オフィシャルチーム」である。各コート試合をしていない1チームが担当し、試合の進行、審判、ボール拾い、スタッツの記録を6~7人で分担して行う。毎時間全チームが1度は担当し、全員が何かしらの「支える」仕事を経験できる。後述する授業マネジメントを見ていただければわかるが、このオフィシャルチームが機能するかどうかで、体育の「質」が大きく左右する。つまり、子ども自身のふるまいが、体育の質を決めるのだ。「楽しかったのは自分たちがよかったから。楽しくなかったのは自分たちがまずかったから。」と原因の所在をはっきりできる。

ちなみにスタッツの記録は、各選手のシュート数とパス数を、それぞれ成功・失敗に分けて正の字をつけていくという単純化したものである。とはいえ小学生にはミスは必ず起こる。重要なのは、「オフィシャルチームが記録したこの紙を絶対に信用する」という態度を宣言しておくことだ。仮に1点ずれていたとしても、この紙上のスコアが「公式記録」だと宣言すれば、全員がこれを真剣に記録するし、互いに認め合えるようになる。

スタッツ記録カード

4.ゲーム(2回目)

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