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滋賀大津にて、ドイツを堪能する。
未知との遭遇は愉しい。
それが不安要素が特に見当たらず、期待に覆われているならばなおさら。
目に飛びこんでくる文字は読めるけれど、どんなものを指すのかは見当もつかない。
しかし、きっと美味しいものであるという期待は膨らむ。
わたしは、ドイツにやってきた。
いや、正しく言うと滋賀県大津市にある
「ヴュルツブルクハウス」というドイツ料理のレストランにやってきた。
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可愛らしい民族衣装のようなワンピースに身を包んだウェイトレスさんに席に案内される。
タルト生地のような温かみを感じる明るい茶色の木目の壁や机。お部屋の家具や装飾にシルバニアファミリーのお家を連想してしまう。
可愛らしいものを見つけたら、思わずスマホをかざしてしまうのはもはや癖なのだろう。
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メニューを開き、まずは乾杯の一杯。
わたしはさほどお酒に強くないので、最初の一杯はノンアルコールと決まっている。
しかし、お酒の雰囲気は味わいたい。
ということでノンアルコールのグリューワインを選ぶことに。
グリューワインとは、赤ワインにオレンジやシナモン、クローブなどの香辛料、砂糖やシロップを加え火にかけて温めた飲み物である。
マグカップにシナモンと赤ワインの良い香りがほわっと鼻腔を満たした。
すっごくわたし好みの味……!!!
赤ワインの渋みが甘さで中和され、そこに乗っかる香辛料のスパイシーさ。
いつかクリスマスマーケットで飲んだものより、甘くて美味しい。
好きな飲み物は何と問われれば、しばらくの間、グリューワインだと答えることにしようかな。
それくらい美味しくてマグカップから減っていくのがなんだか惜しく、ちびりちびりと口にする。
ちなみに夫は、ヴュルツブルガーのヴァイツェン(白ビール)を頼んでいた。なんでも日本でここでしか飲めないらしい。折角なので、一口もらう。
・・・さ、さわやか!
苦みがなく、軽くて本当に飲みやすい。
こんなビールなら、飲み会の乾杯の最初の一杯目は強制的にビールであっても許せる!!
ビールの風味が苦手なこのわたしが、シャンディガフやマンゴービールのようなカクテルビール以外の純粋なビールを美味しいと思えたのは初めてだった。
調子に乗って、もう一口、もう一口とグラスを持ち上げる。
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まず最初にやってきたお料理は、南ドイツの名物パンと紹介されたプレッツェル。
この存在は知っている。
どこで食べたのか記憶にないが、なんとなくプレッツェルは固くてもそもそしていて、パンの皮の部分の味があまり好きではなかったのを覚えている。
しかし実際には、表面は少し歯ごたえがあるが焼きたてだからか、中はほわほわと柔らかい。
少し癖のある表面の生地の表面にほんの少しまぶしてある塩、そして、添えられていたバターを乗せるとちょうどよい塩梅。
ええ、美味しい、美味しいじゃないのプレッツェル!
今まで、そんなに美味しくないパンだと思っててごめんね・・・!
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「季節野菜とお魚のスープ仕立て サフラン風味」
こちらは、野菜とお魚と海老を使用したブイヨンスープらしい。
サフラン風味、と言われても正直ピンとこない。あのパエリアとかを黄色く色付けするやつでしょ、サフランって。
トマトのような酸味がありつつ、スパイスの香りのする華やかなスープ。
そして入っている白身魚。わたしの中では、こういった主張の強いスープに入っている白身魚といえば、鯛や鱈といったどちらかと言えば、淡泊な味の魚が定番だと思っていた。
しかし、下の上でほろりとほどけたのは濃厚な脂がのっているブリ・・・?!
個性的なスープに濃厚な白身魚。食べごたえがあって大満足…。
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一緒についてきた、ガーリックトーストは、ガーリックがぴりりと後をひくくらいたっぷりと乗せられている。
うま辛いガーリックトーストの余韻が消えぬうちに、先ほどの夫のビールを勝手に頂戴してぐびりとやる。
うま辛さが押し流され、爽快感が喉をかけ抜ける。
っはーーーー!!
なるほど、周りの人がそろいもそろって「ビールに合う~!」っていうのは、この感覚なのね!!
31歳、わたくし初めてビールを流し込んでくーっと唸る人の気持ちに共感することができました。
その次は、ドイツといえばのソーセージ。
こちらは、少し変わった白ソーセージ。(名前をメモするのを忘れた)
ふわふわと柔らかいんだけど、ぎゅっと詰まっている旨味…。甘いマスタードがまたよく合うんだなあ。
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定番?ぷりっぷりのソーセージ!
これぞソーセージな、ジューシー具合とバジルの風味が良い〜。
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お次にやってきたのは、
「バンべルガーツヴィーベル」
そう紹介されてやってきたがいいが、それはどんなものを頼んだっけと首を傾げるくらい聞き馴染みのないお料理。
この料理も幸い、メニュー表冒頭のおすすめ料理の箇所に記載されているので、おおまかな説明がある。
なになに・・・?
玉ねぎにひき肉を詰め込んだ、バンベルクの名物料理です。
燻製ビール(ラオホビア)を使ったソースをお楽しみください。
バンベルクがどこなのかも燻製ビールとはどんな味なのかもわからないので、味の見当がとんとつかぬ。
ビーフシチューっぽいな、と感じたけれど、少し違った。ビーフシチューの甘いまろやかな感じではなく、香ばしさと苦さが混ざっている。
…コクがあって美味しい。初めて出会う味。そうか、奥に控えるこの風味が燻製ビールか。大人の味、という感じがした。
ひき肉も、肉団子のようなハンバーグのような感じだったけれど、こちらもスモーキーな風味がする。
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最後は
「マスのオーブン焼き フランケン地方風」
いや、どこだよフランケン。フランケンってあのフランケンシュタインに関係してるとか?
国の場所すら結構危ういのに、地方の名前なんてわたしの辞書には存在していない。
こちらは冒頭のおすすめページに記載されているメニューではなかったので、写真や説明がなく、想像するしかなかった。
マス、小さめの魚との認識とオーブンという言葉から、わたしはなんとなくジブリの「魔女の宅急便」のキキが女の人に届けた「ニシンのパイ」をイメージしていた。
(可哀そうに「わたし、これきらいなのよね。」と言われてしまうあのパイである・・・)
ところが、やってきたのはまるっきり予想とは違っていた。
チーズか何か乗せられてこんがりと焼けたマスと、横に立てかけられた皮。フォークでつついてみると、皮はぱりっと香ばしく揚げてある。
わざわざ実と皮と別々に調理するなんて面白い。
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そもそも、こういったグリル的な魚の定番ってサーモンのイメージだったけれど、マスなんだ。
というか、マスって鱒寿司くらいしか食べたことないかもしれない。
マスに、チーズかマヨネーズ、散らされた香辛料。
さすがにこれはあんな味だろうな、とした予想はまたしても裏切られる。
間に一層、塗ってあったのは、ジャムかコンポートのような甘い味だったのだ。
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和食、洋食、フランス料理、イタリア料理、中華、韓国料理、東南アジア系の料理などなど、これまでいろんな料理を食べてきた。
どの料理も見ただけで、大体どんな味なのか食べる前になんとなく想像がつくのが普通になった。
もちろん予想超えてくる美味しさだったことは数多くある。しかし、え、こんな味なの?何が使われているの?と驚くことはほとんどない。
今回本格的なドイツ料理を食べてみて、使われる食材だって、味付けだって、今までわたしの思っていた定番がたくさん覆された時間になった。
というか、そもそも今回このレストランに入るまでドイツといえば、ビールとソーセージ、そしてジャガイモ料理でしょ~!とそのごく一部だけで知っていたつもりになっていた。
世界が広いように、きっと料理の世界だって果てしなく広くて奥深いんだろうな。
気軽に世界中をあちこち旅することは、仕事的にも金銭的にも難しい。
けれど、「食」に限るならば、海を越えなくたって今回のようにいろいろ経験できるかもしれない。
たまには定番の味を抜け出して、わたしが知らない世界の味をもっともっと冒険してみたい。
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