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りんご革命。

実を言うと、段ボールに行儀よく並んだ黄緑色が目に入ったとき、わたしはちょっとがっかりした。

「折角長野にいるしな、りんご送っとくわ」

と、仕事で長野住んでいる妹から電話を受けたのが数日前。
「いや、こっちにも売ってるし、いいよいいよ〜」と答えつつも、並ぶつやつやしたりんごのことを思い浮かべると心が躍った。

果物全般が大好きだが、その中でもりんごは、ランキングをつけると5本の指には絶対に入っている。

ただ、一口にりんごと言ってもランキングに入るかどうかは、そのりんごの種類次第だ。
わたしは甘くて、シャキシャキとした程よい硬さのりんごが好きなのだ。

さてここからは、わたしによるわたしのための独断と偏見のりんご品評会。

ジョナゴールドは、しょり、、しょり、、と優しい歯応えで、優しい甘さ。
ふじ、サンふじは、シャキシャキして甘み強め。
王林は、甘さひかえめ、さっぱり。
トキは、ちょっと王林に似ている気がする。.........といったところか。

わたしの1番好きなりんごに近いのは、ふじやサンふじ。

というわけで、冒頭にある通りちょっとがっかりした理由として、黄緑ということは柔らかいジョナゴールドか、さっぱりして甘さ控えめな王林だろう、と思ったからだ。
サンふじ、じゃないのかあ…とちょっぴり肩を落とす。


とはいえ、まずは食べてみよう。
持ち上げてみると、ずっしり重い。

さて、柔らかい方か、甘さ控えめな方か。

シャクッ。

予想に反して、しっかり甘いけど爽やか。
例えるなら「りんごです!」って主張したかと思えば颯爽と駆け抜けていく感じ。

わ、このりんご、すごく美味しい。
サンふじとは、また違った味だけど、こっちもすごく好き。
語彙力不足により、美味しさを伝えきれないのが悔やまれるけど、とても美味しい。
これは間違いなく、ランクインりんごだ。

初めての味に、「君の名は。」と首を傾げたが、残念ながら我がりんご辞書に、上にあげた5種以外はない。
もちろん名前なんて分かるはずな…

あ、書いてた。他のりんごに、妹の少しクセのある字でマスキングテープに書いて貼ってある。

シナノゴールド。というらしい。

さて、妹が送ってきてくれたシナノゴールドがたまたま美味しかったのか、この種は全部この味なのか、検証の余地がある。

スーパーに出かけるたびに、りんごコーナーで目を光らせるが、
ーサンふじ、トキ、ジョナゴールド、サンふじ、サンふじ、王林、、、。

うーん、ことごとく、ない。
それもそうか。スーパーよく置いてれば、
わたしのりんご辞書に加わってるはずだもんなあ。



りんごといえば、青りんごより赤いりんご派。

ずっと無意識に、わたしの中でそうあったことに気付く。
が、今回のシナノゴールドにより、いとも簡単に覆ってしまった。(名前にもある通り、青、というより、黄金なんだけど。)

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

さて、りんごといえば、島崎藤村の「初恋」という詩が有名である。
小学生のときに、母に買ってもらった「声に出して読みたい日本語」という本に載っており、当時、よく意味も分からないのに、語感の良さと、大好きなりんごが出てくる親近感で、繰り返し読んですっかり覚えてしまった。


まだあげそめし 前髪の
林檎のもとに 見えしとき
前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
りんごをわれに あたへしは
薄紅の秋の実に 人こひ初めし はじめなり
(1連2連のみ 抜粋)

この詩に出てくるりんごは、なにりんごなんだろうか。

薄紅の秋の実ならぬ、黄金の春の実をかじりながら、ふと思う。

#エッセイ #りんご #シナノゴールド
#果物が好き



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