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立命館を蹴って、東大を目指した話⑬(転換期編 第三章)




⑫は下のリンクから




第三章




7.開戦



  12月になった。依然として、店長のパワハラは続いていた。僕も結構言われていたが、一番被害に遭っていたのはキッチンのKさんだった。Kさんは、この人、今まで怒ったことあるのか?と言いたくなるほど優しい人だった。店長に何を言われても、ペコペコして謝る。たとえ自分が悪くなくても。
   店長からしたら、いいサンドバッグだったのだろう。それは徐々にエスカレートし、次第に「死んだら?」だったり、「お前、障害持ってるんだからさ〜」などの明らかに度の過ぎた暴言を浴びせるようになった。
  ホールとキッチンは隔たりがあるとはいえ、キッチンの空気感はこちらにまで伝わってくる。店長が怒鳴れば、ホールの空気も悪くなる。
  もう我慢の限界だった。
  このことは絶対に表に出してやる。
  余計なことに首を突っ込まないほうがいいのはわかっていたが、周りの人の心の傷が増えていくのは見ていられなかった。

  そして、社員に本部の連絡先を聞き出し、店長をパワハラで訴えた。2023年まで10日を切った、年の瀬のことだった。
  これで、あいつがこの店から消える! 平和な職場になる!
  だが、そんな僕の妄想は呆気なく打ち砕かれた。
  受話器の向こうの人はこう言った。
「ほんとに申し訳ないです。我々の知らない間に店でそんなことがあったんですね。ですが、暴言を吐かれたとはいえ、そもそも会社ってねそんな簡単に辞めさせられないんですよ……」

  予想外の返答だったが、僕は引き下がらない。
「いや、でも特にKさんは蹴られたりしたこともあるみたいですし……なんとかなりませんか!」
「すみません。物的証拠がないと、我々も動けないんですよ。代わりといってはなんですが、本人に厳重注意するというかたちでよろしいですか?」

  納得はできなかったが、とりあえず本人に自覚させることが一番だったので、無駄ではなかったと思えた。電話を切る直前に「もし、また何かあったらすぐに電話してきてね。あと、誰が訴えたかは伏せるし、犯人探しもしないように釘刺しとくから安心して」と言われたので、精神的安定にも繋がった。完全に思い通りにはならなかったけど、状況が変わった。次の出勤が楽しみになった。
  明日、アイツどんな顔してるんやろ。あんなクズでもさすがに丸くなるんかな。
  そんなことを思いながら、僕は眠りについた。



8.猖獗



  次の日、出勤していた友達に店長の様子を訊いた。
「え?なんでパワハラのこと知ってるん?笑 なんか朝礼で謝ってたで」
  え、マジで!? 返信しながら声が出た。
  これ、ホンマに流れ変わったんじゃね!? 今まで誠心誠意謝る姿なんて見せたことのなかったアイツが謝罪!?
 

  しかし、それから数日経ったある日のこと。事態は思わぬ方向へと動く。
「○○君さ、店長がパワハラで訴えられたこと知ってる?」Kさんが言った。
「いや、初耳です。それがどうしたんですか?」
  なんとなく自分が訴えたと明かさないほうがいい気がしたので、咄嗟に嘘を吐いたついた
「それがさ……店長が犯人探ししてるみたいで……」
  言葉を失った。何も変わっていなかった。
  犯人探ししないように釘を刺されたんじゃなかったんか? ていうか、そもそも犯人探しってなんやねん。こっちが悪者みたいになってるやん。
  おまけに、Kさんは休みの日だったのにもかかわらず、わざわざ店に呼び出されたらしい。仮に、そのことを訊くにしても電話で話せばいいのに、わざわざオフの日の時間を奪うなんてどうかしてるとしか思えない。    


  この店の料理は絶品だ。思わず舌鼓を打ってしまうくらい。だが、ある時から賄いを食べるのが苦痛に感じるようになった。不味さの正体。それは、この店の空気感だった。嫌いな人と食べる高級料理よりも、親友と囲んで食べるファストフードのほうが100倍うまい。
  なんでもっと早く気づかなかったのだろう。



  大晦日。年内最後の出勤を終え、外へ出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。閑散とした街中を冷たい風が駆け抜ける。そういえば、大晦日に雨降ってるの見たことないなぁなんて思いながら僕は帰路に就いた。



9.転換



  2023年1月1日。年が明けた。これを機に、ずっとやろうと思っていた英語日記を始めた。

  始めようと思った理由は3つ。
  1つ目は、もっと英語を喋れるようになりたかったから。
  2つ目は、すぐに忘れてしまうから。人は意識していなければ、昨日食べたものですら意外に思い出せないものだ。何年後かに振り返ってみると、おもしろいだろうなぁと思ったというのもある。
  そして3つ目の理由は、何かを1年間続けてみたかったから。僕は飽き性なので、基本的にあまり長続きしない。書きすぎるとダルくなって三日坊主になる自信しかなかったので、1日に1ページ丸々埋めるわけではなく、どんなに濃かった日でも4行までと決めた。


 
 

   出勤日。今日も足取りが重い。Kさんに、あれから店長は変わったか訊いたが、何も変わっていないらしい。その時に、他のキッチンの人の話も聞いた。
   パチンコを打つために、強引に後輩のKさんから30万円借りて一切利子をつけずに返す男。この店に入ったり辞めたりを何回も繰り返している50代の男。そして、パワハラ店長。
   ホールの代表者に相談したが、「キッチンはああいう人ばっかりやからねぇ……嫌でも割り切って働くしかないよ」と言われた。ニートを卒業して、バイトを始めて1年。この1年間で見てきたのは、僕が知らない世界だった。
「大学に行かんかったらこうなるで」
   友達からも何度も言われてきた。
   コロナも落ち着きを見せ始め、3月13日以降はマスクの着用が個人の判断に委ねられることになった。なぜか日本では、まだまだマスクを手放せない人が多いが、確実に収束へと近づいている。まだどうなるかはわからないが、この調子でいけばキャンパスライフが戻ってくる可能性が高い。思い描いていた大学生活が送れる。こうして、再び大学を目指すことになった。      




   2月20日。
ついにバイトをやめた。また店長にグチグチ言われるのかと思っていたが、案外すんなりいけて驚いた。近来にない喜びだった。







と、ここまでが過去の話。
疲れた!
①〜⑬まで書いてきましたが、これもう4万字以上書いてると思います笑
字数だけ見たら卒論以上ですね
(大学行ったことないけど)



大学受験しようと思うに至るまで長かった!
でも本当は、ここにこうやって宣言するのも怖いんですよ。
だって、一度東大に行くなんて大口を叩いて有言実行できなかったんですから、そこで信用を失ってるわけですよ。
失った信用を取り戻すのは、ものすごく大変なんだなぁとしみじみ思いました。
夢や目標を口に出すというのはいいことでもありますが、同時に重くのしかかります。
それを理解したうえで、宣言します!


「2025年に東京大学を受験します」


一度、東大を目指してみて思ったんですけど、今の自分の実力じゃ1年で東大合格レベルまでもっていくのは非常に厳しい。
だから、2025年にしました。
なんか噂によると、共通テストに情報という謎の科目が追加されるらしいですね……
またもや、大波乱がありそうです笑
これから本番までどうなるかわからないですが、必ずこの物語にオチはつけます。

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あ、そういや!
まだ働いてる子から聞いた話なんですけど



 なんと……






パワハラ店長のバイト先潰れることになりました
‼️


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