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ルイス·ウェインと不思議な魅力の生き物 (改訂)
不思議な魅力の生き物って猫なんですが
「ルイス·ウェイン」の自伝映画
「ルイス·ウェイン 生涯愛した妻と猫」を最近観ましてびっくりしました。
びっくりしたのは
ルイス·ウェインの登場まで、西洋など基督文化では猫を飼わないというかペットにしない文化だったという事です。
よく考えたら異教徒である魔女が飼っていたのが猫で。
一般人が飼うと魔女扱いされる時代もあったでしょう。
猫は夜に目が光り、鳴き声も嫌いな人にはひたすら不気味な声に聞こえるらしい。
怖い生き物としての認識だったようだ。
ただし、鼠を摂るのでその点では合理的な意味で飼っていない事も無かったようだ。
ルイス·ウェイン(以下ルイス)は口唇口蓋裂で産まれて、10歳まで学校に通えなかった。
そしていざ学校に通っても人とはうまくいかずに自分の世界で生きていたようである。
それでもルイスは人間以外のものが好きでそういうもの達に愛情を注ぐ。
そして絵や音楽、色々なものに興味を持っていた。
ルイスは貴族でありながら、父親が亡くなってからは5人の妹と母親を養わなければならなかった。
だが子供の頃から人間社会とあまり適合が出来ないルイス。
学校の教員をしていたのだが、イラストの世界に行く。
動物が好きだったルイスは、まず犬の絵を描く。
貴族は犬を飼うので、需要が大きかっただろう。
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既に洋服を着た動物になってます?
そして、ルイスは口唇口蓋裂という身体の障がいを抱えていたのも原因だとは思うが、恋愛をするという気持ちは無かった。
だが妹のために雇った風変わりな家庭教師と出会って恋に落ちた。
そのエミリー·マリー·リチャードソンは絵を描く事が好きで理知的であったが、下層階級の出身でルイスよりも10歳年上だった。
だがふたりは愛しあい結婚を決意した。
当時英国では、階級の差がある結婚など許さず
近所で大騒ぎになった。
*映画の中ではふたりは笑いものになっている。
その出来事は妹達の気持ちに大きな影をもたらしただろう
*ルイス年表 1860〜1939年
そんな近所を振り切るようにふたりは駆け落ちのように郊外に住む。
勿論妹達も「世間体が悪い」と、養ってくれていた兄を責めたてた。それが普通だった。
そしてふたりは暮らし、ある日仔猫を拾う。
特に妻が喜び猫に名前をつけ可愛がる(こんな事はあり得ない事だったのだろう)
2人と猫の幸せな生活がずっと続くかと思った矢先
妻が末期がんになる。
そしてルイスは妻の望みで猫の絵を描き始める。
それはいつも猫のピーターだった。
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妻がいよいよの時にルイスは耐えられない気持ちだったが
妻は「絵を描いて」とルイスに言う。
やがてルイスの絵は猫のユニークさを取り入れ
擬人化され「イラストレイテド·スポーティング·アンド·ドラマティックニュース」に連載されるや人気者になった。
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クリスマスパーティの猫達が人気なのだが
それはちょっと私は控える。
何故ならその頃の猫の方が
私はちょっと怖いです。
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やっぱり擬人化されると貴族になる?
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この頃は
子供たちに人気だったらしい
実は夏目漱石は英国に留学していた時があり、どうやらウェイン·キャットを知って
「吾輩は猫である」を書いた?という説がある。
妻がタヒんでから傷心のルイスはまた妹達と住む。
母親が亡くなり
妹達の中のひとりが統合失調症になったというのもあり
家族でロンドンから海の近くの一軒家に住む。
実はルイスの妹達は、兄のした駆け落ちや妹の病気により都会では住みづらくなっていた。
ウィリアム·イングラム卿の支援により、一家はそこで暮らすのだが…
初代猫のピーターが虹を渡って
数年後に統合失調症の妹マリーがインフルエンザでタヒに
ウィリアム·イングラム卿も亡くなり
1番上の妹も亡くなった頃からか
ルイス·ウェインの精神疾患が現れた…
実際はもっと早かったかもしれない。
また、2001年にマイケル·フィッツジェラルドは
ルイスは自閉症スペクトラムではなかったか?
と異論を言っていたらしいが、ルイスは統合失調症患者として精神病院に入れられた。
そこは貧しい人達が入れられる病院で
ルイスはおかしな絵を描く患者として何年も入れられていた。*15年間
映画「ルイス·ウェイン 生涯愛した妻と猫」を観ると
その前からルイスは当時流行っていたエレキテルにも強い関心を持っており、猫と電気の親和性を 出会った人々に話していたらしい。
猫が稲妻のような模様なのも電気のせい。
電気は凄いという事をまくし立てていたようだ。
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と、ルイスは大発見したように言うが…
確かに静電気で毛が逆立ちますわな。
やがてその電気はルイスを苦しめるようになる。
だが電気によって過去の妻と猫が自分にアクセスをする妄想も持ち何故か「未来派猫」も描く。
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「万華鏡猫」と云われる時代の絵。
こんな絵を描けるなんて
ルイス·ウェイン
到達したんだね!
と私なんかは思います。
映画は…というか実際ルイスは苦悩の連続だったと思う。
そのルイスにとって絵は重要な、生きていた証(あかし)の自己表現だった。
かつて犬の絵を描いていた時に知り合った紳士が
ルイスの電気へのこだわりを愛だと表現をした…
それは一般的には、「そうだそれは愛とも言う」
と納得させて(?)映画を終わらせるが
私は大友克洋のアニメ「AKIRA」を観たばかりなので
やはりそこは電機で良いのじゃないのかなと思いました。
電気というか、当時は無かった単語?の(もしかしてあるのかもしれないですが)
「エネルギー」ですかね…
ところで
猫イラストレーターというと私はますむらひろし先生なんですよね。
そのますむらひろし先生がデビュー当時に描いていた漫画
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*ルイスとは違い、ますむらひろし先生のイラストの猫は
どんどん親しみやすいキャラになっています。
ますむらひろし「霧にむせぶ夜」 | わとそん さんのマンガ | ツイコミ(仮) https://twicomi.com/manga/doctoruwatson/1098925902342156288
日本でも、猫って夜の不思議な生き物 化け猫 妖怪のたぐいに入れられている。
そしてなんとなく忌み嫌う人は嫌う。
*水木しげる先生は猫娘をレギュラーにしていますが…妖怪ですね。
しかしますむらひろしさんのこの漫画は宮沢賢治の童話に近い気がします。
「注文の多い料理店」のような?
人間よりもはるかに賢く、人間に神罰を与える存在。
そして
その元祖がルイス·ウェインだと思いました。
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なのでGUCCI(グッチ)もキャラを使っている…
ルイスは近代になって見直されました。
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人間との付き合いが不得意なルイスは
1枚づつ絵を安く売って
その後の版権は無かった。
なので貧乏なままの人生だった。
友達付き合いしていた
ウィリアム·イングラム卿は
何で教えてあげなかった?…
ルイスが人を信じられなくなったのって
ウィリアム·イングラム卿のせいでもなかったのかなぁ
と思います。
別荘は貸したのかもしれないけど。
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カンバーバッチさんですか…
若い時の歩き方
老齢になってから歩き方を見ると
凄いなぁと思います。
ルイスは、1890年に「ナショナル·キャット·クラブ」の会長に就任。
世の隠れ猫好き達が集まる場所を作った。
そして猫を愛でる場を広げようとニューヨークにも渡る。
ルイス·ウェインは
「猫に対する蔑視を一掃する事に貢献した」
と云われる。
1月3日追記
猫が猫であるというだけで誤解をされているので、
みんなに猫の良さを広めようと新大陸まで渡ったルイスだったが
(私は素人ですがその頃のルイスはドラマ「シュリンク」の双極性障がいのような行動に見えました)
無理がたたっているのが映画で描かれていたし、そこまでたったひとりでやれたのは偉かったのですが…病状悪化の原因にもなったのだろうなと思いました。
当時、良いカウンセラーがあれば良かったのに。
実は奥さんがカウンセラーだったんですよね。
あと、病気によって絵も駄目になったような判断をされた時代があったようですが
シンメトリーの計算され尽くしたような模様を見ると
統合失調症というよりも本質的には自閉症スペクトラムの人に何%かいるサヴァン症候群のような気がする。
サヴァン症候群とは?ギフテッドとの違いも解説【LITALICO発達ナビ】 https://h-navi.jp/column/article/35029470
私が思うに
みんなが良いと思うルイスの絵
それは妻が喜ぶために描いた絵
雑誌が望む絵 人気がとれる絵
それによって生活費が稼げる絵
を量産していた時代の絵なのであって、
生活の苦労から解き放たれた時
それは純粋な作品になる。
なので
みんなが好きな絵は
ほとんどサービスで描いたと言っても良い
と思う。
ま…あと云えるのは、猫は可愛いので好き。だからみんなにもその気持ちを伝えたかった
というのもあったでしょう。
統合失調症 絵
で検索するとルイスウェインが出て来ますがね…
統合失調症の場合は、やはり字のごとく統合しにくく混乱した脳の変化で
自分で自分の描きたいものが描けない。
そして被害者意識が強まって、加害者を醜く描き
〈例えば自分に対して攻撃的なもの。目だけ 口だけのばけもの。または自分を操(あやつ)る存在。世界にいる闇の陰謀者〉
自分は被害者という絵を描きがちだと思いますよ。
ルイスはあくまで好きな対象のみを描いていたようなので統合失調症の病気とはちょっと違うのではと思いました。
これも実際そうなのか、100%正しいとは云えませんが。
*加筆修正をしました。