「中年期のうつを支える」
昨日、「中年期のうつを支える」というテーマの講演会を聞きに行きました。講師は永田貴子さん。国立精神・神経医療研究センター精神科医師で、厚労省の精神疾患に関わる統計作成などにも関わっておられます。また今回の講演会の主催は「天理ファミリーネットワーク」という団体でした。
自殺防止の活動をしていると、「死にたい」と相談してこられる自殺志願者の方の中には、精神疾患で通院中、服薬中の方が本当に多いです。ほとんどの方がそうだと言っても過言ではありません。
そこで今回は、自分の自殺防止の活動の勉強になればと思い、受講してきました。
そして受講した結果、本当に学びの多い機会になりました。また、これを読んでおられる方の中には、自分自身が中年期のうつ症状で悩んでいるという方も多いと思います。せっかくですので、ここで学びをシェアしたいと思います。
少年期―成人前期―中年期―老年期。中年期とは40-65歳のこと。
チンパンジーとオランウータンについて、様々な角度から「幸福度」を調査したところ、子供とお年寄りが高く、中年で低いU字カーブを描いた。このことから、中年期には幸福度が下がるように、動物としてプログラミングされてるんじゃないかとも言われている。
20-24歳の平均と、55-59歳の平均では、体の機能(平衡機能や視力、聴力、計算能力、瞬発反応など)が大雑把に言うと、すべてが約半分になる。それだけ衰えるということ。
「自分でできる7つのうつ予防」
1 食事
セロトニンは脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっている。このセロトニンを増やすには、トリプトファンの摂取が効果的。これは牛乳、チーズ、納豆、種実類、バナナなどに多く含まれる。
うつ病患者の腹中にはビフィズス菌が減っているという結果がある。ヨーグルトなどの乳酸菌を接種すると効果的。
2 睡眠
寝付けなくても、アルコールは禁物。眠りが浅くなる。
通常の睡眠時間が6.5-7.4時間の人が、死亡率が最も低い。それ以上でそれ以下でも高くなる。
昼寝は20分までに抑える。夜の寝つきが悪くなるため。
3 運動
1回45分から1時間程度を、週3回の運動が推奨されている。
有酸素運動が効果的。ジョギング、散歩、水泳、ストレッチなど。
4 お酒
アルコール依存症とうつ病の合併は頻度が非常に高い。要注意。
自殺者のうち3分の1は、直前に飲酒しているという結果。
アルコール依存症とは、大切にしていた家族、仕事、趣味よりも飲酒をはるかに優先させる状態。
多量飲酒(純アルコール量として60グラム以上)は日本全国で860万人いる。依存症の疑いがあるのは440万人、治療の必要なアルコール依存症の患者は80万人。(ちなみに80万人とは、日本の山田姓とほぼ同数。それくらい多い。)
純アルコール量とは、ビール中びん1本が20グラム、日本酒1合22グラム)
5 リラックス方法
自分が何をするとリラックスできるのか書き出す。どういうときに気分が落ち込んで、どういうときに気分がアガるのかを書き出してみる。
6 「うつ病」について知る
日本では精神疾患が増加中で、特に認知症と気分障害(躁うつ病など)の増加が顕著。
家事、仕事、人付き合いなどでのうつ状態は誰にでもある。そこから「動けない自分はダメ、周りに迷惑をかけている」と感じて悪循環に入ってしまう。
うつ状態では、脳の中で神経伝達物質の中のセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが減っている。セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、日中に心身を起こしておく、気持ちを落ち着かせる、衝動行為を抑えるなどの作用がある。
服薬は、最初の2週間は効果を感じづらい。継続が必要。
うつ病を繰り返してしまう場合は、予防的に日常から服用しておくことが望ましい。
回復期にも波がある、ということを事前に認識しておくことが大事。
7 心の荷物を降ろす
「今のこころの重さはどれくらいですか?」0-100で書く…
「今 どんなことが気になっていますか?」具体的に書き出す…
→ 目を閉じて、気になることを箱の中にしまうイメージをする…
再度、0-100で心の重さを書く。
状況は何も変わっていなくても、何について不安に思っているのかを書き出したり、人に話すことで心が軽くなる効果がある。
「うつ病かもしれない…」と人から相談されたら
落ち着いて話を聞く。状況がはっきりしない場合は、確認した上で、具体的に尋ねる。5W1Hを意識して。
一度に解決しようと考えないこと。焦らずに。
本人だけではない家族(周囲との相互作用)の問題と捉えてみることも必要。
「うつ病」「自殺」「アルコール依存症」という可能性を頭の隅に置いておく。
深刻な場合は、本人の了承を得て、専門家につなぐ。
以上です。
講演の中にあった、「家事、仕事、人付き合いなどでのうつ状態は誰にでもある。そこから『動けない自分はダメ、周りに迷惑をかけている』と感じて悪循環に入ってしまう。」ということを思うとき、精神疾患、特にうつ病は決して他人ごとではなく、誰もがその可能性があるということですね…。
まずは生活のリズム、ぼくの場合は特に睡眠に気を付けたいと思います。
また、皆さんも、周りにうつ病を患っておられる方がおられるかもしれません。今回の学びが少しでもお役に立てればと思います。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました😊🙏
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いただいたサポートは大切に、僕のメインである自殺防止の活動(通信費、HP維持費、研修費、保護の際の交通費)に使わせていただきます。 新潟 自殺防止ネットワーク http://life-save.org 代表 池 芳朗