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人生の棚卸し、出発前夜。

只今、断食サナトリウムに居ます。

そう、断食真っ最中です。
noteで断食のことを書きたいのですが、まずは此処に辿り着くまでのことを書かせてください。



新年になって出発まで怒涛の忙しさでした。

ドイツで毎土曜日通っている日本語補習校で、毎年文集の本を作っています。
そこに載せる作文を仕上げるのが一苦労。
原稿用紙に下書きを何度か、最後はその上に白い紙を置いて清書します。
3人子どもがいるので、テーマも分量も違いますが、長い作文を書きあげるのは大変です。

「親がゴーストライターのなってしまう問題」はどこの家庭も同じで秋くらいから、文集だなぁ...と溜息が出てきます。
今年のゴーストライターは、なんとか小3の次男分のお役目だけで済みました。

そして今年は娘のクラスの文集委員にだったので、表紙を作ったり、集合写真を撮ったり等の仕事がありました。

そして忙しさの原因は、1月28日に漢検(日本漢字能力検定)に、中1の長女がチャレンジすると言い出したところから始まりました。
1年生の時に10級を受けただけで、以後受けたいとは一度も言わなかったので予想外でした。

新年早々から漢検に向けて猛勉強が始まりましたが、到底娘一人ではできず、毎日二人三脚で勉強することになりました。

娘が受けることにしたのは5級(小学校卒業程度)です。小学校卒業程度と思うと大したことないように思いましたが、小学6年間で習う漢字は1026字で、日常使う漢字の大多数を習うことになります。
新聞や雑誌を無理なく読むには、1500~2000字の漢字が必要で、小学6年間で習う漢字が基礎になることが解ります。

漢字に絶望する娘


「日本の子じゃないから言葉が分からないよ...」

日本で暮らしていたら日常で漢字を目にする機会はたくさんあります。
看板や駅の漢字、テレビの字幕の漢字。漢字は当たり前に日常に溶け込んでいます。
そして当然ですがドイツでは漢字を目にする機会はゼロ、圧倒的にインプットする機会が足りません。
漫画が好きなので、ある程度漢字に親しんでいるはずですが、ルビがある場合は漢字を見ていないようですし、分からなくても適当になっています。

なにより日本の同年齢の子に比べて語彙が圧倒的に少ないのです。
「政治、経済、純粋、値段...」など、日本人なら絶対に知っているであろう二字熟語を知りません。
私とは日本語で問題なく会話しますが、熟語や言い回しなどやはり家庭でよく使う言葉というのは限りがあるものです。

『その構想は机上の空論だ。』

「机上」の読みを書く問題ですが、“構想”も“空論”も読めないし意味が解らないので、机上に辿り着く前に文の意味を説明しなければならない。こんな感じで何十問もやってると声が枯れそうになります。

言葉の説明しながら、何度も大笑いしたりびっくりしたり。「漢検」だけで記事がもう一本書けそうです。

改めて一緒に勉強してみて、自分が間違って覚えていることの多さに驚きました。
一番ショックだったのは「拝」という字をずっとずっとこの歳まで、右側が3本線だと思いこんで生きてきたことです。
娘に「横線4本だけど...?」と言われてヒョエー⁉︎
今まで何度間違えて書いてきたのでしょうか...。
「拝啓・・・様」確実に間違えて書き送っております。嗚呼...なんたること。
ギャー恥ずかしい!!とのたうつ母を見て、キョトンとしている娘に言いました。

「こうやってね漢字を間違えてたら、 “大人なのにこの人漢字間違ってるよ、アタマわる...” って思われるもんなのよ」

二人三脚の勉強は続きましたが、徐々にお互い大変さが募って来ました。
現地校の勉強や試験がある中、余暇を見つけて漢字をやるのですからそりゃあ大変なのは分かっていましたが、私も毎日1〜2時間教えるのは苦行に近いものでした。

一度あまりにも娘の態度が悪くて、ブチ切れまして、

「それが教えて貰う人の態度なん?こんなに時間かけて毎日やってるのにそんなんやったら、もうやらんでいい!」

と鬼の形相で、過去問の束を家の外にあるごみ箱(紙専用)に捨てるという事件がありました。

大人気ないことでございます...。

帰国後に画面をスクショしたので日本時間に
なってしまったが実際は−8時間での会話.
ブチ切れた後、私は買い物へ行ったため
娘から送られてきた.


そんなこんなで時間は刻々と過ぎて行きます。
所詮13歳、漢検の日は迫ってくるのに、けっこう余裕かましているので要所要所で圧をかけました。

今回、漢検合格したら5級保持者。
落ちたら(ただの)10級保持者だよ(中1で)。
この差は大っきいよ〜!

打たれ強く反骨精神旺盛な娘は、その後もめげる事なく私の “このままでは落ちるよ、確実に!” の脅迫から、最後数日の追い上げは見事でした。

試験当日は、
「よく勉強したよ。合格してもしなくてもよく頑張ったって思ってるからね!」
と言って送り出しました。

漢検が終わり脱力する娘
200点満点で合格は140点以上
「過去問より簡単だった」
とは言うものの勝率は半々かな、と思っている.


「ママは怒るとめちゃくちゃ怖いよ」とは長男談。

あまり自覚はなかったのですが、相当怖いそうです。関西弁でものすごい熱量で怒るからかな・・・
母は熱い人間ホットウーマンなんです。。

文集用の短歌
川柳が得意な長男
短歌で母をディスる


翌1/29は、娘の親友と3人でデュッセルドルフへ。
頑張ったご褒美です。

親友は私が作る日本食をいつも「レッカー!(美味しい)」と言ってくれます。
本物のラーメンを食べてみたいと予々かねがね言っていたそうで「じゃあ漢検勉強、手を抜かず頑張ったら一緒に行こうね!」と約束していました。

初めてのラーメンや餃子に満面の笑み
ドイツでも大人気のタピオカ喫茶
二人でまったり🧋
いかにもアニメ好きなお客さん達でいっぱい



その間も次男の皮膚科受診、長男の眼鏡が壊れたとかで、出発前1週間は怒涛のように過ぎて行きました。
次男はドイツの学校では小学4年生のため、夏に卒業で、それに向けての三者面談で進学の話し合いもありました。(🇩🇪は小学校は4年間)

そんな忙しい中
カーニバルの衣装を買いに.
疲労困憊の母の横で
ノリノリでコスチュームを選ぶ末っ子

そんなこんなを乗り越えて今、私は断食サナトリウムに居ます。

2/1の夕方から始まり、2/8朝に回復食に重湯を食べられるまでの7日間の断食で、回復食の期間を合わせて9泊10日です。
断食といっても、ジュース(リンゴと人参)3杯を1日3回(計9杯)、10時に具なしのお味噌汁、そして部屋に準備されている生姜湯は黒糖を入れて好きなだけ飲めます。

現在は3日目になりますが、お腹は空いているものの飲み物をしっかり取っているので、そこまで強い空腹感は感じていません。

思えば20年くらい断食道場に興味があり“いつか行ってみたい!”と思い続けて来ました。
この数年、体重が増えてもそれを元に戻すのが凄く難しくなってきている、という実感がありました。
昔からストレスを食で紛らわせてしまう癖がありましたが、ここ数年「口に入れるものにもっと注意を払いたい」という気持ちが芽生えるようになりました。
でも「今くらいの量でもう適正かも」と感じつつも、脳の“空腹じゃなくても食べたい”欲求になかなか打ち勝てません。

体重が増えると身体の動きが悪くなり、自分自身が重い。そして食後の眠気が酷い...と、パフォーマンスの質が落ちているのを解っていながら、なかなか抜本的に変えることが出来ませんでした。

精神的には最近、この4年に起こった激動の時間をようやく潜り抜けたなと感じています。
それは私自身の、元夫に対する向き合い方で実感する様になりました。
「心が凪いでいるなぁ」と彼と話していてふっと思います。

もうすぐ誕生日を迎えることもあって「食」という生活の中のとても大きな部分を、一時断つことで自分と向き合い「人生の棚卸し」をしたい。
そして、46年間酷使しながら共に歩んでくれた体を労り、その体の声を少しでも聴きたい、そう願っています。


また続きをnoteでご紹介させてください🍀

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