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なぜベテラン営業には“一匹狼タイプ”が多いのか。

40’s Biz talkは法人営業やBtoBマーケティングが専門の40代男性2人、杉本浩一柳澤大介がお届けするポッドキャスト番組。

音声番組の内容を読みやすく要約してnoteでお届けしています。第38回は「ベテラン営業って一匹狼タイプが多くない?」です。

サマリー
・ベテラン営業に一匹狼タイプが多い理由を考える
・中小企業では営業vsマーケ、大企業では営業同士の争いも
・売上の数字と同じくらいチームプレーが求められる


それでは、本編の内容をお届けします。


なぜベテラン営業は一匹狼タイプが多いのか?

柳澤:今回のテーマは「ベテラン営業は一匹狼タイプが多くない?」です。これ、わかりますね。

杉本:わかります? 皆さんもよく聞く話だと思うんですけれども、マーケ組織と営業組織の分断ってよくあるじゃないですか。

柳澤:ありますね。

杉本:お互いが仲悪いみたいなね。正直、マーケの人とか営業の人とか、どっちが悪いというよりはどっちも悪いみたいなことだと思うんですけど。

例えば40代以上の世代って、やっぱり営業は一匹狼で、いい意味で言うと責任感が強い。その反面「俺がお客さんを握ってるんだぞ」というところがあって。これは責任感が強いことの裏返しで、「この案件は俺のもんだ、俺がお客さんとコミュニケーションするよ」みたいな感じ。

さらにマーケと連携はしなくて、取ったら俺の案件だし、俺だけがやるぞっていうね。ひとことで言うと一匹狼タイプが多いんじゃないかなって。これも分断の原因だと思うんです。

柳澤:特に僕らの世代だと、受注後の納品も営業が行う時代だったじゃないですか。

杉本:そうなんですよね。

柳澤:だからこそ、俺の客に手を出すな、みたいなことありましたよね。

杉本:そうですよね。私は通信キャリアのエンタープライズ営業出身ですけれども、そもそもマーケティング組織が古き良き日本企業にはなかったんですよ。

だけど徐々にマーケ組織が出来るじゃないですか。そして、リード獲得したり、メルマが配信をする。

で、営業でよくあるのは、「俺の客になに勝手にメルマガ送っとるんじゃ!勝手にコミュニケーションするんじゃねえ」みたいな。これないですか?よく聞くんですよ、そういう話。

大企業で起きがちな営業の縄張り争い

柳澤:僕も最近聞きました。例えばメルカリもそうですけど、どんどん子会社を作っていくじゃないですか。メルペイとかね。GMOもそうですね。

で、同じお客様に対してグループ間でいろんな商品を提案するケースってあるじゃないですか。この前聞いたのは、親会社と取引がある売上1000億円以上の会社が、例えば100社あるとするじゃないですか。

で、子会社を立ち上げて、中小企業ではある程度シェアが取れてきたから、今度はエンプラ行きたいと。

ただエンプラってマーケティングが難しいから、リファラルで行きたいですよね。で、その子会社の社長が、親会社のエンプラの営業担当に、「A社を紹介してくれない?」って相談したらしいんです。

そしたら、その親会社はいろんな商品を扱ってるから、「いや、まだ他にもいろいろ提案したいから、まだ触ってくれるな」と言われて、エンプラ営業が進まない。

杉本:あー、わかる。

柳澤:だから結局、グループ間のシナジーが出ない。営業が紹介してくれないんで、結局自前でエンプラのリード獲得からやらざるを得ないみたいな。

杉本:これも何だかなって感じですよね。お客様のためにもなってないですし。完全に営業が顧客視点じゃなくて、自社視点、自分視点になっている。

柳澤:ね。営業の気持ちもわからなくもないけど。やっぱり自分が担当しているお客さんに同じグループ会社とはいえ、商品が入ったら予算は減るわけじゃないですか。

だからその営業は、自分のお客さんに然るべきタイミングで提案したいんでしょうね。

杉本:そうだよね、わかりますよ。必ずしも古き良き日本企業だけじゃなくて、伸び盛りのメガベンチャーでも似たような話ってよく聞く。

例えばメガベンチャーでも徐々に事業が伸びていくときに、商品がA、B、C、Dみたいな感じで複数出てきたりするじゃないですか。

いろんな領域を攻めていくために増えてきていて、そのときによくあるのが、商品毎に事業部ができて、事業部毎に営業組織・マーケティング組織を作ったりとかよくあるじゃないですか。

そのときにそれぞれの商品のエンプラ営業とか、それぞれの顧客の営業がいるんだけど、まさにいま柳澤さんがおっしゃった、1社のお客さんに対して、各事業部がその予算を取り合っていくみたいな。だからお互いに情報を出したくないみたいなね。

そんな笑えない話が出てきて、社内で対立していく。けっこう聞きますよ。だから評価の仕方とかも大変みたいですよね。例えば、XX社には商品Aが刺さっていて、その営業が商品Bを扱う他事業部をつないであげればいいんだけども。

紹介すると、自分が商品Aの担当なのにBが先入っちゃったりとか、Bの営業が余計なことを言ってAの受注がなくなりそうとか、よくあるわけなんですよ。

だからそうならないように商談に同席しなきゃいけない。なるべくならつなぎたくない。

紹介して受注になったらダブルカウントしたり、評価制度でカバーしていくんだけど。そう考えると、営業の職種自体がそういう一匹狼にさせる背景みたいなのもあるけど、実際やっぱり組織的な分かれ方とかで、どうしてもそうならざるを得ないのかもしれないですよね。

柳澤:紹介した営業と紹介された営業の両方に数字を付けるダブルカウントで思い出した。昔いた、とある会社でそのダブルカウントをやってたんです。問題なのはダブルカウントを容認すると、例えば実際は1億しか売れてないのに、売上実績は2億円になることがあるんですよ。それで評価の時に大変なことになった。

杉本:そうそう!ダブルカウントって、私が知る限りあまり効果が上がらないケースが多い。

ダブルカウントすると、売上が1億と1億で2倍になるじゃないですか。だけど売上は1億円で売上が増えるわけじゃない。評価では2倍に増えるけど。

結局あなたが出した売上はこれですよねってなって。ダブルカウントが形骸化していって評価されなくなっていくから、結局やらない。そうなってきた経験の方が、私は多いんですよね。

柳澤:僕もそう思います。ダブルカウントだと正当な評価ができない。

これからの営業はチームプレーもアピールすべき?

柳澤:最近のB2Bスタートアップだと、THE MODEL型の営業組織が多いじゃないですか。ってなると、エンタープライズセールスも営業が全ての工程をやらないことがありますよね?

そういう会社だと、一匹狼タイプの営業はどんな感じですか。杉本さんの印象だと。

杉本:一匹狼タイプが少なくなったんだろうかっていうとね、意外となくなってない気もするんだよな。

私の考えとしては、営業の受注率は商談前の準備とか、どれだけ顧客のことがわかってるかっていうことが影響してくると思うんです。それができてるか、できてないかで当然トークが変わってくる。

営業は売上という一番大きなものを負っているから、その意識が強くなって、「この成果は俺の成果です」っていうのを言いたくなる。

でも売上って、みんなの成果なんですよ。

例えばカスタマーサクセスの人がしっかりとやってくれて、関係性を作ったからさらにクロスセルとかもある。

でも、営業ってお客様との関係性でいくとどうしてもペコペコせざるを得なかったり、専門性があるっていう感じで捉えられないから、売上が自分の存在意義になりがち。

そんなことが裏返しになって、「これは俺が全部やるんだ」っていう意識に育っちゃうんじゃないかなみたいな。

柳澤:営業って転職するときの履歴書に、トラックレコード的にシンボリックな企業は自分が開拓したって書く人いませんか?

杉本:書いてます(笑)。僕の職務経歴書はシンボリックな企業の事例とどういう苦労があったみたいなことをちゃんと書いてますからね。

柳澤:けど、マーケとかインサイザーセールスの人は書かなさそうじゃないですか。

杉本:確かに。

柳澤:営業は強いプレッシャーと共に売上責任を負ってるから、余計そこに対する執着と思いがあるのかもしれない。

杉本:営業はそういうふうに職務経歴書に書いてアピールしがちじゃないですか。

だけど今後は、やっぱりマーケとかカスタマーサクセスと連携をちゃんとして、ワンチームで対応しましたっていうほうがはっきり言って顧客のためにもなるし、売上も高くなるはずなんですよ。

そうした方がLTVも上がるので、本来は営業もチームを跨いだ協力がちゃんとできますって書く方がいいと思うし、正直、経営陣のウケもいいと思いますね。

“俺がこれやりました!”っていう人はむしろ要注意。私の職務経歴書はそうなってますけど、部門を跨いだ連携もできるって風に職務経歴書を更新しようと思います。


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