植物距離感。
ほらあれ、あれ。
外が見える1階の窓の前に呼ばれて、ほら、あそこ、と言われる。
あそこに赤い花があるでしょ。
え、どこ?
その言い方を聞いて、道路の向こうのマンションの敷地内の樹木を見るけれど、そこには、赤い花はない。
わからないので、さらに聞くと、私が見ているところより、さらに向こう。距離にして、10メートル以上先のことだった。
そこに赤い花が咲いている。
マンサクの花
それは、マンサクの花だった。
私も歩いて行って、写真に撮ったりした。
赤くて、小さいはたきみたいな形状になっていて、不思議な花びらで、といった妻の説明を聞くと、確かに、ちょっと変わった花だというのは、分かった気がした。
それも、その赤さも、どこか、ピンクに近いけど、ボタン色で、それで、いっぱい咲いていると圧倒されるような気配がある。
妻が、そういう話をしていて、それを聞いてから、マンサクの花を見ると、なんだか、特別な花のように見えてくる。
今まで、マンサクの花、という名前に、もっとのどかな印象を勝手に持っていたけれど、こうした赤い花が一斉に咲いていて、しばらく見ていると、どこか、違う世界の印象までしてくることに気がついた。
さらに、家から見える場所だけではなく、もう少し歩いて、道路を曲がって、コンビニの向かいのところにもマンサクの花が咲いているのを、妻に教えてもらって、そこも見にいく。
光の当たり方のせいか、それとも、生えている場所の違いなのか、その赤みがちょっと違って見えた。
植物距離感
ところで、最初に、このマンサクの花のことを教えてくれた時のことは、やっぱり違和感があった。
妻が、あそこに赤い花が、といった感じは、もっと近い距離のことだし、それに、実際にマンサクの花が咲いている場所は、家の窓から30メートル以上はあって、しかも、赤い花も、かなり小さく見えるはずなのに、とても鮮明に妻の目には映っているように思えた。
妻は、いわゆる近眼で、小学生の頃からメガネに親しんできたくらいだし、普段は、少し遠いところは、それほど見えないはずで、その基準で言ったら、もっと遠くの小さい花のように話すと思っていたのに、私には、かなり近くに感じるような言い方だった。
私は、老眼になったけれど、この前、目が赤くなったので眼医者に行った時に、視力を測ったら、1・5はあるから、目はいい方だと思うのだけど、そのマンサクの花は、建物に区切られた小さな空間に、やっと見えた印象だった。
それは、庭の植物の時に、妻には「植物視力」があると思ったのと同様に、興味がある植物に対しては、実際の距離よりも近くに感じるような「植物距離感」があるのだと思った。
そう考えると、最初に、マンサクの花のことを、ほら、あそこ、といった時に伝わってきた「距離感」のことが、納得ができた。
ただ、そのことを妻に伝えても、それほど、強い反応もなく、そうかも、くらいのことだから、考えたら、妻にとっては、日常的なことに過ぎないからだろう。
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