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駅で見かけるものは、どうしてあんなにおいしそうなのだろう?

 必要以上の外出をしないようになった。

 特にコロナ禍以降は、重症化リスクのこともあるので、なるべく人が多い場所には行かなくなった。

 まだコロナ禍は完全に終息しているわけでもなく、こうしたニュースを知ると、やっぱり気をつけようと思う。


 それでも、時々、妻と一緒に出かける。

 少し遠くの街に行くときは、電車を乗り継いで、あちこちの駅の構内を歩く。

 そういうときに、思ったよりも乗り換えに距離があると思うこともあるし、空いているスペースが多いと感じたりもする。

 そういう場所には、以前よりも、いろいろなショップができているし、時々、机やワゴンが出て、その時だけの商品が並ぶこともある。

 JRから、いつも乗っている私鉄に乗り換える時は、階段を登ったり、降りたりするのだけど、その途中に、普段はあまりみない、というよりは、北陸というのぼりのようなものが見えた。

 私よりも、妻が、それに反応して足を止めて、見てっていいかな?と聞かれたので、それに関して、帰りで急いでいるわけでもないので、いいよ、と答える前から、そこに並んでいる食品中心のものを真剣に見ていた。

ビーバー

 そのなかに、見たことがない袋と名前があった。

 ビーバー。

 もちろん、動物の名前として知っているけれど、そこに近寄ると、おかきのようなものだとわかる。恥ずかしながら、全く知らない食べ物で、揚げあられらしいのだけど、どうしてビーバーなのかわからない。

 だけど、北陸といえば、お米がおいしい、というイメージがあったので、だから、これも味がいいのではないか、と思ったのだけど、そのビーバーは、ベーシックなものだけではなく、いろいろな味のものが売っていた。

 そうなると、お米の味が分かりにくくなるのでは、と思ったものの、そこには何種類も並んでいて、他の商品と比べても、かなりの面積を占めていた。

 私よりも、妻の方がこのビーバーに関心を持っているのがわかった。

 それで、相談して、少し迷って、カレー味にした。

 その値段は約290円だった。揚げあられにしては、少し高いのだけど、妻はうれしそうだった。

 こういう、その地域特産のようなもの、そこでしか売っていないもの自体に、妻はワクワクするらしい。その上、駅の構内で売っていると、たとえ遠くまで行く路線ではなく、自宅の方向へ向かうだけの、いつもの私鉄であっても、旅行気分のようで、さらにワクワクする、という。

 確かに、同じものが、スーパーなどで売っていると、それが北陸特産とわかっても、興味を持ちながら、だけど買わない、ということになったかもしれなくて、それは、あまりにも日常の中にあって、そして、その売り場の中には100円台で、揚げあられのようなものがあるから、どうしても買うまではいかなかったかもしれない。

カレービーバー

 北陸に詳しい人であれば、どうやら、誰でも知っているようなお菓子らしい。

 ただ、私たちにとっては初めてのお菓子で、おやつの時間に食べた。

 妻は、買う時から、少し前のめりだったこともあって、おいしい、サクサクしている、と笑顔だった。

 それから、その袋の裏を見て、「魚っぽい味がすると思ったら、昆布が入っている」という言葉が続く。

 食べ進めるほど、おいしくて、このサクサクがクセになる。

 ---やっぱり、お米がおいしいのかも、と妻は言っていたのだけど、私も食べて、素直においしいと思った。

 予想以上に軽い食感で、確かにどんどん食べてしまう感じはする。ただ、お米の味を確かめたいのであれば、プレーンのビーバーを買うべきだったのかもと思い出し、そういえば駅構内に並べられた机の一番すみに、プレーンなビーバーが売っていたのだけど、それを思い出しても、何にもならなかった。

 ただ、自分がケチなのか、用心深いのか、ほぼ290円の値段については、ちょっと気になっていて、現地価格よりは高いのではないか、と思っていた。

ビーバーというネーミング

 ただ、こうして実際に食べてみても、よくわからないのが、そのネーミングだった。

 1970年に開催された大阪万博カナダ館のビーバー人形の歯と、お菓子を2本並べたカタチが似ていたことが商品名の由来です

(『北陸製菓』より)

 これを知ったとしても、21世紀の現在で意味がわかる人がいるのだろうかと思ったが、ただ、この中で1970年の大阪万博が、最も重要なワードかもしれない。

 もしかしたら、この書籍ではなかったかもしれないけれど、著者の蛭子能収は1947年生まれで、大阪万博の頃は、すでに20代で働いていた。だから、1970年の大阪万博の熱狂のようなものにも少し触れていて、会社を休む理由として、万博に行きます、といえば、上司も納得した、という世間の空気について、書かれていたと思う。

 それだけ、ほとんど全員が浮かれていたし、なんとか行こうとしていたのも事実だった。

 そういう全体が盛り上がることは、それ以降はほとんどないし、これからは不可能だとも思うけれど、だからこそ、この揚げあられが、1970年に発売されようという時に、大阪万博のエピソードを入れても、当時の人たちは、あああれ、あのカナダ館の---と通じたのかもしれないし、当時では、カナダ館のビーバー人形といえば、ウケた可能性すら考えられる。

 そんなことを思わせるネーミングだった。

 だけど、今は、もしかしたら、そういう由来はすっかり忘れられても、というか、知ってもピンとこない名前になっても、揚げあられにつける名前としては独特なので、名物になっているのかもしれないと思った。

コンビニでの販売

 妻は、かなり気に入ったらしく、しばらく経ったら、コンビニで見つけたと「都こんぶビーバー」を買ってきた。

 おいしかった。

 値段は、約230円。やはり駅構内よりも、少し安い。

 そのビーバーを食べ終わってから、妻はもう一度、同じ「都こんぶビーバー」を買ってきた。

 よほど気に入ったようだ。

 ただ、あのとき、駅の構内で買わなかったら、少なくともうちでは食べることはなかったかもしれないと思うと、偶然の力、のようなものを思う。というよりも、妻の、(自分の好きなものを)見つける力の強さ、と考えた方が正確かもしれない。



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おちまこと
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