「メロンパンの現在地 2024」
コンビニの前を通ると、ポスターが大きくて、そこに映ったメロンパンがおいしそうだった。
新しいメロンパン
最近の食べ物の新製品をあらわす時は、小さい「つ」や「〜」が多用されるような気がする。
ただ、メロンパンとクリームパンを組み合わせて、いいとこ取りができる、というのが、ちょっとイメージしにくかった。
しかも、新しい商品が発売されるときは、1種類だけではなく、最低でも2種類を一斉に販売するようだ。その方が注目の浴び方が増えるからかもしれないが、こうした方法については、ただの消費者ではわからないくらい、今は洗練されたマーケティングが行われているのだろうと、勝手に想像する。
でも、やはりメロンパンとデニッシュを組み合わせて、いいとこ取り、というのもやや想像がしにくかったが、メロンパンと何かを組み合わせているのは、やはり新しいような気がしたし、食べる前から、これまでと違うかもしれないという期待が少し高まった。
ただ、いわゆる袋パンで、デザート系と思っているパンはあんぱんやクリームパンなど何種類かあるけれど、その中でメロンパンだけが「パン」という縛りから、やや自由な印象がある。
それは、たぶん、ずっと以前から、そうだった。
メロンパンの印象
パン屋やスーパーの棚にパンが並ぶ。
自分にも育ち盛りと言われる時期があって、その頃は、身長が伸びたり、体重が増えたりするので、体を大きくすることに食物を使っているのだから、今から考えたら当たり前なのだけど、ウソのようにお腹が空いていた。
だから、そんな時期に棚に並んでいるパンが何種類もあるときは、個人的な好みに過ぎないのだけど、メロンパンを選ぶことは少なかった。
特に子供の頃の自分にとっては、外側がサクッとしているのだけど、店によっては心地よい感触ではなく、固いといっていい歯触りになってしまっているし、何より食べたときに、中味がなかった。
それは、外側を覆う部分に甘い味がついているから、それ以上は不要ということかもしれなかったが、やはり全体を食べている時の満足感のようなものは、あんぱんやクリームパンやチョココロネに比べると、個人的にはちょっと物足りなかったと思う。
ただ、あいまいな記憶に過ぎないけれど、やたらとメロンパンを好きな子どもはいたような気がする。基本的に、メロンパンの味は、メロンじゃないのにメロンパンという名前がついている時点で、微妙な抵抗感があったから、メロンパンが好きな人間は、メロンが好きなのではなく、メロンパンの味が好きだったのだと思う(ちょっとややこしくて、すみませんが)。
だから、メロンパンには、確かに、他にはない独特さはあったはずだ。
メロンパンの歴史
あのサクサクは、ビスケット生地だったのを恥ずかしながら初めて知ったし、パンとビスケットという組み合わせは、当時ではかなりトリッキーなことのはずだ。その上で、メロンパンが謎だらけ、ということをわかると、なんだか納得感もあった。
まず、その誕生から様々な説があってはっきりしないようだし、メロンが一般的になるのは、このパンが生まれた後だから、最初はメロンパンと言われていなかったとか、さらには、つい最近の日本国内でも、かなり違う形の「メロンパン」があった、といったことまで、この記事によって初めて知った。
パンの形はキープしたまま、その中に何かを入れる、というオーソドックスな菓子パンではなく、パンにビスケット生地をのせる、という方法は、考えたら、ちょっと変則的だし、だからこそ、いろいろな謎が生まれやすくなるのではないかと改めて思った。
その上で、菓子パンの構造としては、自由度が高く、だから、誕生以来、様々な「メロンパン」が生まれて、それは、同じ「メロンパン」と思えないほど、幅の広い種類になっていたのかもしれない。
個人的な記憶としては、それまでパンの中にクリームがなかったのに、初めてクリームが入ったこと。さらには、そのクリームの味がメロンに近づいたことなどが、メロンパンの進化として記憶に残っている。
基本的には、熱心にメロンパンを追い求めてきた方ではないので、それほど全部を知っているわけではないけれど、メロンパンのおいしさの進化のスピードは、21世紀に入って加速したようで、「おいしいメロンパン」という言葉をよく見るようになった。
そういえば、自宅の最寄り駅のそばのテナントは、長く洋品店をやっていた場所があって、そのお店が閉店すると、かなり短いサイクルで店舗が変わるようになり、そのうちに「1日3000個売ったメロンパン」というのぼりが立つ店ができて、開店当時はかなり安く売っていたので、行列ができたし、一度は食べたものの、おいしいけれど期待が高過ぎたせいか、次は買わなかった。そのうちに、また違う店になっていた。
メロンパンの現在地
それでも、なんとなくメロンパンのことが、どこかで気になり続けているのは、メロンパンの新作は、ひっきりなしとは言わなくても、ずっと更新を続けていたせいかもしれなくて、今回のローソンの商品も、その流れに沿ったものだと思う。
そして、思わず2つ購入してしまい、妻と一緒に食べた。
妻は、このクリームメロンパンを食べた。
「メロンパンと思って食べたら、食べた瞬間、メロンパンに思えなかった。
食べたことのない感じ。クリームもおいしい。
食感が新しい。
ガッツリ食べている感じで、おいしい。
また食べたい」。
私も、少し分けてもらった。
新しい感じがしたのは、あまり食べた記憶がない味のせいだ。
袋パンのメロンパンの可能性を広げた。
すごくたっぷりした味がする。
そんなことを思った。
妻に食べてもらった。
「サクサクとしている。
洞窟を食べているみたい。
食感が珍しいけど、美味しい」。
確かに、食べていると、すき間がある。
そして、その上部と下部で味が違う。
上がサクサク。下がしっとり。ここまで違う感じが、よく一つのパンになっていると思った。
下の味はバターの味がしっかりしている。
おいしかった。
知らないうちに、「高級メロンパンはブームではなく定番」になっていて、こうした記事に載っているようなメロンパンは食べたことがないので、今のメロンパンについては、何かを語ったりする資格はないのかもしれないけれど、それでも、ローソンの新しいメロンパンを食べて、なんだかうれしかった。
それは、「メロンパンの現在地」という新しさを感じたせいだ。
他の菓子パンと比べると、どうしてメロンパンだけ、新しくなっていくのだろうといった疑問がわくくらいだけど、そういう進化を見せられることが、なんとなく気持ちを明るくさせてくれる。
それは、メロンパンの「初号機」といっていいものが、すでにパンにクッキーの生地をのせる、という自由度の高い形態をとっていたことが、今の進化に繋がっていると思ったけれど、同時に謎が多いこともメロンパンの幅の広さにつながっているのかと思うと、ちょっと不思議な気持ちになる。
まだ、メロンパンは進化する。と思えたら、それは熱心なファンでなくても、ちょっと楽しみにもなっている。
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