冬の雨は、少しこわい。
少し前に雪が降った。
ほとんど雪が降らない地域だと、それが非日常的で、景色が変わって、夜でも外を見たら少し明るく見えるのは、ちょっと不思議だった。
天気予報
そのあと、急に暖かくなったり、気温が下がったりが繰り返され、天気予報には雨のマークが並んだ。
洗濯物が洗えないと最初に思った。
その期間に入ったら、本当に雨が降るようになった。
恥ずかしいけれど、百葉箱くらいしか天気のデータの機械のイメージがない私にとっては、現在は想像もつかないほどの高性能のマシンによって分析がされているのだろうから、最近の天気予報の精度は上がっていて、ほとんど大きくはずれることはなくなっていた。
だから、これから先、1週間くらいはほとんど毎日、雨が降るかと思うと、勝手な感覚だけど、少し憂うつになった。
雨の音
雨が降ったり、止んだり、少し晴れ間が見えたときには、これだけ雨が続いているのに、こんな気温になるのは変だと感じながら、20度を超えたというニュースを見て、確かに暖かかったけれど、そんなに気温が高かっただろうか、などと思っていたら、また空が暗くなり、雨が降りはじめた。
その次の日も、寒くなった。
空は、あいかわらず重めの灰色で、雨が降ってきたのに、音がしないくらいの降り方から、またはっきりと雨音がするようになる。
ずっと雨が降っていて、ニュースを聞いたら、真冬の気温になったらしいことを知る。1日の最高気温は、夜中に記録されて、そこからはずっと気温は下がり続け、気温8度くらいになっているようだ。前日との温度差が15度くらいで、体も元々強くないから、体調が不安になる。
本当に寒くなっている。
雨がまだ降っているから、さらに気温が下がりそうだった。
静かだった。
雨の音だけが聞こえる。
南極は周囲に何もないから、風の音が聞こえなくて、突然風が吹いてくるらしい、というのを聞いたことがあって、それほど行きたい気持ちもないけれど、その感覚に興味はある。
同じように、雨もただ降るだけではほとんど音がしないはずだ。周囲に何も人工物がない場合には、例えば草花に雨がかかる音くらいになるから、今聞こえているのは、自分が住んでいる家の屋根や、周りの家に当たる音が、雨音として聞こえてくるのだろう。
だから、時々、耳に邪魔になるほど、連続して大きめの音がするときは、どこにあたっているのだろうと気になるが、それがどういう変化があったのか、また急に聞こえなくなると、その大きめの音が気になっていたことも忘れてしまう。
冬の雨
冬の雨が、これだけ何日も続くのは、それほど記憶にない。
こうして家にいられるのは、仕事も少ないせいだ。さらに、これから増えるあてもなく、そのために生活がギリギリで、雨が降って、雨音に囲まれていると、孤立感が思ったよりも強くなって、そのために少し未来を考えると、経済的不安が強くなっていき、それはちょっとした恐怖感にも変わる。
それなのに、誰かと積極的に関わっていく思いにもなれない。10年単位で努力しても、なかなか形にならないことに、なんだか疲れてしまったような気もする。
冬の長雨は、大げさに言えば、生命力を少しずつ減らされていくような気持ちになってしまうのかもしれない。
それは、それでも、そんなことを思える余裕ともいえて、だから、もしかしたらまだ恵まれた状況でもあるのかもしれないけれど、ただ、気持ちは沈んでいく。
出かける用事がないと、雨が降っていると、ちょっとした外出さえもためらってしまうから、買い物でさえも、少しだけ晴れているときに出かけ、それでしばらく大丈夫なくらいの食料を妻に頼まれて、ヘルメットをかぶって自転車に乗って帰ってきた。
それから、また家にいる時間が長くなる。
雨は降り続き、気温は下がり、時々、止んだと思える時もあったけれど、外を見ると、道路を歩いている人たちは、みんなカサをさしていた。
夕方になっても雨は降っていて、空は灰色のままだから、このところ日が長くなったと感じていたのに、また暗くなるのが早くなっている。
夜になって、まだ雨が降っている。それは雨音が変わらず聞こえてくることで、いやでもわかる。
気温はさらに下がっているように感じる。
冬の雨はやっぱり冷たいし、寒さが増すし、そのことで、ちょっとこわくなってしまうのかもしれない。
東京都内なのに、9チャンネルの「TOKYO MX」が、雨が降ると映りがとても悪くなり、画面が細かく分裂するようになって、ほとんどその内容がわからなくなり、夜中のアニメも見られない。
録画すれば画面の質は大丈夫になるのだけど、同じ時刻に録画している、さらに大事な番組があるので、それもできない。
夜中になって、ラジオを聞いて、それから眠った。もっと早くふとんに入ろうと思っているのに、どうしてか、少しぐずぐずしてしまう。
違う発想
普段からその傾向はあるのだけど、そんなふうに暗い気持ちが続いているせいか、より暗くて、変な夢を見ることが多くなり、起きたときに、すでに憂うつになっている。
今日も雨が降っていて、洗濯ができない。
雨音が続き、その音の程度で、それほど強くもないけれど、当分、やまないのはわかる。
晴れている時は、洗濯を始めるときに、日光にあたり、少し風が吹いている時などは気温が低くても、気持ちいいと思えて、それで少し気持ちが明るくなっていたことを思い出す。
気候と気分の関係は、やっぱり深いと思う。
ただ、今日も一緒に録画していたドラマを見ていた妻は、雨が続く日々の中でも、それほど変わらないように見える。
それで、雨が降っているけど、気持ちが暗くならないのかを聞いてみたら、どうしてそんなことを考えるのだろう、といった気配で、すぐに答えは返ってきた。
「だって、やることはあるし、外へ出かけられなかったら、本を読めばいいし、ドラマ見ていると楽しいでしょ。
幸せを細かく見つけているかもしれない」。
なんだか、すごいと思ってしまった。
いつもほんのりと明るさを維持している人で、細かい気分の上下はあるものの、基本的には気持ちが安定しているから、私のように基本的に暗く、油断しているとさらに暗くなってしまう人間にとっては、一緒に暮らしていることで、とても救われている。
考えたら、そういう妻がいなかったら、この冬の雨のために、もっと気持ちが沈んでいるのだろうと思った。
さらに、こうして冬に雨が続くのは、珍しいのではないか、といった疑問を向けてみると、またすぐに答えは返ってきた。
「今は、天候が変になっているんだから、これまでと同じと思うのが、おかしいんじゃないの?」
穏やかにそう言われると、確かに、その通りだった。そして、その天候の変わり方は、自分も含む人間のせいのはずだし、そういう変化の時代に生きていることも、確かにそうだった。
ナチュラルに違う発想ができる人と一緒にいられることは、幸運なのかもしれない。
雨はまだ降り続いていて、そして、気温はさらに下がって6度になるという天気予報も聞いたけれど、気持ちの暗さはちょっと薄まったような気もする。
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