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「いちばん柿」が、食べられてしまっていた話。

 家の庭には、がある。
 外からも目立つし、実がなる頃は、道路を歩く人がよく見ていってくれて、時には、柿について、会話をしていたりする。
 毎年、実をつけるし、かなり大幅に枝を伐採しても、そこからまた伸びて、実をつける。
 樹木の強さを感じさせてくれるし、秋が深まってから、だいだい色のような明るく、おいしそうな仕上がりになるけれど、この柿は、ずっと渋柿だった。

 妻に聞くと、昔、妻の父親が甘い柿にしようとして、接木みたいなことをしたらしいが、うまくいかず、ずっと渋いままだった。

 時々、高枝切りばさみなどを使って、柿を取り、落ちてくる柿がうまくとれずに、落としてしまって、ダメにしたりもするが、そういう作業をしていると、いつにもまして、道路を歩く人たちの注目をあびる。

青い柿の実

 今年も、いつのまにか柿の実は、なってきた。
 青い柿が、たくさんなって、6月くらいから、ずいぶん落ちた。
 夏に近づくにつれて、少しずつ大きくなってきて、落下の音も激しくなり、それは、毎年のことだったけれど、特に夜中に、物干し場の上の波板に落ちて、バン!と音がする時は、見にいったりしていた。

 だから、道路側の柿の実が落ちたら大変だと妻の心配もあって、枝を切ったりもした(リンクあり)。そして、暑い夏が少しずつ去りそうになってきたけれど、まだ、気温は高く、それでも夜になると、秋の虫の声が、日に日に大きくなっているような気がするような、夏と秋がまじりあっているような季節になってきた。

いちばん柿

 2階の窓から、柿の木はよく見える。
  妻から、「もう赤くなっているのがある」と教えてもらったのが、9月に入って少したった頃だった。

 窓から見ると、きれいな柔らかいだいだい色が見える。柿の実としては、ちょっと小さい。

 さらに見続けると、小さい丸い穴があいているのが分かった。

 穴から、その中が見えるけれど、中身がきれいになくなっているようだった。遠くだし、小さいから、そんなにはっきりとは分からないのだけど、でも、「いちばん柿」食べられたのは事実のようだった。

 妻は気がついていなかったようなので、そのことを知ると、ちょっとガッカリしていたようだった。

 私も、最初に赤くなった柿の実を、狙ったように食べてしまうなんて、と思った。
 それは渋柿だし、その柿が無事にもっと大きくなって、枝からとって、干し柿にして食べられたかどうかも分からない。
 でも、私も、最初に赤くなった「いちばん柿」を妻が見つけて、それを教えてくれた嬉しさみたいなものが、急速に小さくなったことが、やっぱり悔しかった。

カキノヘタムシ

 柿の木には、特に実がなると、たくさん鳥がやってきて、毎年、柿の実を食べている。とたんに鳥の声で、かなり騒がしくなる。

 だから、どれだけたくさん柿の実をとる年でも、鳥のため、と少しは残しておく。だから、今回の「いちばん柿」も、鳥だったら仕方がないような気持ちになるが、それにしては、ちょっと開いた穴が小さいようにも思えた。

 結局、遠い場所だから、直接、手に取ったわけでもないし、どんな状況なのかハッキリ分からないから、害虫か病気かどうかも確定ができない。だけど、少し検索したら、カキノヘタムシという害虫の名前を、恥ずかしながら、初めて知った。

 参考にした資料によると、青い柿の実が落ちるのは、自然落下かもしれないのだけど、もし、木の枝にヘタが残ったまま落ちた場合には、そのカキノヘタムシのせいらしい。そして、それがカキノヘタムシの場合であれば、そのムシ用の防虫剤のようなものを使えば、青い柿の実の落下が減るかもしれない、ということを初めて知った。

 だから、負け惜しみなのは、分かっているのだけど、今年の「いちばん柿」は食べられてしまったけれど、そのために、カキノヘタムシのことを知って、もしかしたら、来年は、青い柿が落ちる数を減らせる可能性が出てきた。そして、渋柿だけど、来年は、びっくりするくらい、柿が豊作になったら、やっぱり嬉しいかもしれない。



(参考資料)

「四日市市農業センター」 植物なんでもQ&A  https://www.city.yokkaichi.mie.jp/farm/qa/qa_kajyu.html


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「柿の花」

いろいろなことを、考えてみました。

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とても個人的な「平成史」

読書感想 『新写真論 スマホと顔』 大山顕 「〝生命体〟になったかもしれない写真」



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