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ドラマの余韻パン。

 ドラマの続編などがどのように制作が決定されているのかは、視聴者としてはよく分からない。自分が面白いと思って、その終わり方も、次があるようになっていたのに、そのまま始まらないまま年月が過ぎることも少なくない。

 その一方で、もう終わったのでは、と思っているのに、見ている方としては突然、という印象で、ドラマの続きが見られることがある。

 『義母と娘のブルース』も、そんなドラマだった。


ドラマの続編

 このドラマを初めて見たのは2018年の夏だった。

 自分にとっては、まだ妻と一緒に義母の介護をしていて、その冬に義母が突然亡くなり、介護も終わってしまうのだけど、もう5年以上前のことかと思うと、そんなに時間が経ってしまったのかと不思議な気持ちさえする。

 そのドラマは、妻と一緒に見ていた。

 その頃、子どもから成長した娘役を、ほとんど知らない俳優と思っていた感覚も忘れるくらい、あちこちで上白石萌歌が、出演しているのを見るようになった。

 そのとき、綾瀬はるかの、やや大げさだけど、そのことによっておかしさも生まれる「バリバリのキャリアウーマン」(この言葉自体が、この5年で使われなくなったと思う)の演技が徹底していて感心もしていたし、同時に共演の佐藤健のスキのない、うっかりした男の演じ方も、実はすごいのではないか、と思って楽しんで見ていたけれど、その続きが見られるとはあまり思っていなかった。

 それが2020年、2022年の正月にスペシャルドラマとして放送していて、どちらも見ている。考えたら、正月に見るのにふさわしい内容だった。

 もう続きは見られないと勝手に思っていたのに、2024年にも急に放送が決まったような気持ちになっていた。

 それでも少しでも冷静に振り返れば、2020年から2年おきに規則正しく放送されているのだから、2024年の今年に放送されると予想もできたはずだった。

 アートでいえば、2年に1度開催されるビエンナーレのような感覚だった。

『義母と娘のブルースFINAL』

 ドラマは期待を裏切らない展開で、主人公の綾瀬はるかに、悲劇が訪れるかも、といったエピソードがはさまれながらも、きちんとハッピーな方向へ話は展開していった。

 最後は「FINAL」という名称を裏切らないようにするためか、エンドロールでも、かなりの年月と、物語があっという前に進んでしまい、本当ならば、まだ一本くらいはスペシャルドラマを制作したかったのではないか、というようなことも感じた。

 全く違うジャンルだけど、週刊誌連載のマンガが、突然打ち切りが決まったとき、その一つの方法として、1話で一気に何十年も語る、という方法も思い出した。

 それでも、ドラマの最初から5年半という歳月が経っているはずなのに、この物語の中では、綾瀬はるかが演じる主人公も、佐藤健のパン屋の役も、変わっていないように感じた。

 それは、考えたら、すごいことだと思ったし、正月に変わらないドラマを見るという意味では、比較するのは違うのかもしれないけれど、とても長く続いた映画『男はつらいよ』を思い出した。

 そして、「義母と娘のブルースFINAL」の本編が終わってから、CMが始まり、それはセブンイレブンで、劇中に登場した佐藤健が店長を演じた「麦田ベーカリー」のアンパンを発売しています、という内容だった。

 明らかに、今よく聞く言葉なら「マネタイズ」なのだろうけれど、欲しいと思ってしまった。

ベーカリー麦田

 このドラマが放送されたのが2024年1月2日。それを予約録画していて、私が見たのはその2日後の1月4日だった。

 すでに夜だったので、そこからまたコンビニに行く気力も盛り上がらないのは、寒いせいもあったけれど、同時に焦ってもいた。

 明日、コンビニに行って購入したとしても、発売されてから3日が経っている。テレビで、あれだけ告知していたのだから、もしかしたら、売り切れていないだろうか。そんな気持ちを秘かに抱えながらも、翌日に買い物に出かけて、その途中で様々な支払いもあって、セブンイレブンに寄った。

 いつもはそれほど、真っ直ぐには向かわないパンの棚に行く。一番上の段に、これでもか、というくらい「ベーカリー麦田」のあんぱんが並んでいた。ちょっとホッとしていた。

 それで2つ買った。税込で1つ180円を超えていたので、普段ならばためらうのだけど、そのちゅうちょがなかったのは、縁起ものという気持ちと、正月の気持ちと、何よりドラマの力だと思う。

 ただ、おやつの都合で、購入した日には食べることができず、翌日も食べるものがあって、だから消費期限も、その数日後でも大丈夫なのを選んだ。

ドラマの余韻パン

 ドラマを見てから、すでに数日が経っていて、だから、ドラマの余韻も薄れかかる頃、やっと「ベーカリー麦田」のアンパンを食べることができた。

  妻の感想は、「美味しい。パンのかみごたえが、よかった。あんこと皮で、あんこの割合がいい。美味しい」というものだった。

 私にとっても、自然においしいアンパンだった。ドラマの演出と合わせるように「4つ葉のクローバー」の焼印が推してあって、それも値段に含まれているから、というご祝儀のような気持ちもあったけれど、でも、ただの企画モノというのではなく、ちゃんと美味しく感じた。

 もし、このパンが、昭和の頃は珍しくなかった話題先行で、商品の質が悪いようなものだったら、がっかりしてドラマの印象まで下がるところだったのだけど、それから時代が経って21世紀になってからは、そういう商売は許されなくなってきたので、それはいい傾向だと思うし、だから、このあんぱんドラマのいい余韻をなんとか引き継げたような気がした。

 食べていて、ドラマの中で佐藤健が演じていた「ベーカリー麦田」の店長の顔が少し浮かんだ。




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おちまこと
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