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瞬間湯沸かし器の異変と憂うつ

 台所には瞬間湯沸かし器がある。

 もう随分前に購入して、本体の下の部分はさびて、少し欠けている。


欠けた本体

 そこに補強のための銀色のテープを妻が貼ってくれているから、それで少し安心ができるけれど、いつか壊れるのだろうと思っていた。

 お湯を使うときは、大きめのボタンのようなスイッチを押すと、ぼむという音がして、小さい窓に青い炎が見えて、少しだけ時間があって、ホースからお湯が出てくる。

 たまに、間違えて、ボタンの下の欠けている部分を押してしまうと、そこはテープで補強されていて、そのテープのフニャとした感覚だけが指に伝わってくる。だけど、そのテープがはがれてしまいがちで、その欠けた部分がむきだしになる。

 熱いお湯が必要なときには、そのボタンのようなところを回して、温度を上げる。少し音がかわって、出てくるお湯の量も減るけど、温度は高くなる。

 夏の暑い時には、その調整のボタンを左側に回して、ガスがつかない状況で使っている。

 すると、水が出るけれど、ホースがついているので、食器を洗うときなどは、湯沸かし器の水を使っている。

湯沸かし器の異変

 いつものように湯沸かし器のボタンを押す。

 水は出たけれど、とても少なくて、何かぼーっとしたような音に聞こえる。

 明らかにいつもとは違う。

 ボタンの調整をして、お湯を出すようにして、またボタンを押す。

 さっきと同じように、ぼーっとした音がして、少ない量の水しか出ない。

 あれ、と思って、何度かその操作をしたけれど、お湯が出ない。ということは、寒くなってお湯が必要なときも、水を使うしかなくなる。

 だけど、すぐに壊れたと思いたくない。

 妻に聞いた。さっき、使ったときは、どうだった?

 え、いつもと同じだったけど。

 自分が使ったときに、壊れたかもしれない。最近は、少なくなったけれど、自分が手に触れたカサが落下して柄が真っ二つに折れた時があって、その頃は、いろいろなことがまめに不運だったし、自分が薄い黒い雲にずっと囲まれていたような気がしていた。

 やっと、その感じから抜けられたと思ったときに、湯沸かし器がおかしくなった。

修理の依頼

 湯沸かし器の本体に貼ってあったシールに書いてあるガス会社に電話をした。

 最初に、サービスの向上のために録音します、という音声が流れ、その後につながったと思ったら、大変混み合っています、という音声がまた流れ、どうしようかと思っていたら、つながった。

 いろいろな会社が休みに入る時期だったので、無理かと思ったものの、一応、こちらの湯沸かし器の状況を伝えて、故障だと思うのですが、修理をお願いできませんか?ということを伝えた。

 そうすると、いつ頃から使っていますか?というようなことを聞かれたが、正確な期日は分からず、ただ10年以上前から使っているのは確実なので、そんなことも伝える。

 そうしたら、すでに部品はありませんので、修理をするのは難しくなります。といったことを比較的、強調して言われた。そうした言葉は、こういう場合に、何度も聞かされた。今、家にある電化製品は、どれも10年くらいは使っているので、何かあるたびに、問い合わせをして、そういう言葉を聞いていたから、なんだか聞くのに慣れてしまっていた。

 そして、修理というものが、あまり重視されなくなってから、どのくらい経つのだろう、と思った。おそらく、壊れたら、新しく買い替える。そんなことが常識になってから、かなり長くなるけれど、持続可能な社会を考えたら、修理できるものは修理して長く使う方が、これからのことに適合しているのに、と思うことはある。

 それで、修理はできない可能性はあります、を何度か確認され、おそらくその可能性は高いかもしれないけれど、でも、もし、素人では気が付きにくく、また分からない場所のねじの緩みなどで、直るかもしれない、といった微妙に非現実的なことも考えていたので、修理が無理な場合でも、料金はいただきますので、という確認もされ、そして、最初から買い替えを考えても、といったことを促されもした。

 それでも、まずは修理をお願いした。

 こうしたお客対応などは、今は、どこもそれほど失礼な感じは少なくなったと改めて思った。

修理の日

 問い合わせの電話をしたとき、クルマを止められる場所を確認され、家には駐車場もないので、と答えたら、近くのコインパーキングを使う場合があって、その際は、その料金もご負担いただきます、ということを言われていて、それも含めて気持ちが重くなっていた。

 それでも、修理の日は、台所の流し台に普段は置いてあるさまざまなものをどかして、近くのテーブルに移動する。

 修理の時刻は、午後3時から午後5時までで約束をしていて、その時間が近づくとちょっと緊張もして、午後3時を少し過ぎてから、電話がかかってくる。ガス会社の人だった。修理に参ります、といった話をし、あと15分くらいで着きます、といったことを伝えられた。

 そして、チャイムが鳴って、玄関を開けたら、二人のスタッフがいた。意外だった。一人だと思っていた。

 湯沸かし器を見せて、スイッチを入れて、水の状況を見ていた。

 家の中の他の水道の様子を聞かれた。それは、水道そのものの勢いがなくなっているのかも、という判断だったようだけど、こちらも、そんなことがなかったから答えたが、家の裏にある水道の元栓まで確認し、場合によってはいったん止めようとしたが、その方式が古いために諦めたようだった。

 それから、さらに色々と確認をしていた。

 ずっと湯沸かし器のガスの元栓を閉めていたのだけど、それを開けて、温度調節のボタンを最も高い温度にしたら、ホースの先から熱湯が出ていた。

 不思議だった。完全に壊れていると思っていたからだ。

 湯沸かし器の内部の機械が故障しているらしい。それは水量の調整などに関係していて、水量を増やしたり減らしたりすることができなくなり、少ない水しか出なくなった。それを、温度が高いときの量として感知するから、それで熱湯にボタンを合わせると、ガスの炎は着火し、熱湯だけは出る。

 ただ、この湯沸かし器はかなり古くなっているので、そうした使用もおすすめできないといったもっともなことを言われ、15年以上前の製品なのもわかり、修理はできません、という話になった。

買い替えの決意

 だから、こちらとしては残念だけど、新しく買い替えることにした。

 現在の状況だと昔の設置のために、次に新しくすると湯沸かし器本体だけではなく、かえなくてはいけないことが多いらしい。

 それだけは、わかった。

 今だと湯沸器本体から、ガスの元栓までが遠すぎて、だから、ガス管自体の延長も必要かもしれず、そうなった場合の金額も、修理担当なので、詳細は分からない、とのことだった。

 それで、営業の人に、今度は来てもらうようにお願いして、それで、この日の作業は終了だった。

 後日、この日の代金が請求されるが、今は直接、現金では支払えなくなっているようだ。クレジットカードを避けて、コンビニ払いを選択し、その請求書を送ってもらうことにする。

 また貧乏が進んでしまうから、憂うつだった。

 だけど、これまで通常以上に湯沸かし器を長く使ってきた。自然に利用してきたけれど、特に寒い季節はありがたかった。

 ただ、その費用が思った以上に高額で、とても今の自分たちの経済状況では出せないとなればどうしようか?を修理のスタッフが帰ってから、妻と軽く相談して、その場合は、湯沸かし器をあきらめて、水道の生活に戻り、必要な時は沸かしたお湯を使うことにしよう、というようなことを決めた。

 ただ、これから、営業の人が来てくれて、見積もりをしてくれたあとは、どうなるのか、まだ分からない。

(続きます↓)。






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おちまこと
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