新しい湯沸かし器が来て、ガス管が長くなった日。
ガス湯沸かし器が突然壊れた。
まだ気温が高いから、それほどの影響はなかったものの、ひげそりなどはお湯を沸かしたり、ポットからのお湯を使ったりと多少の不便はあったものの、まだ10日くらいだったから、がまんができた。
この湯沸かし機は、10年以上前に取り替えたのだけど、その時に、すでに古い木造家屋のためにガスの配管に問題があったと言われていた。今はゴムのホースを使っていたが、ガス管自体の工事が必要になると言われていた。
今回も壊れたと思ったとき、最初は修理を依頼して、もう直らないと言われた。この湯沸かし器を買ったとき、次に壊れたら、かなりの金額がかかると言われていて、少なくとも今回はいよいよガス管を変えなくてはいけない。そうなると、貧乏なうちでは払えないから、もしかしたら、もう湯沸かし器は買えないかも、という話を妻としていた。
ただ、見積もりが来てくれて、そのときに10数万という金額を提示されて、それでも高額ではあったのだけど、以前に、30万、もしかしたら50万などと、10年以上前と、言われていた金額から比べると、なんとか払えそうだったので、妻と一緒に喜んでしまった。
間違い
見積もりから、約1週間後に湯沸かし器の取り替えと、ガス配管工事の日取りを決めた。
ちょっと安心もあったけれど、それでもなんとなく緊張もしていた。明日が、その約束の日だった。
昼になった頃、玄関でチャイムが鳴って、妻が出てくれていた。そのあと、すごく不安そうな顔で、来てる、といった言葉を伝えてくれて、最初、何かわからず、とにかく玄関へ行った。
そうしたら、外には小さなバンが停めてあって、目の前にはベテランで、工事関係者の格好をした男性がいた。明らかにガスの関係者だった。
つい、今日じゃなくて、明日ですけど、と言ってしまったが、そのあとで、もしかしたら、こちらが間違えているかも、と思って、あ、すみません。もしかしたらこちらが間違っているかも、といった会話になったが、いえ、大丈夫です、と言ってくれて、そのまま帰ってくれた。
そのあと、ガス会社に電話をして、確認をしたら、やはり明日の約束だった。
どうして、こんな間違いがあったのだろう。原因もわからないままだったのだけど、なんだか、明日も変なことがあるのではないか、と不安になった。
湯沸かし器取り付け
取り付けと、配管の工事は、午前か午後にしてください、といったことを言われていた。だいたい3時間から4時間をみてください。そんな時間がかかるのは、やっぱりちょっと緊張もする。
そして、台所の流しの上にある食器入れなどをどかして、多少はきれいにして、何もなくなってさっぱりした感じになって、あとは取り付けと工事を待つだけだった。
午後1時に約束をして、ちょうどその時間に湯沸かし器の取り付けの人が先に一人で来ていた。さっき、外を見たら、家の前に小さなバンが停まっていたけれど、そこで待って時間が来るまで待機してくれていたようで、そのことについて、すみませんね、と声をかけ、ガスの配管の人はもうすぐ来る、というような話をしていた。
家の外にある水道の元栓も閉めた。
湯沸かし器を取り付けていた木の厚めの板があって、そこから古い湯沸かし器を外したら、かなり古さが際立っていたので、その強度について尋ねたけれど、確認をした上で、大丈夫でしょう、と言ってくれた。
ただ、ここで、取り替えた方が、という話になっても、そのための準備もしていないだろうし、さらにお金はかかるし、時間も必要になるしで、たぶん、どうしようもなかったと思う。
さらには、流しの水道の蛇口から、もう一つの蛇口を作って、それを湯沸かし器に流すようなシステムにしているのだけど、その湯沸かし器につなぐ蛇口に関しては、かえてもらうことにした。
ガス配管工事
そうした作業をしているうちに、もう一人の工事関係者がやってきた。
ガス配管の工事の担当者だった。
まだ気温が高い日だったから、台所にあるサーキュレーターと、換気扇を回したものの、やっぱり暑そうで、まずは、今あるガスの元栓から、湯沸かし器までの長さを測り、作業を始めていたガス配管の工事の人は、すごく汗をかいていた。
台所のテーブルの上に、ペットボトルの飲み物を用意して、よかったら、とすすめたが、作業をしている時は、なかなか飲むタイミングもないようだった。
屋外にあるガスの元栓も閉めて、作業を続けている。
台所の右隅にガス管の元栓があって、湯沸かし器は左隅にあるから、そこまでは距離があり、今までのようにゴムホースでつなぐのは、安全を考えたら、強い言葉で言えば、今では許されなくなっていることなので、金属のガス管自体を延長して、湯沸かし器の近くまで持ってくるしかない。
そのためのガス管の工事だった。
ガスの元栓を止めていても、ガス管を開けたり、つないだり、見たことがないような新しいガス管を、今あるガス管につけて、長くしているような姿は、感心もするし、ガスがらみだったので、勝手な怖さもあった。
だんだん、ガス管が伸びていく。
そのうちに、湯沸かし器の設置が終わった。
水を出してくれて、その操作法を伝えてくれて、今までの湯沸かし器と同じメーカーだから、同じ方法なので、という話をし、あとは、ガス管をつなぐだけにしてくれて、だから、湯沸かし器の取り付けは終わり、先に帰っていく。
ガス管の配管の工事は、さらに続く。
水平
金属の棒が、台所の右隅から、左隅まで伸びていくように見えて、それだけで、台所の景色は変わる。
さらに時間が経って、工事が終わったことを告げられる。
水平器を使って、設置したんですが-----。
工事をしてくれた人が、なんとなく言いにくそうだったので、こちらが続ける。
傾いて見えるのは、家の方が傾いているのは知っています。大丈夫です。
古い木造で50年以上が経っていて、川のそばで、それほど地盤が固そうでもないし、どういう原因かわからないけれど、片方が沈むように傾いているのは知っていた。
とにかく、それで工事は終了した。
午後3時までには全部が終わったから、2時間かからなかったと思う。
新しい湯沸かし器は当たり前だけど、きれいだった。
ガス管も真っ直ぐガスを送ってくれているようだった。
お湯も出るし、水も出る。
また湯沸かし器のある生活が戻ってきた。
支払いは、直接現金で渡したりはできなくなっていて、クレジットカードか、コンビニ払いかを選択するしかなく、コンビニ払いをお願いしたら、後日、送付してくれることになった。
だから、支払いが終わるまでに、まだ1週間以上かかるのだけど、それでも、これで再び湯沸かし器を使えるようになった。
よかった。
前日、間違えて来ていた男性は、今日は来なかった。そのことを聞きたくて、聞けなかった。
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