イネ科におおわれた河川敷。
妻が支度を整えていたから、どこに行くの?と聞いたら、河川敷に行くと言って出かけていき、戻ってきたら、イネ科におおわれていた、と言って、手元には採取してきた植物がいくつかあった。
イネ科におおわれた
「イネ科におおわれた」といった、あまり日常で聞くことのない言葉だったので、最近、近くなのに行っていなかったのに気がついて、河川敷に行きたいと思って、その風景を見たいとも考えて、妻に、一緒に連れて行ってほしいとお願いしたら、気持ちよく承諾してくれた。
そして、午前中か、昼にするかを相談して、そうしたら、昼前に出かけることになった。
カメラも持って、歩いて、川へ向かう。
近くの高校で、建物で開いていない扉が開いていて、その前にハトが多くいた。もしかしたら、何か食べものを待っているのかもしれない。
河川敷へ行くには、土手があるから、階段を登る。
その手すりが何か曲がっていたせいか、危険、という言葉の入ったテープが巻かれていて、その形が何だかかっこよく見えた。
土手の上の道路の左右には、確かに草が茂っている。
これまでの季節と比べると、自分の記憶の中では、はるかに背が高く、うっそう、という表現が合っている。
それは、ちょっと、うわっと思うくらいの場所になっていた。
草の背は高く、かなり密度もあって、もし、小さい子どもだったら、その茂みに紛れたら見えなくなってしまうだろうし、などということを、妻に伝えたら、かくれんぼができそう、とかえってきた。
草のうねり
土手の上の細い道路を歩く。
自転車も走るし、人も走る。
イネ科の植物が左右から覆い被さるように茂っているから、道路が少し細くなっている。
土手の上の道路に上がるために、何年か前に階段だけではなく、スロープのような緩やかな坂道ができて、これで車いすでも上れるようになったのだけど、そのスロープは、草で覆われて、通行が困難になっていた。
歩くと、左右の茂みが風で揺れたりする。
妻に、イネ科、そんなに好きじゃないのでは?と聞くと、そう。何だか、わーって高くなってしまうし、色がつまんないから、と言っている。
だけど、その気持ちは少し変わってきたらしい。
確かに、イネ科の植物は、一斉に茂って、それは、暑かった夏の成果のようにも思えるけれど、そのために、一面を覆っていて、妻が好きなような、個々に特徴のある繊細さに欠けているのかもしれない。
でもこうして、茂みとして全体を覆って、そのかたまりが風などで動くと、うねって、そこに質感の変化のようなものが生まれる。
それは個々ではなくて、全体の動きを楽しむに近いことかもしれない。
植物の種類
いろいろな種類の草花があって、どうやらほぼイネ科らしく、妻は、植物に関しては、かなり詳しいのだけど、イネ科に対しては、それほど好きでないこともあって、河川敷をおおっている背の高い草が揺れていているのだけど、その名前を聞いても、珍しく知らなかった。
だけど、歩いていると、ツタが生えている場所にすぐに気がつくのも妻だった。アレチウリというらしい。
荒地になっている場所に、様々な草花が生えていて、それも極端に言えば、年ごとにそこに中心になる草花は変わっていくのだけど、そこに何年も過ぎると、最後には、いろいろとあっても、ツタ類が、その場所を制する、といったことを知ってからは、ツタを見るたびに、微妙な怖さを勝手に感じるようになった。
ここも、こんなにイネ科の王国みたいになっているところにまで、すでにツタが来ているかと思うと、何だかすごい。
その茂みの中に埋もれるようにヒガンバナがあったり、それは、妻に教えてもらうと、色が違うから確かにわかりやすいのだけど、これほど、埋もれている姿はあまり見た記憶がなかった。
チカラシバという植物の名前も知った。
黄色っぽい花が咲いているのは、コセンダングサという呼び方も、教えてもらった。
それに、背の高い茂みから、急にその茂みが低くなって、そこを構成する草もやや細めになった場所があった。
そこは妻も好きなようで、メヒシバやカゼクサという名前も教えてくれて、どうやら、その場所は、一斉に伐採したところで、だから、そうした状況になっているようで、子どもたちが、プラスチックやダンボールなどを使って、下まで滑ったあとまで、妻は指差して教えてくれた。
そのことに全く気が付かなかった。私には、茂みのかたまりと、少し背が低くなった場所と、さらに、ややえぐれているようなところ、くらいしかわからず、その意味までは、気がつかなかった。
そして、やや歩いた場所に、お待たせしました、というニュアンスで、これがキンエノコロといわれたものの、その緑の渦のような場所では、金色というのは無理があるように思えて、それは、ちょっと枯れたようにしか見えない。それでも、妻は、他の表現も使って、これが金色に近いものだということを伝え続けてくれた。
気がついたら、土手に来てから、30分近くが過ぎているのが、高校の壁にある大きな時計でわかって、それを告げたら、Uターンすることになった。
これだけ、茂った河川敷はあまり記憶がないけれど、イネ科にとっては、お米を思えばわかりやすいけれど、まさにみのりの秋だから、これだけの勢いがあるけれど、こうした場所は確か区の所有になるはずで、管理責任もあるので、そろそろ機械を使って一斉に短く伐採することになるはずだから、この茂みのかたまりが、風でうねる姿を見られるのも、ごく短い期間だろう。
妻に教えてもらって、見にこれてよかった。
妻はハサミと袋を持ってきて、今日も、時々、しゃがんでは気に入った草花を採取しているようだった。
名前
結局、土手の散歩は40分ほどで終わって、それでも、普段は見られない土手の姿を見られて、何だか新鮮だった。あんなにうっそうと茂っているとは思わなかった。
家に帰ってきて、妻は、図鑑を調べてくれて、さっきは、わからない、と言っていた植物の名前を教えてくれた。
おそらく最も目にしていて、背も高かったのが、ツルヨシで、少し赤いのがセイバンモロコシ。私は、とても大雑把な知識で、ススキの成長過程などと言っていたが、全く違っているようだった。
植物に名前がつけられていて、それによって、おそらくは話の通じかたも早くなるから、以前は、全くわからなかったけれど、妻のおかげで、植物の名前については、少し詳しく、コミュニケーションも取れるようになったと思う。
今は、イネ科の季節だから、そうした草花が生えているところは、例えば近所の空き地のようなところでも、植物の力みたいなものを感じ取れるようになっているはずだ。
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