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テレビについて㊺「マスコミはオジサン社会」。を感じた瞬間------「news every.」

 日本社会は、オジサン社会。

 それは、随分と広く言われるようになり、ある意味では「常識」になりつつあると思う。

 自分も、中年男性という「オジサン」であるから、本当の意味では、その弊害を理解していないと思うのだけど、昔、マスコミの世界で働いていたことがあって、特に「マスコミは、すごく男性社会」という言われ方に関しては、わずかな経験でも思い当たることがあった。

 大学を卒業して勤めた、あるスポーツ新聞社の編集局のフロアには、経理などを担当していたベテラン女性社員が一人だけで、あとは男性だけだった。

 そこに違和感を感じることもできず、トイレから戻ってきた男性社員の中には、あちこちに机の上にあった、あまり上質ではない紙なので返って吸収力が高いと思われる原稿用紙を破って、それで手をふいている人もいた。

 自分にも責任があるのだけど、あまり整理整頓がされているとも言い難く、窓から入る日差しによって、雑然とした書類の上を、小さい放物曲線を描いて跳んでいた、とても小さい虫のシルエットも覚えている。

 だけど、それから、女性記者も誕生し、長い年月も経ち、さらには「オジサン社会」の弊害も指摘されることも多くなったので、マスコミは男性社会のイメージも強かったけれど、21世紀になり、2020年代にもなり、実は知らないうちに変わっているのかもしれない、という漠然としたイメージだけがあった。

ニュース番組

 テレビのニュース番組をほとんど見なくなっていたのに気がついたのは、久しぶりに夕方のニュース番組を見て、そこで違和感があったからだ。

2023年1月17日
   ニュースとはいっても、特に夕方の番組には、グルメなど身近な話題を盛り込むことは常識になっているのは知っていて、この日には、「頻尿」をテーマにしたコーナーがあった。

   個人的にも、特に寝ている時に2回も3回もトイレに行くから明らかに頻尿で、昼間もトレイに行く回数が多い自覚があるから、そこで他の局に変えずに、見ることにした。

 ちょっと気になったのが、画面全体に、やたらとピンクの色が増えたことだった。

頻尿

 その上で、そのコーナーの内容の説明を始めたのが堂々とした中年男性で、それは別に普通のことでもあったのだけど、頻尿という、人によっては大事で切実なテーマなのに、なんとなく居心地が悪そうな態度なのが気になった。

 最初に、年齢のことや、女性の方が頻尿で悩んでいる人が多い、という数字が出てきた時に、あ、これは女性の方が多いですね、と他人事感が強い気配になり、さらに、頻尿について、メインキャスターに話を振った。

 すると、その画面の真ん中に座っているベテランの男性キャスターは、私はあんまり、と、さらに遠いことのような話し方になり、例として出した話題が、箱根駅伝を伝えるアナウンサーのことだった。

 駅伝の実況をするために、前の日の昼頃から、水分を摂らずに、トイレゼロしようとしているようです。

 頻尿に悩む人に対して、そういう話がどう関係があるのか、わからなかった。それはアナウンサーの仕事の「業界話」のようなことだと思って、どうして、今、こんな話をするのかも分からなかった。

女性キャスター

 そのうちに、どうすれば少しでも頻尿を減らせるか?それを専門家に聞いて、そのための骨盤底筋の筋肉を鍛える、という話題になったのだけど、説明をしている男性キャスターは、なんとなく、自分が伝えることではないような、自分には、あまり関係がないような、視線がちょっと外れたような、興味が薄そうな、義務感だけが前面に出ているような、こじつけかもしれないけれど、そんな伝え方に見えた。

 そのキャスターのプロフィールを見たら、アメリカの大統領選挙などの報道を重ねてきたキャリアがあるらしいけれど、視聴者としては、頻尿であっても、見ている人にとっては重要だったから、もっと腰をすえた話し方をしてほしかった。

 そのスタジオの中では、頻尿については、就寝の時に、トイレに起きてしまう、といったことを話をしていた女性キャスターが、当たり前だけど、自分のこととして話をしようとしていたのに、他の男性たちは、自分たちとはあまり関係がないし、自分が語るべきことではない、といった気配に見えた。

 それだったら、この女性キャスターが、このコーナーの中心になれば、もっと伝わってきたのに、と思った。

 マスコミは「オジサン社会」

 ほぼ無意識のうちだろうけど、ニュースとしての価値の順位づけを行っていて、それは、もちろん、必要なことだとも思うのだけど、その価値観は「オジサン中心」であって、この話題は女性向け、という感覚が表に出てしまっているように思った。

ダサピンク

 私自身も、中年男性で「オジサン」でもあるのだから、一方的に偉そうなことは言えないし、無意識のうちに偏った価値観で考えていることもあるのに違いないが、久しぶりに見た夕方のニュースで、「オジサンの価値観」が前面に出ているのを見てしまった気がした。

 だから、画面のピンクの多さが気になったのだと思った。

 それは、色合いについて気を使って、少しでも見やすくとか、美しくとか、というのではなく、この話題は「女性向け」だから、ピンクを多くしよう、といった発想だったのかもしれない。

 ネットを徘徊していると、「ダサピンク現象」なるものが話題になっていると知りました。広告やプロダクトなどのデザインの現場で「女の子はピンクが好き」という男性上層部の思い込みから、当の女性に好まれないデザインができてしまう現象のことです。
 私が遭遇したのはまさに「ダサピンク現象」ではないか!

 こじつけかもしれないけれど、今回のニュース画面も「ダサピンク現象」の可能性もある。どちらにしても、視聴者としては、これからのテレビが不安になる時間でもあった。



(他にも、いろいろなことを書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。



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おちまこと
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