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「健康診断」という「緊張感」。

 大きめの封筒で、色も鮮やかだから目立つ。

 考えたら、コロナワクチンと同系統のオレンジ色と言っていいので、健康関連の封筒の色は統一されているのもしれない、などと思うけれど、定期的に健康診断のお知らせが届く。

 自治体によって違いがあるのか、定かではないけれど、今回も無料で受けることができる。ただ、当たり前だけど、その期間は決まっていて、すでにガン検診は(有料だけど)終わっていて、定期健康診断は、3月末で、その期限が終わる。

健康診査

 そして毎回、ずっと受けられるような気持ちになっていると、年が明けて、余裕を持っていると、あっという間に、3月の末が迫る。

 だから、不思議なことに、ほとんどの場合、3月の最終週になって、慌てて、病院に行くことになる。

 妻は、先に行っていて、あとは結果を待つだけらしいが、今の時点では問題ないというので、それはやっぱり安心する。

 そんなことをしていても、その期限ギリギリに、やっぱり行くことになり、まずは、その健康診査(という文字になっている)の封筒の中の問診票のようなものにチェックを入れて、そして、病院に着いて、受付で、その書類を提出しただけで、何か、もう終わったような気持ちになっている。

病気

 年齢を重ねると、いつも元気いっぱいというわけにもいかず、と思い起こしながら、若い時でも、そんな状況は少ないから、微妙に体調が悪く、薄く元気がないくらいが通常モードだったから、元々、体の強さには縁がない人間だったことに気がつく。

 そして、健康診査を受ける前に、微妙な緊張感があるのは、この検査をきっかけに重大な病気があることがわかったら、どうしよう。今でも、とても貧乏で、ギリギリの生活をしていて、その上で病気になり、入院したり、手術をしたり、今でも、微妙に弱い人間なのに、さらに体調が落ちたら、本当に生活していけなくなるのではないか。という薄い恐怖心があるからで、だから、健康診断を一切しない方が、結果として、妻にとっても経済的な負担が少なくていいのかもしれない、とも思うが、そんなことを言うと、たぶん、妻は、かなり本気で怒る。

 それに、そういう考えは、どこかで、現実逃避しているだけの、面倒臭いことから目を背けているだけの姿勢で、潔いように見せかけて、実はとても弱い発想なのかもしれないと思うこともある。


 そんなことを考えたりするので、健康診断には、いつも微妙に緊張感が伴うのかもしれないが、病院に来たら、あとは淡々と手順に沿って、検査を受けていくしかない。

検査

 診察室に入る前に、尿検査がある。

 夕食を食べてから、今日は検査のために、朝食は食べずに、ここに来たけれど、でも、起きてから、ついトイレに行ってしまい、あれから、1時間と少ししか経っていないから、元々、頻尿だとしても、もしかしたら、十分な量をコップに出せないのかもしれない、と思いながらも、大丈夫ですか?と受付の方に問われて、ハイと答えながら、トイレに向かった。

 なんとか、必要な量は提供できそうで、それから、待合室に戻ったら、すぐに名前を呼ばれる。

 少し問診があり、そして、希望した「B型・C型肝炎の検査」は、すでに10年以上前に検査をしたことがあったので、必要ないでしょう、と言われる。その検査を受けたことを忘れていた。
  母親のことがあり、介護もしていたので、一応、自分も検査を受けて、陰性だったことを、その話を聞いて、少し思い出した。あれから、随分と時間が経ったのだった。

 血圧を測る前に、セーターの上からでも、大丈夫です、と言われ、その言葉に従ったら、上が80台で、下が60台、という、とても健康とは思えない数値が出たので、もう一度、上着を脱いで、直接肌に、ベルトを巻いてもらって、測定したら、90台と50台になった。

 いつものように低い。それでもなんとか、大丈夫そうな数値だけど、上が100にいかないのは、自分でも時々、不安にもなる。

 それから、心電図や、レントゲンや、腹部を押さえたり、といった、普段は診てもらえないような検査を受けて、身長を測ったら、また縮んだみたいで、その数値を聞いて、秘かにがっかりしたり、血液をとった時に、いつも、濁った色だと思いながらも、時間が過ぎた。

腹囲

 そういえば、単純に計測ミスだと思うのだけど、腹囲が85センチ以上となって、健康相談のような場所に行ったことがあった。その時は、今と変わらず、80センチないはずだったので、その健康指導のような場所に行って、再び測ったら、すでに基準値よりも低いから、そこで、もう中止にしてもよかったのに、と思ったが、万歩計での計測など、その指導に従ったことがあった。

 今回も、80には届かない値だったから、メタボと言われることはなさそうだったけれど、体力、特に、持久力は、年を重ねて、衰えていくばかりかもしれないけれど、もう少し動けば、年齢の衰えがあったとしても、あまりにも運動が少ない状況だから、ほんの少しでもその能力はアップするのではないか、という、秘かな、ささやかな野望はあるけれど、筋トレ以外の運動は、なかなか続かない。

 検査は一通り終わって、すぐにわかる心電図や、肺の様子などは異常がないので、それだけで、少しホッとはする。さらに、血液検査など、詳細がわかるのは、しばらく先のことになる。

 病院を出る。

 緊張感からは、いったん解放され、やっぱり、安心感は確かにある。



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おちまこと
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