顧客対応のアウトソーシング(検討編)
企業における顧客対応をアウトソーシングについて、前回の記事ではそのメリットと検討時期について解説しました。今回はアウトソーサーの選定から見積相談のポイントについて解説します。
顧客対応をアウトソースする際の検討ステップ
実際にアウトソースを検討するにあたっては、以下のステップに沿って検討を進めていく必要があります。
アウトソースの必要性を判断する
アウトソースする範囲を決める
アウトソースする難易度と業務量を算定する
アウトソースする業務プロセスを整理する
アウトソーサーを選定する
いきなりアウトソーサーに見積相談を行っても良いのですが、アウトソーサーが業務量の見積を算出するためには、上記5つのポイントについての確認が必要であり、結局は自社で情報整理を行う必要がでてきます。事前に準備しておく事でアウトソーサーとの相談が円滑になります。
1.アウトソースの必要性を判断する
まず最初のステップとして、顧客対応をアウトソースする必要が本当にあるのか?を判断します。
判断の仕方としては、自社リソースの顧客対応に割ける時間数に対して、顧客対応のボリュームが大きいのかどうか?を時間数で可視化します。
①顧客対応に割ける時間数に余裕がある場合
自社リソースが対応可能な時間数 > 顧客対応に必要な時間数
上記状態であれば、アウトソーシングの必要は無しと判断できます。
②顧客対応に必要な時間数が自社リソースを上回る場合
自社リソースが対応可能な時間数 < 顧客対応に必要な時間数
この状態が確認できれば、アウトソースの必要性があると判断できます。
時間数の可視化については、以下のように計算を行うと算出がし易いです。
a) 1日あたりの問い合わせ平均数
b) 問い合わせ1件あたりに必要な時間
c) 自社の顧客対応可能人数
d) 一人あたり顧客対応にかけられる1日の平均時間
a) × b)で顧客対応に必要な時間数を算出します
c) × d)で自社リソースが対応可能な時間数を算出します
自社リソースが対応可能な時間数に対して、 顧客対応に必要な時間数がどの程度大きいかで大体の業務ボリューム感を把握します。
オーバーしている時間数が1人月程度であれば、自社スタッフ増員や派遣スタッフの採用を検討してみても良いでしょうし、この大きさが2人月以上であればアウトソースが必要と判断できます。
2.アウトソーシングする範囲を決める
顧客対応を業務委託(アウトソーシング)する必要が判断できたら、次に決めなければならないのは「委託する業務の範囲」です。
一言で顧客対応と言っても、そこに含まれる業務は企業によって異なります。単純な業務の集合体か、複雑な業務も含まれているのか?この内容によって委託する業務の難易度やボリュームは変わってきます。そのため業務範囲を明確にする事で、自社の顧客対応をアウトソースし易くする必要があります。
そのためには以下の図のように、自社の顧客対応で実施するタスクの細分化を行います。
上記の例では、解約処理やクレームといった、自社社員が行うべき対応については業務範囲外とし、よくある単純なお問い合わせ対応についてを業務範囲としています。この様にしてタスク別に委託対応の可否を判定する事で、業務委託範囲を明確に整理する事が可能になります。
3.アウトソースする難易度と業務量を算定する
次に行う作業としては、アウトソースする範囲の各作業について、その業務難易度と工数を算定する作業です。コールセンターBPO企業など、アウトソーサーと見積の相談をする際には、作業工数の試算が非常に重要となります。どの作業に何時間時間がかかるか?その業務の難易度は?業務内容の習得には時間がかかるのかどうか?アウトソーサーはこうした視点でオペレーション工数を試算し、業務料金の見積を作成します。
実際の作業としては、以下イメージの様に各作業の難易度と業務量についての情報を整理します。
上記の様に情報整理を行う事で、どの業務のボリュームが多いのか?難易度の高い作業はどれか?という事を分かりやすくBPO企業へ伝える事で可能になります。
BPO側の視点としては、難易度が低く且つボリュームが多い業務のほうがアウトソーシングし易く、その逆はアウトソースしにくくなります。上記の例で考えると、「解約」や「クレーム」とった顧客対応業務は難易度は高く、必要時間数も少ないので、アウトソースの範囲外と線引きをしたほうがコストを抑えつつ、スムーズな業務構築が可能となります。
または、業務委託範囲としては一旦すべてアウトソースで対応し、解約とクレームのみを委託元の企業へエスカレーションするという業務プロセスを提案することもできます。
4.アウトソースする業務プロセスを整理する
コールセンターBPO企業への見積相談であれば、この前の工程まで整理しておけば問題なく相談が可能です。ここからは業務委託にスムーズに業務を切り出していくための準備作業となります。
BPO企業が顧客対応のアウトソースを新規で構築する場合、通常は「いま実施している顧客対応業務」を一旦はそのまま引き継ぐ形で業務習得を行います。委託元の企業としては、顧客対応業務の作業手順やマニュアルが整理されていれば、それらを活用して研修を実施すれば問題ありません。整理されていない場合は、マニュアル作成の準備のためも一連の業務プロセスを可視化し整理する必要があります。
業務プロセスの可視化は、いきなり詳細のマニュアルを作成するのではく、上記図の様に作業工程をタスクレベルに分解し、プロセスの全体像を描く事で整理を行います。
例として挙げた「配送先変更」は、問い合わせが入ってきてから終了するまでに複数システムの情報参照や操作手順が必要となる事がわかります。マニュアルが存在すればすぐさま研修を開始する事ができますし、なければマニュアル作成自体も立ち上げには必要な作業になります。
ただし、プロセスの可視化にあたっては、詳細に作り込みする必要はなく想定する委託範囲の中で、上位2〜3の代表的なタスクに絞っても問題ありません。
5.アウトソーサーを選定する
ここからは1〜4までで整理した情報を基にして、コールセンターBPO企業などアウトソーサーに見積相談をかけていく事になります。
すでにコールセンターアウトソーシングについては見積比較サイトなども存在していますので、情報収集のうえで見積作成依頼を出していきましょう。
参考:コールセンターBPOの売上ランキングについて
まとめ
さて、今回は顧客対応をアウトソーシングする際の検討ステップ(5つ)について解説を行いました。
併せて各ステップ検証の際には、以下図表のような整理を行う事によって情報が整理しやすくなりますので、参考にしてみてください。
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