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花丸恵
2024年3月8日 20:11
1 とうとうこの日がやってきた。 直紀は抑えきれぬ想いを胸に、帳面駅バス停に到着した。駅前の掲示板に貼られた一枚のポスターに目をやる。 春と風林火山号に乗って新宿に行こう! 弾けるような文字が躍り、そこにはバス乗務員の制服を着た女の子のキャラクターが描かれていた。何度見ても、溌剌とした明るい笑顔が可愛いらしい。 直紀はこれまで、こういった萌え系のキャラクターには全く興味がなかった。
相羽亜季実
2024年3月6日 13:59
第1話21:00 帳面駅バス停 出発「本日はご乗車いただき、まことにありがとうございます。こちらの夜行バス『風林火山号』は帳面駅発、バスタ新宿行きでございます」 帳面駅前ロータリーの一角にある路線バスの発着場は、帰路につく人たちが列を作っている。 それとは反対側の端に停車する鮮やかなデザインのバスに近づき、入り口の前で足を止めた。バス停に立つ制服姿の女性にチケットを見せる。
豆島 圭
2024年3月11日 00:02
卒業の季節、イコール絶望。卒業式って何だろう。結局一度も参加してないから分かんない。ただ通う場所が変わるだけで、毎日やることは変わらないじゃん。一体なにから卒業すんの。一体なにが おめでとう なの。新宿に向かう夜行バスの、カーテンをそっと開けて外を覗く。景色は真っ暗で何も見えない。こんなド田舎だからダメなんだ。腐った人間ばっかりだ。すれ違うヘッドライトの数も多くはない。こんな時間だもん