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〇〇と僕『こ』~御朱印と僕~

二礼二拍手一礼。


願い事なんて野暮なことはしない。
静かに心落ち着けて、自分と家族が健康に暮らせていることを感謝する。

終わったら社務所へ。
「かーんぬーしさーん、あーそーぼー!」なんて馬鹿なことはしない。
大人だから。

「ご、ご、御朱印をください!」ってな具合で、御朱印帳を広げて渡す。
神に仕える者は、たいてい愛想がない。
でも気にしない。
大人だから。

黙って待つ。
混んでいる時は結構待つ。
待っている間がひまだからといって、変顔をしたり小躍りをしたりはしない。
大人だから。

「お待たせしました。」
「あ、あ、ありがとうございます!」
御朱印帳を受け取り、一礼。
ゆっくりと社務所から離れ、御朱印帳をカバンに仕舞う前に一度開く。
カッコイイ。
「ねぇねぇ、おじさん、見て!見て!僕の御朱印!カッコイイでしょー!」
なんてはしゃいだりしない。
大人だから。

鳥居の下で立ち止まり、一礼。
次の神社へ向かう。
どの順番で回るかは、前日に計画しメモしている。
大人だから。

さて、次の神社へ。
道中は知らない町を歩くことになる。
その時間がこの上なく好きだ。
普段すれ違うことのない人が行き交い、想像が追い付かないほどの無数の生活がある。
住宅街をぶらぶら歩きながら、見つけた小さな飲食店に入ってみたりもする。
適当なおじさんが適当に作った不味い飯に出会うこともあれば、小さな店だからこそ出来る温かい料理に出会うこともある。
ネコを追いかけて入った先が行き止まりだったりもする。
迷っていると予定になかった知らない神社にたどり着いたりもする。

そんなことをやっているとあっという間に日が暮れる。いつもと違う景色の中で、いつもと同じ西日を味わう。
よし、帰ろう。

家に着いたらビールを飲む。
大人だから。
酒の肴はその日にもらった御朱印。
酒がすすむ。
しかし、酔っ払ってビールを御朱印帳の上にぶちまけたりはしない。
大人だから。

コロナが無事収まったらまた、御朱印帳を持って色んな町を歩こうと思う。
まっすぐ家に帰らず、小さな居酒屋で1杯、夜風に当たりながらゆっくり帰るのも良いね。
でも、今は我慢。我慢だよ。
政治家が我慢しろと言うからではない。
自分の判断で我慢する。
大人だから。


『Bjork / Hyperballad』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO  池守


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