DMMブックス70%OFFクーポンで購入した100冊とその理由 #6

39冊目『私のジャンルに「神」がいます』

この作品もTwitterきっかけで好きになり、単行本に書き下ろしの話が入っていると知ったので購入しました。

Twitterやpixivでは『同人女の感情』というシリーズで掲載されていた作品で、話によって主人公は変わるのですが、そこで必ず出てくる「神」と呼ばれる人が綾城さん。つまり、綾城さんの存在に翻弄される人達目線で描かれた「綾城さんの物語」なんですよね。

綾城さんはとにかくすごい神字書きさん。話が進むにつれ、意外といろんなジャンルを転々としていることが分かるのですが、どこに行っても「綾城さんの小説はすごい!」と称賛され、神と呼ばれるのです。Twitterではごくわずかの親しい人としか絡まず、フォロー返しもあまりしない。そんな綾城さんに対して、それぞれの主人公達がそれぞれの感情を抱いて同人活動をしていく様子が、それはもう凄まじい。だけど、妙にリアリティがあるんですよね。綾城さんを取り巻く全てに同人女として既視感を覚えるというか、実際自分の身の回りに起こった訳ではないのに深く共感するというか、とにかく「同人女あるある」が全部詰め込まれているんですよね。というか、もしかして綾城さんじゃなくてこの作品を描いている真田つづるさんこそ「神」なのでは?

私もひとり「神」だと思っている字書きさんがいます。もちろんその方だけでなく尊敬している字書きさんや絵師さんはたくさんいますが、その中でも特別にすごいと思っている神です。そこら辺の二次創作とは比べ物にならないほど、とにかく描写が丁寧で、物語の背景がしっかりしていて、どうしてこんな深みのある話が書けるんだろうと思う、本当にすごい方です。その方は綾城さんとは違い、おそらくTwitterすらされておらず、作品はpixivでしか公開されていません。多分本も出されていないと思います。もしかしたらTwitterでは別の名前で活動していらっしゃるのかもしれませんが、とにかくその方についての情報は「すごい字書きさん」ということしか分からないのです。正体が分からないから、素性が分からないから、私はその方を「神」だと思っているのだと思います。そして、それは綾城さんにも同じことが言えて、だからこそ主人公達に感情移入してしまうのだと思います。

だけど、ひとつだけ主人公達と私には決定的な違いがあって、それは綾城さんに翻弄された感情を彼女達は全て創作に捧げていくところなんですよね。私は正直そこまでできません。見習いたいとすら思います。確かに私だってもっと上手くなりたいし、もっと同ジャンルの人達に読んでもらいたいし、定期的に新刊を出したい。そのためには何度も原作を読み返して、自分の中で咀嚼して、関連する知識や見聞も深めて、毎日書くことをしていかなければならない。きっとそれはとてつもなく難しいことだと思います。だから、この作品に登場する主人公達は本当にすごいんです。神の存在に圧倒されたままでは終わらないから。

しかしながら、神だと思っていた綾城さんもやっぱり人間なんですよ。冒頭に単行本には書き下ろしが入っていると書きましたが、この話は初めて綾城さん目線で描かれた綾城さんの過去の話なんです。どうして綾城さんは字書きさんになったのか、どうしてあまりフォローを増やさないのか、どうしておけけパワー中島にだけは心を許しているのか。その全てがこの話にギュッと詰まっています。Twitterやpixivでは読んでいたけど、単行本は読んでいないという方。これは買いですよ。

そんな訳で私もまた、綾城さんに翻弄されているひとりなのかもしれませんね。

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