薬指の標本を思う夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
あなたは誰かと抱き合う時、何かを身に付けますか?
着衣で抱き合う人がいるのは、ドラマや小説で知っていました。何かそうしなければいけない状態にある為です。
これを初めて考えたのは、小川洋子さんの「薬指の標本」という小説を読んでからでした。主人公の女性は、標本を作る事を生業としている男性のもとで働きはじめます。そして二人は恋に落ち、男性は女性に自分が作った靴をプレゼントして履かせてくれるのです。その後、二人は抱き合うようになるのですが、彼は靴だけは絶対に脱がしてくれないのです。もうそれは彼女の皮膚とでもいうように。脱ぐ事はあり得ないのです。
私は考えます。下着をつけたまま抱き合うのが好きな男性たちの事を。きっとあの小説とは違うのだろうけど、「何か」に固執する事で興奮する彼たちを。
私はまだ出会っていないけど、きっとそれは、アクセサリーかもしれないし、靴下かもしれないし、めがねかも知れません。
その人とを結びつける何かは彼らにとっては絶対で、それをとる時は恋が終わった時かもしれません。その人をその時どう思うのかはまだ知らない感情。
私はまだ知らない感情を想像しながら、「薬指の標本」をハラハラしながら読み返してしまうのです。彼らはどうなってしまうのか…おやすみなさい。
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