山頂の景色よりも、山道をたのしむ生き方がしたい。
冬になると、水に触るのが嫌になる。日常生活には、水に触らないとできない習慣がいくつかある。
とくに洗い物と洗顔は、まぁまぁ長いあいだ手を冷たい水に晒さなきゃいけないので、冬になると途端に難易度が上がる。それまでは50%くらいのエネルギーで上げていた腰も、90%くらいのエネルギーが必要になる。人間は思っている以上に、季節に生活を左右される生き物かも。
最近はようやく学習して、洗い物や洗顔を「やらなきゃなぁ」と感じたタイミングで、給湯器のスイッチを押すようになった。あたたかいお湯が出てくる!全然つらくない!むしろ気持ちいい!という感動が未だに毎回ある。
ほかにも、ほんとは外に出たいけど寒いという理由でそのまま一日中家のなかで過ごしてしまったり、お風呂に入った方がいいとわかっていながらもめんどくさくて寝てしまったり。「やりたいけどやれない」ことが日常にはたくさんある。
そんなときに一番有効な「やる気スイッチ」って、給湯器のスイッチみたいに、「心地よくできる状態を瞬時につくってくれるもの」なのかもと思った。
だから、外に出たいときにはまずは温かい服に着替えるのがいいし、お風呂に入りたいときはお気に入りの入浴剤を入れてみるのがいい。そういう些細な工夫の積み重ねによってこそ、生活の質は高まっていく。
よく、「いつかあの景色を見るために、今は力を振り絞って耐えようぜ!」みたいなモチベーションの上げ方をする人を見かけるけれど、ああいうのがどうしても苦手だ。未来のたのしさのために、今のたのしさを犠牲にすることがどうしても無理なのだ。人はいつ死ぬかわからない。もし明日死んでしまったら、元も子もないじゃないか!という考えで生きている。
わたしは圧倒的に、これから登る山の山頂から見る景色を想像するよりも、途中の山道でおいしいお団子を食べるとか(これって高尾山だけなのかな)、生えている珍しい植物を発見するとか、そういうたのしみで自分を鼓舞するタイプだ。
ぼやけた未来のたのしみ方を想像するより、いま目の前をどう楽しむか?を考えている方がワクワクする。だからこそ常に素直な目でいるべきだし、「いま」を丁寧に捉えることが、行動を日々アップデートすることにもつながる。
結局、「今をたのしくデザインする」をしたいんだと思う。それがどんどんできるようになれば、いつのまにか山頂にも辿り着くはず。毎日を登山にたとえながら生活しているわけではないけど、日々そんなことを考えながら過ごしている。
だからわたしは今日も、すきな服を着て、すきな音楽を聴いて、すきなものを食べていたいし、給湯器のスイッチを押しているのだ。
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