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こころの不調と栄養素の関係
二人目を産んでから長い間、抑うつや強迫性障害でSSRIやベンゾジアゼピン系の薬にお世話になっていた私にとって「こころと栄養」は、生涯の研究テーマといっても大げさではありません。やっとまとまった時間がとれるようになったこの機会に、深掘りしてみることにしました。
今日は、「こころの不調と関連のある神経伝達物質」と「神経伝達物質の生成に関わる栄養素」に着目して理解を深めます。
こころの不調の中でも、うつ状態に関係するとされている栄養素には、以下のようなものがあげられています。
・ビタミン類:ビタミンB1 B2 B3 B6 葉酸 ビタミンC ビタミンD
・ミネラル類:鉄 亜鉛 銅 マグネシウム
・アミノ酸:L‐トリプトファン L‐フェニルアラニン L-チロシン
・不飽和脂肪酸:ドコサヘキサエン酸(DHA) エイコサペンタエン酸(EPA)
次に、こころの不調と関連のある神経伝達物質についてみていきます。
「グルタミン酸」と「GABA(γ-アミノ酪酸)」
脳内の代表的な神経伝達物質に「グルタミン酸」と「GABA(γ-アミノ酪酸)」があります。
神経細胞において興奮を伝える役割、つまりプラスの信号を伝える役割を果たしているのが「グルタミン酸」です。
いっぽう、神経細胞の興奮を抑える役割、つまりマイナスの信号を伝える役割を果たしているのが「GABA(γ-アミノ酪酸)」です。
「グルタミン酸」や「GABA」を、そのまま食事やサプリメントから摂取しても「脳の働きを助ける」ことはできません。なぜなら「グルタミン酸」や「GABA」は、血液と脳脊髄液の間での物質交換を制限するしくみ、脳の関所として機能している「血液脳関門(BBB)」を通過できないからです。
両者は、まず「L-グルタミン」の状態で「血液脳関門」を通過して脳内に入り込み、そのあと「グルタミン酸」や「GABA」に変換されます。
変換されるときの補酵素として必要なのが、葉酸、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6 などの栄養素です。
「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」
生命の維持に必要な、呼吸や循環の中枢が存在する脳幹部(大脳と脊髄を結ぶ部位)の神経細胞には、脳内アミンと呼ばれる「ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニン」の三種類の神経伝達物質が存在します。
これら脳内アミンは、脳の覚醒レベルや意欲、気分、注意力、興奮性などの精神症状に関連があり、なかでも「セロトニン」は、不安やうつ状態と関連が深いことはよく知られています。
これらは、いずれも血液脳関門(BBB)を通過することができないため、「L‐フェニルアラニン」や「L‐トリプトファン」の状態で取り込まれたのちに、「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」に変換されます。
変換されるときの補酵素として必要なのが、葉酸、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、ビタミンC、鉄、マグネシウム、銅などの栄養素です。
以上の流れを、参考書籍や関連サイトをもとに下図にまとめてみました。
以前「GABAは血液脳関門を通過できず脳に到達しないため、GABA入りの食品を食べても意味がない」という議論で盛り上がったので、それぞれの物質について血液脳関門(BBB)を通過するかどうかも調べてみました。(あのチョコレート、形も味も好きなんですけどねぇ…)
また、補酵素の役目をもつ栄養素も、血液脳関門を通過できるのか、とても気になったので調べてみたところ「補酵素」は生命維持に重要な働きをするため可能とのことでした。関所としての役割をちゃんと果たしていますね。ただし、ビタミンB6群は血液脳関門を通過せず別ルートから脳細胞に取り込まれるそうです。
脳における情報処理は、興奮を伝える「グルタミン酸」と興奮を抑える「GABA」により行われており、「脳内アミン」はこれを調節する役割を果たしています。
これら神経伝達物質は、冒頭でお示しした太字の栄養素が原料や補酵素となっていることがおわかりいただけますね。
最後に、それぞれの栄養素を含む食品をご紹介します。特定の食品や栄養素を大量にとり続けることは、かえって健康被害を招きますので、まんべんなくとるようにしましょう。
ビタミンB3:かつお まぐろ 豚レバー アボカド エリンギ まいたけ 干ししいたけ ピーナッツ など
ビタミンB6 :かつお まぐろ 鶏レバー バナナ 胡麻 だいず
ビタミンC:ブロッコリー カリフラワーなどの野菜類 いちご キウイフルーツなどの果物類
葉酸:えだまめ モロヘイヤ 芽キャベツ ほうれん草 しゅんぎく アスパラガス きなこ うに など
鉄:レバー あさり 赤身の肉 生揚げ 卵黄 小松菜 など
銅:レバー 牡蠣 アーモンド 大豆 納豆 ピュアココア など
マグネシウム:ひじき わかめ 納豆 木綿 豆腐 かつお いわし ほうれん草ごま など
L‐トリプトファン: 牛乳 卵黄 チーズ バナナ アーモンド 落花生 など
L-グルタミン L‐フェニルアラニン L-チロシン:肉 魚 卵 大豆製品
今日は神経伝達物質を中心に、こころの不調と栄養素について考えてみました。
次回は、また違う角度から考えてみたいと思います。
うつ状態などのこころの不調があらわれてから、食事や栄養に気を配ることはとても困難で、料理はおろか買い物ですら不自由をきたすことが少なくないでしょう。
普段から食生活を気にかけてもらえると嬉しいです。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました😘
あなたの「スキ💕」がはげみになります😍
ではでは また。みなさんの健康を願って。
参考書籍 「精神看護学Ⅱ」 精神臨床看護学 NOUVELLE HIROKAWA からだに効く 栄養成分バイブル 主婦と生活社 Nutrition Care 2020年 秋季増刊 食と医療 2020 Vol.13 講談社
サイトはいくつも調べて載せきれないので、とても参考になったものをひとつ。