時系列と横軸がつながる歴史書
私は文系です
社会科では迷わず「日本史」を選択しました。いちばん点が取れたからです。「世界史」は明らかにダメでした。横の時系列がどうしても頭に入らないことと、「欧州と中国まで覚えるのは範囲が広すぎる、日本史なら日本だけ学べばいいんだから」という単純な理由でした。
私が日本史学習で非常に役立ったと思っているのは、「マンガ日本の歴史」です。
教科書は文字の羅列、覚えるべき用語が詰め込まれているためどうも覚えにくい。マンガは「ドラマ」の要素が盛り込まれていたので、スッと頭に入ったのです。
が、それに匹敵するかも、と思うような書籍を発見しました(もちろん書籍なので文字だらけです。そして「発見」というほどマイナーな本ではありません。むしろ相応の物議を呼んだ本です)
文庫版のため、通史ではなく「上下巻」に分かれています。幕末の黒船来航までを描いた「上」を読みました。
これ、非常に分かりやすいです。筆者が極力難しく書かないようにしている工夫を感じます。そして、この本、たぶん受験も意識して書いていまして、用語もきちんと網羅されています。
歴史の教科書は、政治と文化が分断して紹介されているので、つながりがまったく感じられないのですが、この本ではうまくそれを融合させているので、その時代の文化人とその政治的背景がよく分かります。特に日本史での高校・大学受験を考えている人にもこの本はオススメに思います(個人的意見です)。
もうひとつの感想
ほぼ全体、「日本は素晴らしい」と言っているような本ですが、1箇所だけ、そうではない書かれ方をしているところがあります。黒船来航のときです。天保の改革にはまったく触れる事なく、その紙幅の代わりに?幕末に次々とやってきた外国船について詳しく書いています。あわせて、そのときの日本の対応のだらしなさを書いているのですが、読めば読むほど、今の日本の体たらくに通じているように思ってしまいます。
でも、当時は為政者がそれを招いていたわけで、庶民にはそれを止める事は極めて困難でした。しかし今は違います。為政者を選んだのは、私たちなのですよね。当然、彼らが選ばれるような印象操作(報道とかキャンペーン)もたくさん行われているのでしょう。それでも結局選んでいるのは、私たち。彼らは何かが起きたとしても「私たちは、選挙で選ばれた人間ですから」と開き直ってなんの責任も取らないでしょう。
同時期にいた二人の人物をクローズアップしていることも興味深いです。中浜万次郎とマクドナルド、この人たちが外国滞在で得た感覚は、見習いたいと思いました。
そんなことを最後の箇所で感じたのでした。
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