救われたのは私だった
適応障害になってからというもの、文字を読むのが大変になりました。それでも読書は好きなのでどうしても本が読みたい!とのことで自分なりにリハビリをしてみることに。
いきなり真新しい文章を読むのは大変かもと思い、すでに読んだことのある小説を読むことにしました。
選んだのは大好きな橋本紡さんの本!(といっても全作品読んだことがあるわけではないですが…笑)
橋本紡さんを好きになったのは「流れ星が消えないうちに」という作品がきっかけなのですが、今回選んだのは「ひかりをすくう」という本。
というのも、この物語の主人公はパニック障害を持っています。私が持っているのは厳密には違う病ですが、今なら何か感じるものがあるかも。と選びました。
あらすじ
橋本紡さんの作品といえばなのですが、とにかく料理が美味しそう、そして、丁寧な暮らしの描写にとても惹かれます。智子と哲ちゃんも頻繁に料理をする描写が出てくるのですが、それを心待ちにしている自分がいます。九十八円のウズラの卵を買ったり、小瓶のエキストラバージンオイルを買ったり、ささやかな贅沢を楽しむ二人の様子が微笑ましいのです。ひかりをすくう。すくったそれは指の隙間から零れ落ちてしまうけど、少しでもそれが手の中に残るように、そっと、そっと大切に扱う。そんなような暮らし。
また、智子の苦悩も共感できます。
この一節には共感してしまいました。私もこう思って愕然としたりしました。今もたまにします。でも、心の病を抱えた人の多くが通ることなのであれば、自分一人じゃない気がして、少しほっとできます。
やっぱり適応障害になってから読んだこの本は見え方が変わりました。智子はこんなに苦しかったんだ。わかる。こんな風に悩んでたんだ。すごくわかる。
そんな風に共感できたのは、一回心が壊れたからこそ。
壊れたものはそう簡単には治りませんが、悪いことばかりではない。少なくとも私は、智子に共感できて嬉しかったです。
あたたかで優しい智子たちの物語に、私はほんの少し救われました。本を読む理由は人それぞれで、読む本にもよりますが、たまにはこんな風に好きな本を読んで安らぐ時間を取るのも大切だなと思いました。自分に優しくなれる、したくなる。そんな一冊。おすすめの作品なので、是非!
ここまで読んでくださりありがとうございました。