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おれと妻の妊娠日記

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妻が妊娠中しているときに夫がつけた日記です。たまに妻の日記も加わります。「まる」は胎児に付けた仮の名前。続けて読むと「妊娠」という現象がリアルにわかると思います。
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#妊娠

2022年2月6日 ミスタードーナツ

妻とも子とも面会はできない。しかし差し入れはできるということで、ミスタードーナツを持っていくことにした。

ここで悩むのはミスタードーナツの個数である。ひとりで食べきる分として、いくつが適当だろうか。

たくさん持っていけばいいような気がするが「こんなにくいしんぼうじゃないよっ!」なんて言われかねない。 

……熟慮の末3個持っていくことにした。

産院の裏口に行き、看護師にミスドの袋を手渡して、

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2022年2月7日 助けに行かなきゃ

妻の日記より

産後3日目。6時にナースコールが鳴って、グズグズと起きる。違和感を感じて足元を見ると、突然足のむくみが酷くなり、太腿から指先までパンパンに膨らんでいた。指と指がくっついて気持ちが悪い。

体温と血圧の測定のため、ナースステーションへ。

6時起きは早すぎる……7時でいいじゃん……とずっと思っていたが、今日になって初めて、隣接する新生児室からすでに赤ちゃん達の泣き声がしていることに気

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2022年2月8日 焼きそば作るときにかける水くらいの量

妻の日記より

深夜帯は赤ちゃんをナースステーションで預かってもらえる。でも、昨夜布団に入ってから、赤ちゃんと離れた事に突然不安を覚えて、迎えに行ったほうがいいんじゃないかと考え始めた。

赤ちゃんに授乳している時の感覚が体に蘇って、でも赤ちゃんはここにいなくて、居ても立っても居られないようなモゾモゾした気分だった。

生物としての本能が現れたのだろうか。もちろん迎えには行かずに有り難く寝たけれど

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2022年2月9日 出ないのだがっ!

面会にも行けないので、家で一人過ごしている。久しぶりに独身に戻ったみたいだ。

……とは言っても、ヒマをしているわけにはいかない。この時間を利用して出版社向けのマンガのネームを作ってみよう。

前回はぜんぜんダメだったので、ゼロからやり直しだ。前回はマッサージ師のマンガでダメだったので、今回はライターのマンガを描いてみよう。内容は何も決まっていないが、この思いつきだけでも一歩前進だ。がんばる。

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2022年2月10日 帰宅、新しい生活

あかちゃんはまだ体重が足りないということで産院に残して、妻だけが退院することになった。

朝、産院に妻を迎えに行く。ついでにちょっとでも生のあかちゃんを見られないものかな、と思ったのだけど、それはダメだった。

数日ぶりに会った妻は、大きなお腹がへっこんでいた。それまでは胎児が中にいたために、お腹が大きくなっていたが、胎児が外に出たから、お腹がへこんだ。当たり前のことだ。

……当たり前のことなん

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