2022年2月6日 ミスタードーナツ

妻とも子とも面会はできない。しかし差し入れはできるということで、ミスタードーナツを持っていくことにした。

ここで悩むのはミスタードーナツの個数である。ひとりで食べきる分として、いくつが適当だろうか。

たくさん持っていけばいいような気がするが「こんなにくいしんぼうじゃないよっ!」なんて言われかねない。 

……熟慮の末3個持っていくことにした。

産院の裏口に行き、看護師にミスドの袋を手渡して、踵を返す。

手渡した30秒後くらいにLINEに妻から「ありがとう!」というメッセージが入る。

妻の病室は裏口から本当に近いところにあるんだろうな、と思って病院を眺めたのだった。

妻の日記より

朝は6時にナースコールで起こされた。

初日の悶えるような痛みは無くなり、時々キツめの生理痛っぽいやつがギューっと来るくらい。昨日よりはずっとよく眠れたが、横を向くと痛くなるので、ずっと上向きで姿勢を変えられないのが辛かった。丸めたバスタオルを腰の下に敷いて、少しだけ傾けながら寝ていた。

検温と血圧測定のため、ナースステーションへ来るように言われる。また15分かけて起き上がるのか……と憂鬱になるが、やってみると昨日よりスムーズに起きられるようになっていた。それでもまだ5分はかかるけど。

ナースステーションへ行った帰りに、ラウンジで温かいお茶をゲットできて嬉しい。動けるって最高。

昼頃、夫がミスタードーナツを差し入れてくれた。妊娠してからミスタードーナツが大好きになって、体重が増えすぎると良くないからと我慢していた時期もあったが、臨月に入ってからは開き直ってよく食べていた。

妊娠をきっかけに追加された、私の大好物である。すぐ近くに来ているのに、顔を見ることも、赤ちゃんを見せることも叶わないのがもどかしい。全部コロナウイルスのせいだ。袋の中にはドーナツが3つも入っていた。大切に食べよう。

午後は初めての授乳。通常は病室に赤ちゃんを連れてきて行うらしいが、うちの子は低体重児なので外に出さず、私が新生児室に通うスタイルとなった。

ベッドの中には、小さな小さな女の子。とてもかわいい。恐る恐る触っているとお互い逆に怖い思いをするかなと思い、自信を持ってしっかり抱き、ぐいっと強気でくわえさせてみた。

まだ母乳は出ないけれど、赤ちゃんは何も出ない乳首を必死で吸ってくれた。その後、哺乳瓶に入ったミルクもゴクゴクと元気に飲み干した。小柄に生まれた赤ちゃんだけど、一生懸命大きくなろうとしているのだなあ。なんて立派。

骨盤ベルトをつけてもらったら、腰がとても楽になった。嬉しい。

今日からシャワーも解禁され、2日ぶりに頭を洗えた。傷がしみたりしたらと想像して怖かったけど、そこまででもなかったのでほっとする。

しかもなんと、シャンプー類はイソップ、ドライヤーはダイソンが備え付けられていた。

病院のアメニティはショボいだろうと予想して、ロクシタンのシャンプーとドレープフロードライヤーを持参したのだけれど、一瞬で霞んでしまったね。

ダイソンのドライヤー、すごく良かった。驚くほど軽いし、風が塊になって吹き付けてきて面白い。乾くのも速かった。こりゃテンション上がるね。明日もシャワーが楽しみだ。

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斎藤充博
サポートしていただけたら妻においしい果物を買ってきます。