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恋詩

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#詩

月だけ知ってて

月だけ知ってて

わたしが送った
夕暮れのなみだと-15℃のリボン

あなたがわたしに送った
葉脈のため息

月だけ知ってて

「8月の朝
  踊るシジミ蝶 
  季節はずれの春がきらきら
  輪を囲んで ああ 
     まぶしいです」

緑の香り
碧に染まる
二つの石

-山中電車-

がらんがらんの空席が
しばらく目を瞑り
気配を消す

吊り革に体を半分預けて
景色を眺めるあなたと

ドアにもたれながら

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背中の下の青い屋根

背中の下の青い屋根

20分前の

私の首もとに

はるか遠い河川敷で

石になったわたし

午後4:47分 

流れる水の音と寝そべりたい

とがったくちばしを

天井にはりつけて

あなたを階段から

突き落とす夢のあと

午後5:13分 

あなたの横顔が

太陽に染まりだす

赤い輪郭 

行き場をもてあます

逆光の感触

水中の中ゆらゆら

きらめく私の髪が

空の吐息に溶けて

石になって

にんじん

右横にたばこを吸う君

ぼくはたばこをやめたから

君がたばこを吸ってる時は

にんじんを食べてる馬だって
いうことにしてる

右横ななめから見た馬は
なんとも凛々しくて

むしゃむしゃと音を立てるすきまから

香ばしい香りが

眉間の距離を縮めては広げる

スローで見る電車のドア

夢の中のデジャヴ

秒を数えるごとに
目の下がオレンジに染まり

ぼくの右手にも
うっすらオレンジがかった
気がし

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〈詩〉桜の音はカラスが食べた

〈詩〉桜の音はカラスが食べた

まだ少し冷たい風 
伸びた雲の下
影なくて
視線の先
カラスの足あと

コンビニでコーヒー買った
氷とガムシロップ
一周ゆらり
まわるあいだ

黒のパーカーが一瞬笑ったのは
桜の音

ぼくの左肩が
一回くしゃみした

車の窓から見えるダム
きみの手から
すぐ投げた

大きな音と
スローハイ
桜散らなかった

うす紫の
ちいさな実を隠し持った
きみの背は頑丈

カラスが通りすぎるたび
なんのへんてつ

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おわりはじまり

おわりはじまり

水面に映る雨上がりの
雲の隙間
差し込む光

砂利とくっつき虫

クリーム色のため息をつく
睡魔が皮からはみでる

はみでた月は
シュークリーム
まどろみの裾に揺れて

よれよれの叫びの中

もう
聞こえてはこない

彼らの声

月のなかの
小さなウサギ

っxa)u ))

聞こえましたか
小さなくしゃみ

愛をもって
出発の合図  うちゅうより

ロマンチックな花束を抱いて

ロマンチックな花束を抱いて

ロマンチックな花束を抱いて

ほら
足元にオレンジのリボンが
君の小指にまかれてね

透明な鈴の音色

いつ気づく

この線の始まりの切れ目で
このざわめきが

地平線に溶けて弧を描く

薄紫色の雲が虹に連絡をする

なくてはならない
あなたの親指は

金色の鳥が雛の餌にして
7716番目の羽根に生まれ変わる

111

111

タルトの生地を
むしり取られて

残された
艶やかな苺

ザラザラと
タルトの残りかすが
むなしく

皿に残る

タルトでなくなるまえに

伝えることはあるか

「あなたのおかげで木になった」

「あたらしい水をさがすよ」

神聖なもの

神聖なもの

まっすぐな速度で
それは
手と手の間を
すり抜ける

口という口を閉ざして

あっという間に
すり抜けていく

ああ

″さようなら″

ちくわの中も
あなたの襟の間も
笑わない頬の上も
すんなり
すり抜けて

ぼくの袖を引っ張り
ここがバス停だという
一通の神聖な手紙が
来る頃には

すでに
過去の出来事に記録され

ぼくの指先は
1分後に
皿回しの神経を整えていく

手と手

手と手

それは

愛になるまえの

皮と身の

境界線

破ると
いたいから

そっとしておくの

嵐がくるまで

18  「月 とうふ ピンクの布」

18 「月 とうふ ピンクの布」

とうふを月にあげた

月の手首に
ピンクの布
とうふをつつむためのふろしき

月はとうふを
きゅっとしぼり

私の恋人の畑から
ほうれん草とにんじんを
そっと抜き

白和えにして
しろうさぎの口に入れた

しろうさぎは
それから
家と家をつなぐ
チャイムになった