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「失敗」に気づかないことが一番怖いかもしれない

「失敗は成功のもと」

もはやお決まりの慣用句になっていて、改めて意味を考えることも少ない言葉。

「教室は間違えるところだから」

どちらかと言うと、失敗しても大丈夫!と言う慰めのニュアンスで受け取っていた感覚です。

でもこの本を読んで改めて、学校どころか社会に出てからこそ多くの失敗をするし、時にはあえて失敗することすらも必要で、そこから学び続けるのはどう言うことなのか教えられました。

この本では、「失敗」に対して特殊な姿勢をとる航空業界を通して、それにどう向き合うべきなのか、人はどうして向き合えないのかを教えてくれます。

ちょっとした「失敗」がたくさんの命を奪う結果になる航空事業。重大な事故が起こった際にも決して個人の能力やミスに言及することはなく、事故の原因を究明し、同じ事故を二度と起こさないことのみを重視しています。

ミスをした本人が何が起こったのかを正直に話し共有することができる、とにかく失敗に対してオープンな文化とシステムが業界単位で構築されています。それによって迅速にエラーが改善され、相当危険であるはずの飛行機は異常とも言えるほどの高い安全性を保っています。

記憶に新しい今年のはじめの飛行機事故。その際に警察の捜査が入ったことへの強い反発が起こったのも改めて腑に落ちました。


もちろんピアノ調律の仕事でも失敗は常につきまといます。

失敗とは言えないような小さなミスもあれば、対処が必要なミスもある。
自分がすることもあれば、前任者がしたものに遭遇することも。

自分のミスであれば何とかした後に「リカバリーできて良かった」と安心して終わり。誰かのミスには愚痴をこぼしながら対応して終わり。

そんなふうにしてしまっていないかな?と自分自身反省しました。この本を読んでから、日々の仕事で最低ひとつ失敗を記録するようにしています。

そして小さなミス(道具を車に忘れて無駄な往復をしてしまったとか、工具カバンに布が挟まって閉まらなかったとか、話す順番を間違えて説明が長くなってしまったとか)はその時「あっ」と思っても、あとで書き出そうとするともう思い出せないんですよね。

あっと思えばまだ良い方で、もしかしたらミスをミスと認識すらしていない可能性も。こうやって小さなミスを何度も繰り返しているんだと思います。そしてそれが複雑に絡み合って大きなミスに繋がる。

失敗にまずは気がつくこと、きちんと向き合うことは自分にとってのこれからの課題だと思いました。そして共有することまでできれば、業界にもピアノユーザーにとってもより良い未来となる気がするのです。

「人の失敗から学びましょう。自分で全部経験するには、人生は短すぎます。」

アメリカ第32代大統領夫人 エレノア・ルーズベルト



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つくし@ピアノ調律師の書斎
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