ホラー【歯向かう便器】
蓋を開けて座ると”それ”は襲ってきた。
背中から”ワシッ”と押さえ込む。
最初は何かわからなかった。
が、ことを終えて立ち上がる時”それ”は抵抗してきた。
下半身を丸出し、仕舞おうにも仕舞えない。
立ちあがろうとすると押さえ込んでくる。
まるで行くな行くなと拗ねた子供のよう。
「こういう機能がついてるのかな?」
「最新式?」
ちょっと訳がわからん。
「あっ?まてよ。そーかー」
と、とりあえず用を足したし、水を流してみる。
「水を流してから立ち上がりましょうーってことでしょー」
と、立ち上がる?いや、まだだ、背中を”ワシッ”と押さえ込まれる。立ち上がれない。。
ちょい待ち。コレって?
どーなった??怖っ
頭の中で考える。
手順か?
そういう時間?
いや待てよ。俺何か気に触るようなことした?
掃除をしたのはいつ?
グルグル考える。
丸出しの下半身が冷えてきた。
うーむ‥。
その時電気も消えた。パチンッ‥
こわ〜い‥
トイレの恐怖
便器の神様どうかお願い
とりあえずこんな時はお経を唱える?
何て唱えるんだっけ?覚えておけばよかったバカバカ‥
色々考えたらバカバカしくなってきた。
怒る。
「こんなのおかしくね?」とイライラ
長時間座り続けるのも不安を通りこしてイライラ
こんな時にスマホもない。
スマホがあるなら灯りだってつけられたのに。
イライラ
こりゃあなたと私との戦いよね?
ガチだぜこの野郎!と全身の筋肉使ってグォーと立ち上がる。
「プチンッ」
何かが切れた音がして下半身丸出しのまま呆然と立ちすくむ
「あれ?」
上着のほつれだ生地がトイレの蓋に噛んで引っかかっていただけだった。。
トイレの蓋もしっかりと開けないで自分に倒れこんだまま用を足していたのもある。
「バッカじゃねぇ⤴︎」
トイレの化け物のせいにした自分よ阿呆鳥
でも、なぜ電気消えた?
無事にトイレ部屋から帰還後リビングにいる者たちに問う
「こんな事あってさー。怖くね?」
そしたら嫁が言った。
「えっ?まだいたの?とっくにトイレ出たと思ってさ、消しといた」
ツーツーツー(電話の切れた音)
こりゃまるでお化け屋敷のスタッフじゃんっ。あなた。
と、事の真相をコナンのように究明でき、安心してバカらしく寝床へ入る阿呆鳥でした。
お終い