【えーる】鹿野を走る 正月用品準備中
珍しく、正月用に餅などを頼んでみようという気持ちになった。
それほど餅が好きなわけでもないし、一人暮らしの時には思いもしなかったことだが、所帯を持って少しは家庭らしいこともしてみなければ、とでも心持ちが変わったのだろうか。
とにかく、嫁の実家にも確認し、まとめて平餅を買いに行くことにした。
もちろん、購入は鹿野で行う。きっと今の時期は、正月の準備でてんてこまいになっている頃だろうけれど、自分たちの分もその準備に滑り込ませてほしいと考えたのだ。
地域の女性が集う「しぶかわ工房」 餅生産中
渋川地区の皆さんが運営する「しぶかわ工房」は、いわゆる地産地消の品物を加工する加工所のようなものである。
普段は、ラッキョウや梅干し、コンニャクなどを制作されている。ここの梅干しは刺すようなすっぱさもなく、実も大きいから食べやすい。あまりすっぱすぎる梅干しは嫌いなので、試しに買ってみたがなかなか好みの味だった。
そのしぶかわ工房は、旧渋川小学校の跡地に建っている。かつて小学校の校舎があった、わずかに高台になっているところに、校舎の半分もないサイズの工房があって、普段なら1台か2台しか止まっていないはずの自動車が、10台近くも並んでいる。まさに総力戦といった様相だ。
小さな工房内では、地域の女性陣が懸命に餅を制作されていた。さすがに杵と臼を使うような重労働はできないから、もち米を機械でこねて餅にしている。そして、奥の部屋に行くと餅がズラリと並んでいた。方々から集まった注文書や、自分のように電話で予約する者もいるだろうから、とにかく大量の餅が必要なのである。
段ボールに詰めて取ってもらっていた餅を受け取り、さて帰ろうと思ったときに、ふとしめ縄飾りの話を聞いた。
「ふるさとマルシェなら売ってあると思うよ。行ってみたら?」
なるほど、正月の準備と言えば”それ”もあった。
熟練の技が結い出すしめ縄飾り
ふるさとマルシェかの、という名称よりも、以前から周南市に住む者なら「しゃくなげ」と呼んだ方がしっくりくるかもしれない。もともと、JAの直売所だった建物を買い取って始まった店で、今も変わらずさまざまな鹿野の産品を売ってくれる。
話に聞いた通り、あった、しめ縄飾りだ。
この飾りは、このふるさとマルシェかのから程近い場所にある、鹿野高齢者生産活動センターで制作されたものだ。
以前に拝見したことがあるが、大きな部屋いっぱいに、1つ1つ手作りで制作されたしめ縄飾りが並んでいる様は圧巻である。しっかりと心を込めてくれられたこのワラの飾りに、飾り紙やカキなどを取り付けることで飾りは完成する。
もちろんしめ縄飾りという物の存在は知っていたし、実家では毎年きちんと玄関先には取り付けられていたしめ縄飾り。アパートで1人暮らしともなると、なかなかこうした物を取り付けるような気持ちが起きなかったのだが、今年はちゃんと準備して取り付けよう、そんな気持ちになったのである。
玄関に取り付ける場所がなかったので、ドアの戸当たりに引っ掛けてみた。
見慣れた玄関先だが、この飾り1つでずいぶん違った印象に見えるから不思議なものだ。
気が付けば、令和3年も今日を入れてあと5日と終わりが迫ってきている。
日々の仕事に追われて何がなんだかわからないうちに流れていく日々であるが、時々立ち止まって、こうして節目を感じる「整え」をすることも大事なのだと感じさせられた。
ともあれ、これで外面の準備は終わった。
これからは、大掃除でバタバタしそうな時間がやってきそうである……。