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『花束みたいな恋をした』で語りたい

昨晩、映画『花束みたいな恋をした』が地上波初放送されました。
やったー♪


映画館にはめったに行かない、ましては恋愛ものとあればさらに遠く...のはずだったのに。
坂元裕二脚本
に惹かれて。
ドラマ『カルテット』何度見たことか。
さらに有村架純×菅田将暉
この2人なら見に行くしかない、と思ってレイトショーに行ったのが懐かしいです。

きょうは感想をつらつらと書いていきます。


社会に出るのはお風呂に入るのと一緒なの。入る前は面倒だけど、入ったらよかったと思うものなの」


すごく印象的なセリフですよね。
この前に、絹ちゃんが就活しているシーンで
「お母さんは新卒で就職しない=反社の価値観だから」
と言っていました。「みんなが当たり前にやることなんだから」という圧力や価値観の押し付けが、暗にこもっていてちょっと恐いです。
さらに、誰かがXで投稿していたのですが、
後半に麦くんの先輩が亡くなった場所もお風呂。先輩は社会で上手く生きられなかったのかなと気付いてゾッとしました。
「お風呂」の一言がこんなに効いてくるなんて。このグサっと刺さる坂元さんの言葉選びが好きです。



この映画の何がいちばん刺さるって、恋愛関係なく
「好きなことをするために働かないといけない」「仕事のために好きなことを我慢しなきゃいけない」のジレンマにすごく共感してつらくなるからです。
さらに、それが原因で2人がすれ違っていくのが寂しい。すれ違いが描かれる中で印象的なセリフ。

その人は偉い人かもしれないけど、今村夏子さんのピクニックを読んでもなんとも思わない人だよ」

一度目は、就活で傷ついた絹ちゃんに、自分は味方だよと手を差し伸べて2人を結びつける言葉。
でも、二度目は、2人はもう同じものに感動できない、麦くんは心はちがう世界に行ってしまったとすれ違いを決定づける言葉だなと思いました。
ちなみに、今村夏子さんのピクニックを読んでみたい気持ちがあるけど、自分がなんとも思わない側の人間だったら絶望しそうなので手に取れないままです...。



ダメ、ゼッタイ。
「じゃあ」の破壊力。
好きなことを仕事にするか、で言い合いになった2人。絹ちゃんが「したくないことはしたくない」と言うと、「俺が稼ぐから結婚してずっと家にいればいい、家事もしなくていい」って。そんなプロポーズあるんかい。
この2人、趣味はすごく似ているけど、働くことの価値観はまったく違っていたんですね。
麦くんのこと嫌いになりそうだけど、あのままイラストを描くことにこだわってヒモ状態になるのも嫌だな。社会というところは難しい。


2人の靴の色に注目

出会った日、
2人で静岡に行った日、
同棲し始めたころ、
2人は白い靴を履いていました。
ところが、2人が働くようになって喧嘩をしたシーンの後、アパートの靴脱ぎに映っていたのは2足の黒い靴。
黒ってスーツの色でもあるように、ビジネスやかしこまった印象です。
2人とも社会に染まってしまったんだなって感じました。
終盤、ファミレスで別れ話をするシーン。2人が昔の自分たちと重ね合わせた若いカップルも白いスニーカーを履いていました。もう、まっさらなあの頃には戻れないってことなのかなと勝手に考察してます。



「花束みたいな」タイトルの意味

上映されていた当時、
「花束はもらった瞬間がいちばんきれいなもの」というレビューを見つけて、秀逸なタイトルだなと思った覚えがあります。
友人の結婚式で2人がそれぞれ別れる決意を固めて、花嫁に花を投げるシーン。花束が散って終わりへと向かうイメージです。

「楽しかったね」
絹ちゃんが一緒に過ごした5年を振り返る言葉です。
別れて残念で終わるのではなくて、一緒に過ごした日々を価値があるものだったなと前向きに終われていいなって、今回見て思いました。
花束もいつかは枯れてしまうけど、花を見てきれいだなと思った時間は楽しい思い出としてずっと残るもの。
恋愛は成就するからこそ幸せだと思っていたけど、振り返ったときにいい時間だったなと思えたらそれも幸せなのかなって思いました。
咲いた花は散るからこそに美しい、と言うように。
「花束みたいな」ってタイトルの意味を考えるとますますこの映画が好きになります。



最後に忘れてはいけない
awesome city club さんの『勿忘』
春が待ち遠しい。



また次の記事でお会いできますように💐


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