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300円あったら…

角田光代さんの「しあわせのねだん」がブックオフで買えます。正確には税込330円なり。

このエッセイは、角田光代さんの本の中でもかなりお気に入りだったんだけど、旅の途中で置いてきちゃったか、実家の腐海に埋もれてるか、なんか知らんけど失くしちゃってたの。買い戻せてめちゃくちゃ嬉しい。

そそられるでっかい帯の宣伝
表紙かわいいー!

読み返して、そうだったそうだったと思い出しながら、やっぱりすきだなーって再確認。

蟹コース 5820円
コーヒー 2.80NZドル、ヤムヌア(牛肉サラダ)ごはんつき 8NZドル
記憶 9800円×2

とか、特にすきかな。

「蟹コース」には、衝撃の事実が書かれている。酒好きの角田さんは、腹いっぱいごはんを奢られると思う存分飲めないので不機嫌になるらしい。「ごはん食べましょう」=「酒を飲みましょう」に自動脳内変換されてしまうとのこと。

人には「ごはん派」と「酒派」がある。前者が「ごはん食べましょう」というときは、実際ごはんを食べるのだ。後者の「ごはん」は「酒を飲もう」と同義である。しかし人はそもそも「私はごはん派」「おれは酒派」などと名乗っていないから、意味合いが混同して面倒なことになる。

しあわせのねだん 蟹コースP42
角田光代

そうだったのか、知らなかった。

とある編集者さんが連れて行ってくれるのが、いつもコース料理のお店で『顔には出さずとも私はだんだん不機嫌になる』(絶対顔に出てるんじゃなかろうか?笑)し、『編集者がだんだん憎らしく思えてきた』という角田さん。
だが、十数年後に新宿のかに道楽を訪れ、5820円のコースをお友達と食べた角田さんは『うまいじゃん、かに道楽!じつにうまいじゃん!』とごはん派の気持ちもご理解されたようだ。

角田さんは『二十代の私は、ほんとーうに子どもだったんだなあ。ものすごい偏食だったこともあって舌が子どもだった上、ごはんを食べる楽しみを知らなかった。』と振り返っておられる。

これは私の想像ではあるが、かの編集者さんと相性があまり良くなかったのもあるのかなぁ?なんて思ってしまった。年月が経って、コース料理の良さが分かるようになったというのも一理あるけど、気の合う人とおしゃべりしながらのごはんは楽しいはずだから。ごはんの美味しさって、何を食べるかより、誰と食べるかが重要だったりしません?

あと2つの感想を書くスペースがなくなってしまった。コーヒーと牛肉サラダは取材旅行のお話。アジア料理の美味しさ素晴らしさ、自分でお金を使って肌感覚を磨くことについて書かれている。記憶はお母様との旅行の思い出。歳をとると親子の立場が逆転すること、不満ばかりでも『あの最悪といっていい一泊旅行が、記憶のなかで不思議な光を放ちはじめる。』というほろっとくるお話です。

私の記事に300円使ってくれたPJさん、お金はだいじだよー!有意義に使ってね♡笑 買ってくれた分の労働はこれで許してもらう。まいどありがとうございます。




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