私に似合う服④


濡れ衣を着せられなくなっても、それでも濡れ衣が似合っていると思っていた。


必死に虚勢を張っていた。

本当の私はいじめられっ子のまま何まで変わっていなくて、ただ弱く見られたくないから、虚勢を張っていただけだった。

制服を脱げば、また弱い自分に戻るだけだった。


制服ならみんなと被っても怒られなかったけれど、流行りの服を着て、誰かと被ったらまた怒られる気がしていた。

もうおしゃれはしないと決めていた。

もう、可愛い服には興味がなかった。

中学生にしては味気ない、流行りも廃りもないような、地味な服を着ていた。

ダサいくらいが心地よかった。


やっぱり濡れ衣が似合うのだと思う。

でももう濡れ衣は着たくなかった。


だけど、可愛い服にはもう興味が湧かなかった。


(つづく)


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