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Ichizo Yoshioka の新世界

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2022年11月の記事一覧

Billy - Isbella

Billy - Isbella

カントリーミュージックを軸にした2010年以降のバンドは、明らかにこの人がフロントマン!みたいな存在がいない場合が多い。ちょっと気になって古いカントリーミュージックを聴いてみたら、しっかりと中心人物を据えているっぽい。これがたぶん今と昔のカントリーミュージックの違い。

俺はスターを祭り上げるタイプの音楽より、メンバー同士が音を寄せ集めあって、中心に音楽が存在するようなものが好き。この感覚はすごく

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LET’S DO IT AGAIN / Jamie XX

LET’S DO IT AGAIN / Jamie XX

音のテクスチャー、これまでの曲とはぜんぜん毛色が違うけど、この人の音だとわかる。音がしっとりしてる。

キックの音がぜんぜんイカつくない。ベースの音に輪郭を与えるだけの存在、くらいの印象。70年代ディスコファンク的。たぶんそのへんの影響がでかい。

踊らせるためのミュージックであり、リスニング用のミュージックであるという特異さは、音作りによるもの。俺はこれを聴ききながら踊っているわけではないが、聴

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STAR PRINCESS BLONDIE - Bobbie Lovesong

STAR PRINCESS BLONDIE - Bobbie Lovesong

俺このミュージシャンにシンパシーを感じている。

音楽の多くは、複数のフレーズで構成されている。そしてそのほとんどは、フレーズが一定のリズムで鳴っていて、ほかのフレーズと同期している。

楽器奏者のリズム感は、重要なスキルとして語られる。きっちりとしたビートが刻めるかどうかは、基本的な技術として要求される。その軸があったうえでわざと前乗りだとか後ろ乗りだとか、ビートにクセを持たせて、それらの組み合

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日記的なもの 2022.11.27

音を聴くというのは体験であって、音を使った芸術のことを一般的に音楽と呼ぶ。

「音楽」と聞いて、どんなものを連想するか。多くの人はポップミュージック。大衆音楽と呼ばれるもの。

この100年くらいで音楽は大衆化されて、今でもそれは加速している。流通ごと大衆化している。こんな話はこれまでもさんざん書いてきた。

大衆音楽は、直接的な体験とは少しちがう。ルールがある。たとえば歌詞という形で言葉が扱われ

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日記的なもの 2022.11.26

今考えてること。

歌もの作品をどうするか問題。サンプラー単体でにアンビエント作品をまずは作り、それを環境として扱う。それとは別にパソコンで作った音を使って、ミニマルな歌もの曲を演奏する。

できる限りこれまでやってきたことと、これからやりたいことをうまくミックスしたい。これまでやってこなかったことは、自分がうまくできていると思っていても、実はたいしてそうでもないですとあとから思うことがこれまでけ

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Follow the Cyborg / Miss Grit

Follow the Cyborg / Miss Grit

今はどうしても音楽を参考にするためという意識をもって聴いてしまう部分がある。技術的な面を除くたくなる。自然とその音楽のことを聴こうしているのかどうか、自分でもよくわからなくなるところがある。

そうなると今の自分にはあんまり関係がない音楽だと、切り捨てて聴こうと思えないものも出てくる。バンドサウンドのものはとくに、そうなりがち。

いちばんありがたいのは、人がひとりステージに立って演奏をしている様

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日記的なもの 2022.11.24

たぶんこの1ヶ月間近く悩んで考えてきた、歌もの計画をどんなふうにやるかという問題の答えというか、それっぽいものの、さらにその足がかりになりそうな方法が少し見えてきた。

けっきょくのところ、ふだん使っている Logic というソフトの、なんとなくあんまり好きになりきれないけど、いや、でもお前やっぱりあんまり非の打ち所がないよなぁ、みたいな部分を愛してやろうという前向きなのか後ろ向きなのかよくわから

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Harbor / Taylor Deupree

Harbor / Taylor Deupree

Apple Music で、好きなミュージシャンの関連ミュージシャンを辿り、好みの音楽に出会いやすくはなった。ただ、同じような音楽が次から次へと出てきて、なんとなくすぐ飽きてしまうこともある。

ど壺にハマり、だけどこれだ!思うものに辿り着かず、Apple Music のなかをうろうろしていた。だんだん自分が何を求めているのかすらわからなくなってきたころ、Taylor Deupree に出会った。

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The Triple Point of Water  / Mandrake Handshake

The Triple Point of Water / Mandrake Handshake

楽器奏者の端くれとして、音楽を演奏者目線で聴くことが当然ある。目線の種類にもいろいろあって、「このフレーズかっこいいなぁ、俺も弾きたいなぁ」みたいな目線、ライブで観客と対峙してるイメージの目線、あとはスタジオでメンバー同士が向き合って演奏しているときの目線がある。

それぞれの目線は、どんな目線で聴こうと自分が選んで聴けるわけじゃなくて、自然とその目線が頭の中にイメージとして浮かんでくるものなので

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日記的なもの 2022.11.21

先週は慌ただしかった。音楽を作ることを考えていたつもりが、実際あんまり進んでいない。焦ってしまいそうになるので、ここは落ちるいてちゃんと整理しなおしたい。

頭のなかで考えていても、実際に手を動かして音を鳴らしてみないと、音楽の場合ほとんど意味がない。人によるかもしれないけど、俺の場合はそれはもう明確にそうで、頭のなかでだけ考えていることはどんどんマイナスの方向に向かっていくことが多い。

かと言

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Established! / RP Boo

Established! / RP Boo

アフリカ発祥のダンスミュージック、ジューク/フットワークのミュージシャン、RP Boo、2021年の作品。ビートが軸、というか、ビートそのものが音楽。

ビートの研究者たちの、現在進行形の未来図のような音楽。ジューク/フットワークで扱われるビートの音色は、割とドラムマシンのデフォルトの音がそのままの使われていることが多い。考え方によっては、異様なストイックさを感じる。

俺が音楽を作る場合、ビート

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YAH Know / Chance The Rapper

YAH Know / Chance The Rapper

そもそもHIPHOPをそんなにたくさん聴くわけではない俺は、近年のトラップ主流のHIPHOPにはさらに馴染めず、古いサンプリング主体のものだけはミュージックコンクレート的な視点で発見が多くあって、それはそれとしてよく聴いていた。

Chance The Rapperの「The Big Day」は、ものすごく流行ったこともあって一通りは聴いていて、かっこいいなあくらいのことを感じていた。とても偉そう

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Wish I Was You / Gina Birch

Wish I Was You / Gina Birch

The Raincoats の Gina Birch のソロ曲。来年リリースされるアルバムから先行リリースされた曲。

一曲のなかにいちいち語りたくなる要素が多ければ多いほど、いい曲だということになるのかもしれない。

あっさり聴こうと思えば聴ける。劇的でもない。エモくもない。むしろそういうものを一歩引いたところから冷めた目で対峙するような、ドライな具合が曲に漂う。

ただただ音楽をやっている。音

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YAKUSHIMA TREASURE / 水曜日のカンパネラ & オオルタイチ

YAKUSHIMA TREASURE / 水曜日のカンパネラ & オオルタイチ

フィールドレコーディングした音を曲に取り込み手法を、俺もよく使うし、この数年ほかでもよくそんなような音が使われている音楽をよく耳にする。ほとんどのものは、アタックの強い音をビートの一部としてしようしたもので、個人的にはあんまり好きなやり方ではない。

フィールドレコーディングすること自体を作曲と捉えるような人たちもいて、俺はどちらかというとそれが好き。録音すること自体が芸術作品を作る行為であるろい

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