テンプレみたいな恋をした
恋愛においてよく「3ヶ月の壁」という言葉を耳にする。
高まっていた感情が、一旦おさまるタイミング、なのだろうか。
私は見事にこの「3ヶ月の壁」に直面し、テンプレートのような恋愛に終止符を打った(つもりでいる)。
思い返せば去年の10月。
コロナが少しおさまり、2回のデートを経て恋人ができた。もちろん嬉しかったし、割と楽しい日々を過ごしていたと思う。
年が明けた頃から、学業や内定者課題などでとにかく忙しくなった。自分のことで精一杯。相手に時間を割くことが大変になった。それでも私は、睡眠時間を削っても夜は電話をかけたし、会う頻度を減らさないために彼の家に泊まりに行った。それが幸せを維持するために必要だと信じていたから。
そんなタイミングで、彼が体調を崩した。
–このご時世、むやみに会うのはいかがなものか。
具合が悪い中で電話をかけるのもしんどいだろう–
そう思った私は、LINEをたくさん送り、心配な気持ちを伝えたり、水分や食事、睡眠をとって欲しいと伝えたりした。買い出しに行こうかと提案もした。すべて私なりの気遣いだった。
しかし、どうやら違ったみたいだ。
彼が欲しかったのはLINEではなく、安否確認の電話だった。心配ならなぜ電話がないのか、一人暮らしだから俺が死んでも気づかないんだろうね、と責められた。
気遣いのベクトルが合わなかった。
さらに、体調を崩した時の私の対応が発端で、今までの不満を全て指摘された。
私の至らない点はもちろん反省に値するが、そんなにたくさん不満があったなら、なぜその都度伝えてくれなかったのだろうか。「恋人なのになぜ?」という不満を畳み掛けられた。それはこちらのセリフだ。恋人なのになぜ、その都度伝えてくれなかったのだろうか?
私の中には悲しさというより疑問が溢れた。疑問が一通り脳内を満たしたところで、急に全てがどうでもよくなった。写真を見てもかっこいいと思えなくなった。思い出がまったくキラキラしなくなった。
そして先ほど、私は彼の家に置いてあった全荷物を受け取り、電車に揺られている。
本来なら悲しい気持ちで溢れるものだろうと思っていたが、どうやら違ったみたいだ。
私は今、とても晴れやかな気持ちでいる。
人前じゃなかったら多分スキップしてると思う。
おそらく、3ヶ月無理をしていた。
自分の心を騙し続けることで、幸せという虚像を見続けていたいだけだったのだ。
次に恋愛をする時は、
テンプレみたいな恋ではなく、
見かけの幸せのために自分を偽る恋ではなく、
肩の力を抜いて、心から楽しめる恋がしたい。
むしろ、そういう恋以外はしばらくしたくない。
始まりは、終わりの始まり。
テンプレみたいな恋をしたことで、見える世界が広がった3ヶ月だった。
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