1円以下の1文字にどこまで真剣に向き合えるか
サラリーマン時代には気づきもしなかったこと、それは時給や月給で報酬をもらえる有難さです。
そんなことにも気づかずに働いていた自分が、とんでもなく恥ずかしいのですが、時間で報酬をもらえることをすごいと感じるのは、どこかで楽な仕事をしていた証拠かもしれません。
3年前に和菓子職人としてパートをしていた頃は、基本的に重労働なので、もちろん気を抜く暇もありませんでした。
私は特に下っ端だったため、仕事を少しでも覚えようと最後の1分まで、頭と手を動かしていました。
それでも時間は絶え間なく流れるので、時間になれば帰れるのが普通でした。
しかし逆に言えば、とてもよい出来でお菓子が作れた日も、いつもよりも多く生産できた日も、給料が上がるわけではありません。
そのため、日々の失敗も成功も関係なく、安定的に給与が保障されている月給制は、まさに安心して働ける労働条件と言えます。
さらに、フルタイムで事務職として働いていた頃は、月の繁忙期と閑散期がはっきりしていました。
それこそ「今日は午後から何も仕事がない」なんて日も、月に数日ありました。
そんな日は、心の中で「この間すごく残業して忙しかったし、今日はのんびり過ごそうかな」などと考え、資料の整理やオフィスの整頓をして帰ることに、何のためらいもありませんでした。
ほんと、
なんてすごいんだ月給制!
もっと働けオマエは給料泥棒か!
と、過去の自分に言いたい(笑)
そう思うようになったのも、クラウドソーシングを利用したWEBライターの仕事をはじめたおかげです。
初心者のWEBライターの報酬は、1文字単価の成果報酬が基本なので、1文字何円の世界です。
ちなみに私はつい最近まで1文字0.7円でした。
さらにシステム手数料が、ここから2割引かれるので、0.7円の2割引きで0.56円が手取りになります。
しかし、私の報酬額はあまり関係ありません。
そう、1文字が0.5円でも1円でも10円でも、成果報酬の仕事はクライアントが求める仕事に、きちんと納品することが大前提です。
0.5円だから適当でいい訳じゃないし、10円だから自動的に良い記事が確実に書けるというはずもないのです。
常に前よりも良い仕事を、修正点の少ない文章を、読んだ人にとって価値のあるコンテンツを、そしてクライアントに求められる文章を書かなければなりません。
そのためにどれだけ時間を費やしても、報酬は1文字あたりの計算です。
ちなみに私の場合、時間に換算すると200円くらいの報酬かもしれません。
資料やデータを集め、記事を執筆し、修正して完成するまで、時間のある時はほとんどパソコンに向かうので、かなりの時間を費やしています。
もちろん時間単価を上げないことには、長く続けていけませんが、割の良い仕事をしようと思って始めたわけではないので、「今自分にできる最高の仕事に仕上げるためには、時間を惜しむわけにはいかない」というのが本音です。
ただしその分、金銭的な余裕はなくなるので、なぜ最初からきちんとした文章が書けないのだろうと、自分の能力の足りなさを嘆きたくなる時もあります。
夢見がちに聞こえるかもしれませんが、一つ一つ積み重ねる努力に嘘はない気がするから頑張れています。
一方、成果に応じた報酬は、労力に応じた報酬ではないことも、楽しく感じる要素かもしれません。
「一生懸命頑張ったから」「すごい時間がかかったから」その分お金がもらえるわけではない現実が、この仕事にどこまで真剣に向き合うかは自分次第なところがあります。
そして、お金以外の何かを得ている気がするというのも大きいのかもしれません。
1円以下の1文字に、どこまでも真剣に、今できる全てを持って向き合っていきたいと思います。