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77.楽しさと切なさがごっちゃ混ぜ

小学校6年生から今まで、19年間の仲になる友達がいる。私にとって友達歴が一番長く、大人になってもお互いの生活環境や価値観を尊重しあえる、大切な友達。

彼女と私は電車で1時間ちょっとのところに住んでいて、いつもその中間地点にある地元で会うことがほとんど。私たちは結婚して地元と少し離れた場所に住んでいるのに、今でも地元が大好きすぎて恋しくて、とても愛しているから、会う時は暗黙の了解のような感じで絶対的に地元になる。

***

先日、4ヶ月振りに会う約束をした。
中学生、高校生の頃は部活が一緒だったり、学校が離れても自転車でぴゅーっと行けばすぐの場所に住んでいたから、用事がなくてもしょっちゅう会っていた。それぞれの生活を持った今、会うペースは年3~4回くらい。会える回数や時間が限られることで、こんなにも貴重で昔とは違った楽しみが存在することを知った。

いくら久しぶりでも、会えばきゃっきゃと笑いながら、なぜかハイタッチ。大人の姿はしているけど、もう昔に戻っているような感じ。(たまに中学生の女の子たちが楽しそうに姦しくしている姿を見ると、ちょっとうるさいなと思いながら、昔の自分たちを投影して微笑ましくなる)

話す内容だって、部活や好きな男子の話から、今ではもう納豆の美味しい食べ方だったり、お互いの親の心配だったり、夫の実家の話だったり、彼女の子供の話になっている。自分たちがいつの間にか自立してそんな話をしているなんて、不思議だね、と言い合う。楽しくて、ちょっと切ない。

私たちはいつも、ランチの後にウインドウショッピングをする。いい感じの化粧水知らない?、夏場に髪が傷むんだけど、こっちのネイルポリッシュの方が似合うよ、これからの季節。こういう時、本当に数年前と変わらない私たちが出現する。これも不思議な感覚で、昔と変わらない楽しさと経ってしまった時間を思うとちょっと切ない気持ちになる。お化粧なんかしていない年齢に出会ったのに、学生時代は暇があればしょっちゅう2人でコスメを探しに行った。

昔みたいに色んなところに歩き回ったり、長時間遊ぶことはなくなったけど、たまに会って近況報告とかちょっと悩みとか愚痴とか、めちゃくちゃどうでもいい話をする凝縮されたこの時間が本当に楽しい。
だからいつも、解散する時に淋しくなる。

「次は夏に会おうね、そっち遊びに行くわ」
「うん、私もそっち行っていい?電車のが楽かな」

次の約束をしないと、別れるのがなんだか淋しい。
気付いたら学生時代の自由奔放なばいばーい!が、できなくなっていた。ほんの数時間、昔に戻ったようなそうでないような楽しい不思議な時間を過ごして、またね、と明るく言ってお互いの生活に戻っていく感じ。

帰りの電車、話した内容や昔のことを思い出して、急にめちゃくちゃ切なくなってしまった。さらにイヤホンからくるりの「三日月」が流れてきて、もう一人で泣きかけた。それから、このどうしようもない気持ちを消しても忘れようとしてもいけないと、こうして記事に書くことを決めた。書くことで淋しい気持ちを昇華させようと思った。

***

翌日には普通の日常。
買い出しメモを書き出そうと冷蔵庫の中を覗こうとした時、LINEの通知音。

「昨日はありがとー!
言い忘れたけど、 納豆にネギと天かす入れるのやってみてww」

彼女からのめちゃくちゃ普通なLINEに、いくら年月が経っても友達だな、と気が緩んだ。

おわり

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