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ふゆぶん2024のカムパネルラ「このままパーティを続けよう」(制作エッセイ2024年12月13日(金))


 今週の水曜日、行ってきました。
 喫茶フィガロさんのふゆぶんに。
 平日だったので、仕事おわり。
 長引いたこともあり、途中からの参戦となりました。

 今回はカムパネルラの容原静さんによる詩の朗読会。
 容原さんには『バケツズ』の朗読公演『へるへるへるへ』にも参加いただく予定なので、これは是非にと思い、京阪で大阪と京都を特急で飛ばしてきました。

 ただ、本編には間に合わず、途中の参加型コーナーのところで参加をする形となったのは申し訳ないところ。
 ですが、容原さんの詩は十分に楽しめたので良かったです。

 容原さんの詩は、リズミカルで抑揚があり、メロディのない(フロウはある)歌のようだなと思うことがあります。
 くっきりとした言葉の中に印象的なフレーズとリフレイン、何よりその熱量に心を動かされる。
 魂からの放出というか、言葉の礫というか。

 私は、脚本や小説などを書くので、一言葉一言葉じっくり楽しんでもらいたいなあと思う気持ちがあるのですが、要原さんのパフォーマンスはそれと対をなすように言葉を雨霰のごとく浴びることができるのでそこがまた良い。
(その後でしっかりとテキストを確認できるところも素晴らしいですよね。)

 人の思考で生まれた言葉を短い時間にたくさん聴くことのできる贅沢さと言いますか。そのような機会は平々凡々と生きている中では生まれません。
 
 言葉は誰かを救う魔法でもあれば、誰かを陥れる呪いでもあると私は思っていて、そんな言葉の力を容原さんのパフォーマンスを見ていると改めて信じてみたくなるから不思議です。

 ちなみにここからは余談ですが、私もこの場で詩、というかカニについての思いを述べたりしました。オープンマイクみたいなスタイルだったのです、イベントの後半は。
 最後に、その言葉を掲載し、供養して終わりとします。
 
 容原さん、お疲れ様でした。
 また、30日は頑張りましょうね。

『蟹』
横林大

かに!はよ来い、かに。横やから遅いねん縦でこい。
出てきて早々にダブルでピースじゃないねん。高らかにあげるな手を。

泡吹くな、泡。
それ、自分が思ってる以上に滑ってるからな。
いや、足足足。足多すぎ。美味しいのベールに隠されてめちゃくちゃ、厳しいビジュアルやからな。
アニメとかで可愛く書かれすぎやねん、お前。いや、カニぱんって。カニのパンってそんなポップなビジュアルちゃうって、お前。
一つの顔にすごい数生えてるから足。足の密集具合に、ああ、これは甲殻類というジャンルだなあという気持ちが襲来するからなあ。

泡ふくな。
あと、泡を生み出してる口もすごい。なんか横でわしゃわしゃしてる。口は、わしゃわしゃさせるな。
あと、目の位置も終わってるから。伸縮自在で円な真っ黒やねん。黒の玉よ。
何が冬の味覚やねん。何が鍋パーティーやねん。何がかに道楽やねん。
で、ちょっと裏ひっくり返してみたら、マジでかにの甲羅、裏側終わってるから。ゾワってなるねん。虫やん。美味しい虫やん、そんなん。
漢字も問題を解くの解くに虫を合わせてるやん。虫を解くな。虫はずっと謎のままでええやん。で、蟹、なんか食べ方グロいねん。皮はいで、あの蟹専用のほじくるやつで。カニでしか用途のないやつな。身を掻き出して食べるて。野蛮すぎるねん、我々はカニの前で。汁まで吸うからな。
で、蟹味噌やで。蟹味噌って!蟹味噌にテンションの上がってる我々って!っていうか味噌て!解いた虫の味噌て!
人間ってすごいな。業の塊やな。みんな地獄行くんやで、多分。

泡吹くな。
猿かに合戦も、起こるべくして起こった戦いやからな。猿サイドの気持ちがよくわかるわ。
っていうか、かに道楽て。カニの大きな看板って!。カニで人生の生計を立てていこうとする人たちがいるという事実!
カニで育った少年少女たち!
カニで建てた家!
カニでプレゼントされたランドセル!
カニのリコーダー!
カニの中学受験!
カニのエスカレーター式!私立カニ学園!
カニの大学!私立カニ大学!都心!
カニの社会人!カニの結婚!!カニが運んできた新しい生命の伊吹!
カニが生み出すサークルオブライフ!

嘘つけえええええええ!
カニって嘘やから。
美味しいのも嘘、可愛いのも嘘。
存在が嘘や。
泡も、嘘やろ?
あ、ちょっと待って。
こいつ、カニカマやったわ。

……最初から嘘やったんかい。



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