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正しくゆがみ、真っ直ぐに進む

「あなた、女で良かったわねぇ。男だったらストーカー一歩手前よ」
こんな形で「女で良かった」と言われることがあるなんて。今も忘れない。数年前、手相を見てくれたおばあちゃん占い師に言われた言葉だ。今の性別を続けることで犯罪者一歩手前から逃れられるのならとか、それでも一歩手前なんだとか、たかだか性別ひとつで人の本質は変わらないんじゃないかとか、私の脳みそはぐるぐる回り、あらゆる可能性を手繰り寄せようとしていた。

ストーカー一歩手前という言葉の意味は、とにかく好きなものにまっすぐ向かう力が強いということだった。その自覚はある。熱しにくいけれど一度でも火がついてしまえばとことん。どこにでも行くし、時間もお金も使う。好きなものに向かう力がある自分のことも好きなので、確かに対象が「片思い中のあの子」であればストーカーになっていてもおかしくない。占い師の言葉を借りれば、私は性別ひとつでそれにストッパーをかけているのだ。どうやら私のまっすぐな気持ちは、場合によっては歪んで受け取られる可能性があるらしい。

手相で散々な言われようだったので、四柱推命にも行ってみた。手相で言われたことは一切明かさなかったものの、そこでもまた私のまっすぐな気持ちに影がかかることになる。
「あなたはいくらパートナーのことが好きでも、拠り所にはできないタイプね。他の拠り所がないと不倫しちゃう。たとえば芸能人とか、現実的じゃない相手を拠り所にしないと」
ストーカー一歩手前の一歩手前くらいまっすぐに好きになれるのに、拠り所にはできないから不倫?ストーカーの次は不倫予備軍?何の根拠もない占いに連続で犯罪者の可能性を仄めかされ、さすがの私も参ってきた。

真っ直ぐな思いが高じて犯罪者になるのを防ぐために、少し歪めて寄り道をする。歪んだ道をまっすぐ進んだら正しい道に繋がっているのか。今私はどの道を歩いているのか。まっすぐ。ぐにゃぐにゃ。どの道を進んでいても辿り着く先は同じなんじゃないか。いつになってもどこに行っても付き纏ってくるのは占い師のあの言葉。それこそストーカー一歩手前だよなと思ったりもする。

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