今日から残り香になる

文章を書ききる練習と自由律俳句の記録

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最近の記事

短歌1 「あの葉も黄色くなっていた」

市の焼却炉頼らずに恋文は また1枚と焔に焚べよ ゆらゆらと揺れる「ゆ」を見て湿っぽい相聞歌に張る黄色い付箋 #短歌

    • 自由律俳句18

      バリキャリが居ると思ってピンヒール ジャケットにシュラスコ汁が飛んできた ルウだけで良いですなんて言っちゃった 挨拶が締められないで居る 締め方が分からないまま話し始めた 象の話で持ちきり 象に夢中で議論が止まる 象に道をゆずる 象と信号を待つ 街と象と私 ダイバーシティの果てにて #自由律俳句

      • 自由律俳句17

        飯食って屁こいて 笑って寝たらうんち出た 幸せが歩いてこないだなんて コンロに焚べて相聞歌 襟に味噌を付けている #自由律俳句

        • 『ムラブリ 文字も暦も持たない狩猟採集民から言語学者が教わったこと』伊藤雄馬・著

          出会いバックパッカーで80ヶ国以上を旅した方と仕事で知り合った。彼は都心から少し離れた街で、夫婦二人が食べる分の野菜と米を手作業で栽培しているらしい。 そうした人生を歩む理由に、『自身の辞書』を作る夢があるからだと話してくれた。辞書に掲載する言葉は全て自身が経験したもので構成するため、旅をするのも自給自足生活をするのもの必然なのだと言う。 その翌日、単身東北某県に移住し4月から無農薬で米作りを始めた方と出会い話を聞いた。 移住前まで、都心の会社に勤務し1日中空き時間をミーテ

          『見仏記4 親孝行編』を追って

          りんご音楽祭 2日目の朝会場前の駐車場で展開されていた関東方面の古着屋さんのブースにて。ラックにはアメカジ古着、地面にはコンバーススニーカー、面していくつかの木箱にはヴィンテージスカーフと古本が隙間なく並んでいた。 古いファッション誌、音楽誌、歌集、筒井康隆…背表紙を眺め、単行本版(文) いとうせいこう・(絵) みうらんじゅん共著『見仏記 親孝行編』を手に取る。シリーズ4弾目平成14年初版、裏表紙をめくり「¥700」の手書きの値段を確認し、チェックシャツがよくお似合いの店員さ

          『見仏記4 親孝行編』を追って

          りんご音楽祭と安曇野と道祖神

          0日目 深夜1時。移動シルバーカラーのフィットの鍵を友人から受け取る。太陽光を燦々と浴び曖昧な光沢はグレーとアイボリーのグラデーションを描く。持ち主を今まで安全に運んできた自信と気迫に満ちた車体は哀愁が漂う。眠気を誤魔化し誤魔化す同乗者らの命を預かり、遊びのあるアクセルペダルに戸惑いながら、長野県松本市に向かって静かに踏み込んだ。  深夜1時、湿気が溜まり生ぬるい風が体にまとわりついていた。それは、多賀SAでも尚まとわり続けた。 お土産売り場にて、恋人が私に問う。 「羽二重

          りんご音楽祭と安曇野と道祖神

          自由律俳句16

          夏のいちごで腹がふくれる 思っていた甘さじゃない 野性的な甘みに黙る 美味しいか うん たぶん美味しい分からない 無理に手を伸ばした次の一粒 #自由律俳句

          自由律俳句15

          蕎麦屋から 空手着の子 美しい装丁の中に生きたかった 店主が国へ帰った 足のむくみは宗教にだって治せない #自由律俳句

          自分の詩とは思えない

          いつかのメモ 久しぶりに泣くと肩が凝った 音楽で人が元気になるとは限らない(ようだ) 誰かの歌声も奏でる音も耳障り(目障り) いつもと寝る方向を変えてみる 暗くて少しせまい 壁が(いつもより) 近い 予定は潰れます 「予定」は潰れます 気付けば四時間毛玉取り 世の中うまくいかない でも部屋を片付けた 助詞に気をつける ら抜き言葉に気をつける 彼は誕生日だった 二日前に 遅れておめでとうを言った(返事はなんだろう) 「又」を「また」と書く 「また」は今日だ 引用の羅

          自分の詩とは思えない

          自由律俳句13

          死にたがってたばばあが死んだ 生かしていたペースメーカーの構造を知る  遠慮なく詰める骨壺 斎場に友達が押し寄せる押し寄せる(セックス・アンド・ザ・シティの構図でエレベーターに乗ってきた) 残る 2本のメビウスと灰と皿 坊主が言いたいことを忘れている 赤子が手を合わしている 空の部屋には鏡と針と糸ばかり 「 まだ くたばってないぞ 」 #自由律俳句 祖母ミサエ 2024年2月27日逝去

          自由律俳句12

          この宇宙と波動がずれる 皿が割れる (過去)ライト(現在)タップ(未来)ウェーブ メモをしたいと思っていた 暦がない人と過ごす時間 なにもおもいつかない #自由律俳句

          自由律俳句11

          霊道を陣取る 急いで公衆電話に入る 令和 ギャルとお婆が笑ってる (寿温泉) スチームサウナが占領されている 動物見るよりネトフリ見たい(BAR GOTEN) 昨日と同じ位置がねじれている バックパッカーの話が入ってこない #自由律俳句

          自由律俳句10

          来月に辞めるらしい子が口を閉じる 私は歯周病の治療をしてるのだ なのに君は歯石をつけたまま私に会いに来る  原作者はの声は届かず 冷たいホットライン 徹底したハラスメント講習の成果 髪の切り甲斐がない #自由律俳句

          自由律俳句9

          監視カメラを全部見る 行きつけのビールジョッキが臭う 犯人役が合うと指がこちらを向いている カウンターの中では収まりきらない小競り合い すれ違う人と息が合わない 配膳猫の頭を撫でてみる仕事に戻る 詩人は昼間の月が好き 問題作になっていないか観に行く (趣味:映画鑑賞) #自由律俳句

          自由律俳句8

          ガストを猫カフェと呼ぶ 朝六時 冬の満月と目が合う 生き残る人はいつも鼻毛が出ていた #自由律俳句

          『たこやき』 熊谷真菜・著

          一人暮らしのたこ焼き白ワインを片手に、たこ焼きを焼く。昔二人暮らしだった頃、彼が帰ってこない夜ひとり飯の定番はたこ焼きだった。再び一人暮らしになった今、好きなときに好きなだけたこ焼きが焼けるこの生活を愛している。 大阪出身の母は、たこ焼きを食事として認知していたが、たこ焼き機が食卓に並べられる頻度は1年に1度あるかないかで、大阪の一般的家庭と比べて少ない方だったかもしれない。 躾に厳しく、普段からぷりぷり怒っていることが多かった母が食卓にたこ焼き機を並べると、献立の決定権を

          『たこやき』 熊谷真菜・著