NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX
Netflix共同創業者・会長兼CEOのリード・ヘイスティングスと、教授のエリン・メイヤーによる書籍。
大きな成功を収めているNETFLIXのカルチャーや脱ルール、マネジメント手法などが語られている本
セクション1 自由と責任の文化への第一歩
▼能力密度を高める
一般的に企業がルールや管理プロセスを設けるのは、社員のだらしない行為、職業人にふさわしくない行為、あるいは無責任な行為を防ぐため。
●第1章:「最高の職場=最高の同僚」
ITバブル崩壊により社員を解雇をしたが、社内は(一時的に下がったものの)今までにない程活気があった。
解雇した人:成績が人並みな社員、判断力にムラがあり世話の焼ける社員、
悲観論者、ジャーク(仕事はできるけど嫌な人)
この経験から、優秀な人同士が、お互い学び合い、モチベーションを高め合うことで相乗効果が高まったことを経験し、能力の密度を高める事の重要性に気付いた。
また、管理が必要な(凡庸な)人がいると優秀な人に時間を使えなかったり、質が上がらなかったり、全体的なパフォーマンスは下がると言っている。(足を引っ張る人がいると30%~40%程パフォーマンスが下がるそう)
▼率直さを高める
優秀な人材はお互いからとても多くを学ぶことができる。
しかし常識的な礼儀作法に従っていると、互いのパフォーマンスを新たな次元に引き上げるのに必要なFBをできなくなってしまう。
●第2章:前向きな意図をもって本音を語る
NETFLIXでは、お互いにFBしやすい環境やカルチャーを整え、優秀な人が、積極的にお互いのパフォーマンスの質的向上にために必要なFBをできるようにしている。
(一般社員が役員にFBしている例)
日々の業務やMTG中などでも積極的なFBが繰り返される文化が構築されている。
・FBのガイドライン「4A」
FBバックを与える
①AIM TO ASSIST(相手を助けようという気持ちで)
②ACTIONABLE(行動変化を促す)
FBを受ける
③APPRECIATE(感謝する)
④ACCEPT OR DISCARD(取捨選択)
▼コントロールの撤廃に乗り出す
●第3章その1:休暇規定を廃止する
●第3章その2:出張や経費の承認手続きを廃止する
「能力密度を高める」「率直さを高める」という2つの要素が整ったら、コントロールを撤廃する。
組織の承認プロセスはすべて廃止しし、管理職にはコントロールではなく「コンテキスト」によるリーダーシップという原則を教え、社員には「上司を喜ばせようとするな」といった指針を与える。
そして行動や判断がNETFLIXにとって良い事か悪い事かの判断軸を設ける。
こうすることで「自由と責任」のカルチャーが生まれ、それが一流の人材を引き寄せ、さらにコントロールを撤廃することが可能になる。
(飛行機のチケットの例。使用する額が問題ではなくて、何のために・その行動はNETFLIXにとって利益を最大化する事に繋がるかのチェックがされる)
セクション2 自由と責任の文化への次の一歩
▼能力密度を一段と高める
●第4章:個人における最高水準の報酬を払う
とびきり優秀な人を雇い、さらに能力密度を高めていく。
優秀な人を雇っても仕事の効率は上がっても2倍~3倍程だが、イノベーションを起こせる人は10倍にも100倍にも成果を伸ばす事ができる。
また、それに見合った業界でも最高の報酬を渡す。
▼組織の透明性を高め、率直さに磨きをかける
●第5章:財務状況を公開する
社内で秘密をつくらずオープンな環境を整備していく。
経営層で共有する経営の財務情報やインサイダー取引に該当しそうな内容さえも社内に共有をする。
そうする事で社員は責任を高めコミットメントしていくカルチャーになる。
※個人のプライバシーに関する事はとても注意し共有を行う
会社全体、経営層から透明性を保つ事で積極的にFBできる環境を作り上げている。
▼さらに多くのルールを廃止する
●第6章:意思決定にかかわる承認を一切不要にする
意思決定に関わる全ての承認を撤廃していく。
選択に責任を持たせ当事者意識を持たせる。仮にうまくいかなかったとしても雇った会社が悪いと考える。
また、任せられない人なら解雇するべきという考え。
意思決定を撤廃していく事で、仕事や判断のスピードが向上し効率が上がる。
また、コンテキストと判断軸を設けているため無法地帯の様な状態にはならない。経費精算の時に領収書に不審な点が見つかったら理由を聞かれるし、内部監査で不正が発覚した際は即時解雇になる。
セクション3 自由と責任の文化を強める方法
▼能力密度をとことん高める
社員はチームではあるが家族ではない。能力密度の高い組織をプロスポーツチームに例えて話している。
→各ポジションで一番良い選手を契約し、試合で使う。またその選手がダメになれば新たな良い選手を引っ張ってくる
●第7章:キーパー・テスト
チームメンバーがマネージャーに「明日やめると言ったら引き止めるか?」を問いかける。この回答によって現状を知り、またはFBを受け改善する、または必要でない場合は充分な退職金を与え退職してもらう。
代わりにもっと居て欲しい人材を探す。
※サプライズの解雇などではなく、事前にしっかりとしたFBが行われている。そこで改善すれば次のキーパーテストで評価が変わるし、改善がされなければ充分な退職金を渡して去ってもらう事になる。
※いつクビと言われるかわからない状態から、社員の不安を煽る事になるのも事実のようだが、しっかりとしたキーパーテストを行う事で防げるという考え
▼率直さをとことん高める
●第8章:フィードバック・サークル
社員同士のFBの環境を仕組みとして導入する。
→実名による360度評価(何をやり始めるべきか、何をやめるべきか、何を継続するべきか)を導入している。
最初は実名だったが、普段積極的なFBを行っているのに評価だけ透明性を無くす行為が良くなかった例で書かれている。
ここでも会社全体で透明性を保ち、積極的なFBが行われる仕組みができている。
また、報酬額の決定は社内のルールでは無く、その人の市場価値によって決定される。
▼ルールをほぼ撤廃する
●第9章:コントロールではなくコンテキストによるリーダーシップ
ルールではなく、コンテキストによるリーダーシップ
▼感想・まとめ
・個人に優しい日本ではあまり起こり得ない内容がNETFLIXでは行われている。日本では解雇はもちろんの事、積極的なFBは「嫌われたらどうしよう、上司に言えない」等でかなり少なくなっていると思う。
また、「あなたは大切だ」と伝える事(愛情表現とかも)日本では「恥ずかしい」と思ってしまう文化なので、人間性の部分でなかなか難しいんじゃないかとも思った。
ただ、NETFLIXでやっているように、積極的なFBが行われる事で上司部下関係なくより高いレベルの仕事ができるようになると思ったし、上司になればなるほどFBしてくれる人は減るので、部下からもFBがもらえるとしたらもっと成長の機会が増えるのではないかとも思う。
そして、上司だから良いでしょとかではなく、しっかりと愛情を注いだり伝える事で関係性を築き、FBもスッと入っていくようにするのが大切だと思った。
・ルールの撤廃に関しても同じだと感じた。
キングダムで李斯が「“法”とは願い! 国家が国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ!」って言ってたけど、NETFLIXはそもそも軸だけ用意すれば理想の働きするでしょって考え。捉え方によってここまで違うかと思った。
・NETFLIXはスポーツチームって表現がされているけど、
サッカーで例えると一昔前のレアル・バルサ、今ならリバプール・マンC・バイエルン、川崎フロンターレ、そんなとこが思い浮かんだ。
また、スポーツ選手は、その時最大の結果が出せる人員のチョイスを行うし、より良い選手がいれば序列が下がっていく仕組みになっている。まさにこれだと思った。
・キーパーテストに関しては、自分から聞いてくる人は少ないだろうと思う。しかし、とても良い取り組みには感じるので、日々の1on1で上司側からキーパーテストのFBを行ってあげる事で実現できそうだなと思った。(解雇とかの話しは難しいと思うけど)
まずは、お前が辞めるって言っても絶対引き止める、みたいな事を伝えてあげられると大事に思われてるって感じてもらえるかなぁと。
・色々書いてあったけど、絶対やらなきゃいけないと感じたのは、そうまでしてでも居たい会社にする事。
能力密度を高める事でそう思わせる会社にしていくのも勿論だけど、ビジョンを示して走っていく事が重要だと思った。
・NETFLIXのカルチャーとかはなかなか行う事は難しいかもしれないけど、学ぶ事はとても多かった一冊だし、最近読んだ和訳の本で一番おもしろかった。