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「お前はここにいてはいけない」

 旧作ですが『スタンド・バイ・ミー』『グッド・ウィル・ハンティング』『トゥルーマン・ショー』のネタバレがあります。

 映画の話。上記の三作に共通するものがある。というよりももっといろんな作品に同じ要素があるのかもしれないが、それはおいておく。上記三作はいずれ劣らぬ名作たちで、作風はそれぞれ違うんだけれども、じゃあ共通するものとは何か、というと、仲間による主人公の放逐である。

 ひとつひとついってみると、『スタンド・バイ・ミー』では、死体を探しに行く森の中、主人公が親友に「お前は俺たちとは違う」というようなことをいわれる。「だから俺たちと一緒にいてはいけない」みたいな厳しい宣告。ここで主人公は別格の扱いであって、優秀だからこそ他へ行け、という意味で突き放される。

 これによく似た形で『グッド・ウィル・ハンティング』でも宣告がある。映画の終盤、肉体労働を共にやって、その仕事の終わりあたりで、やはり親友に主人公は放逐される。その際の台詞の大意としては「もしお前が二十年後もこんなところで働いてたら、俺はお前を殺す」と、少々過激な発言なのだが、これも前記「お前は俺たちとは違う」とベクトルは同じなんである。

 その二作においては、いずれも主人公が周りよりも優秀である、という条件での宣告なんであって、友人がそれをよくわかった上で「お前はここにいてはいけない」とジャッジする、という構造になっている。お前にはもっとマシなところがある、といっているのだ。こんな場所じゃなく、主人公ならば行けるそのマシな場所へ行けという。

 成長物語であるその二作とは毛色が違うが、『トゥルーマン・ショー』でも似たことが起きている。主人公が学校で恋に落ちた相手が、あの箱庭的な世界のネタバレをして退場させられる場面、主人公にはまだよくわからないような感じではあったが、あれはテレビショーの中から外へ出て行け(あるいは外の世界というものがあるよ、と)といわれる一幕だった。細かい台詞はうろ覚えなんだけど。やはりそこでも主人公は「ここにいてはいけない」と宣告されるんである。

 三作にそういう放逐の宣告があって、また他の作品にもいろいろなバリエーションがあるだろうけれども(シンギュラリティ後の世界を描いた『マトリックス』なんかもそうではなかったか)、何かこれ使えそうなネタだな、と自分の作品に引っぱってこれないかとちょっと思う。何しろドラマチックな効果があるでしょう。優秀ないし特殊であるがゆえにそこを離れてどこかへ行かなければならない主人公、ああ。ロマンじゃね?

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金井枢鳴 (カナイスウメイ)
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