勇気の証
嫌われる勇気 コラム
勇気の証を見たのです。
それはそれは綺麗な勇気の証でした。
その少年は、とある公園の遊具の上に立っていました。今まで経験した事がない高さ。
生まれて未だ3年と少し、その高さは、絶壁に等しく思えるでしょう。
少し前、YouTubeでヒーローアニメを見たばかり。憧れのヒーローと自分は同義に等しく、自分はヒーローなのだと決めている。
そんな俺は、この高さからだって、翔べる。
絶対に翔べる!!
と、
今、正に、翔ぼうとしたその刹那、身体中が震えている。
絵に描いたような、武者震い。
脚から始まったその恐怖という名の震えは、やがて、全身に拡がり、支柱を持つ手や、頬、髪の毛の先まで。
それを間近で見ていた私は、「ああ、これこそ勇気の証だ」と思いました。
次の瞬間、彼は、意を決し、震えを閉じ込めるように、手をぐーに握り締め、歯を食いしばり、跳びました!!
ジャンプっ!!
ちょっと着地に失敗し、かかとから少し後ろにふらつきながら、どうにか踏み止まった彼。
カッと目を見開いた後、フッと力が抜け、そして、笑顔。やや下を見つめて、まだドキドキする自分の胸を見ながら。
勇気って、こういう感じなんだと思う。