見出し画像

ミッキーマスのボールペンがキャンセルの原因に

ブランドは現場の一つひとつの行動から生まれます。しかし、小さなことまでいちいちチェックすることはできません。マニュアルを作るだけではうまくいきません。ではどうしたらいいのでしょうか。

答えは、ミッションを共有して、現場に権限を移譲することです。しかし、これが実に難しいのです。現場が小さなことを疎かにすると、大きなしっぺ返しが発生します。ある宝石店での話を思い出しました。

さんざん迷われた末、お客さまが少々高額な商品をローンで購入されました。うれしそうな表情のお客さまにスタッフがローンの用紙とボールペンを差し出しました。

ボールペンを受け取ったお客さまの表情が急に変わり、不満げな声でこう語ったのです。「このボールペンでサインをしろっていうの」。スタッフがお客さまに差し出しのは私物のミッキーマウスのボールペンだったのです。

小さなことへの配慮の欠除が招いたトラブルです(ミッキーマウスには罪はありません)。小さなことで積み上がり、些細なことで崩れるのがブランドです。先ほどの場合はキャンセルになりました。

ボールペン1本にでもこだわり、決して疎かにしない。これは管理ではなく、お客さまにとっての自社の価値の問題です。経営者としては、価値に関わることはどんなに小さなことであっても譲れません。

「ミッションに合うことはすべてやり、合わないことは断固として拒否する」、これがブランドの基本姿勢です。自由という言葉には「好きなようにやれる」という甘美な匂いがしますが、そこには必ず責任が発生します。

「神は細部に宿る」という言葉があります。細部に徹底的にこだわることでブランド力が高まります。「状況を鳥の視点のように俯瞰し、現場を蟻の目にように細部にこだわる」・・これがブランディンの大きな要素です。

いいなと思ったら応援しよう!