ミッションに関心を示さない人を採用してはならない
ブランドとは「幸せの記憶のスタンプ」です
世の中にはさまざまなブランドの概念がありますが、クエストリーはブランドとは「幸せの記憶のスタンプ」と定義しています。これはセミナーや寄稿原稿などを通じて何度も語ってきました。HPにも掲載しています。
名前を見聞きしたときに、幸せの記憶がよみがえり、利用している自分が誇らしく思える・・そんな風に幸せの記憶のスタンプが捺され続けた結果として、ブランドとして認められるわけです。
しかし、すべての人に通用する幸せの記憶のスタンプはありません。Aさんは幸せと感じても、Bさんは無関心かもしれません。そこで「誰に、どんな
幸せのスタンプを捺してほしいのか」という絞り込みが必要になります。
この絞り込みを昇華させたのが、「誰を、何を通じて、どのように幸せにするのか」という経営の基本軸です。これは事業の「ミッション」であり、お客さまから「選ばれる理由」となります。
誰を、何を通じて、どのように幸せにするのか?
多くの経営者は成功事例のベンチマーキングにとても熱心です。それを否定するつもりはありませんが、成功事例の本質を理解することはなく、単なる模倣で終わる場合が少なくありません。
カタチのみの模倣だけのベンチマーキングは、同質化競争に陥り、必ず価格競争に向かいます。価格競争は資本力とのガチンコ勝負です。小さな会社や店が安易に選択してはならない競争のステージです。
ここまでブランドの定義とその軸となるミッションについて簡単に述べてきましたが、これは人材の採用と育成にも関係しています。ミッションを明確に表現した募集案内はありそうでいて、滅多にないのです。
多くの若者が、働く目的を所得やスキルアップだけではなく、「社会の役に立つこと」、「楽しく働けること」に置き始めています。これはミッションにも通じることだと思います。
スタッフはミッションを映し出す鏡です
人手不足になると、応募する人ならば誰でもと思いたくなるのが現実です。どんな人でも欲しいという気持ちはわかりますが、人材採用の判断基準はスキルや能力の前に、ミッションへの共感がベースです。
共感とまでいかなくても、ミッションに関心を持たない人を採用することは、厳しい人材環境をさらに悪化させることになりかねません。なぜならば、小さな会社や店にとって、人材は顧客接点の大事な要素だからです。
飲食店を例にとって考えてみましょう。お客さまは厨房は別としても、店で働くスタッフの姿勢や表情を目の当たりにすることができます。言うなれば、就職希望者にとっては事前のリサーチがしやすい職場なのです。
メディアに取り上げられた人気店のスタッフの表情がさえず、笑顔も少ないことが何度かありました。仕事環境に問題があるのではと感じてしまいます。話題性が落ちるに連れて、客足が遠のくケースも少なくありません。
スタッフはミッションの鏡です。幸せ感を抱いていない働き手が、お客さまに幸せを提供できるとは思えません。お客さまに喜んでいただけているという誇りが、接客や料理のひと手間に表れると言っても過言ではありません。